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2022.01.10

【緊急レポート】テレビでは報じられない海外試乗会で見たコロナ禍のヨーロッパ

日本からただひとり、現地メディアに混じってモータージャーナリストの大谷達也氏がマクラーレンの海外試乗会に参加。クルマのインプレッションもさることながら、約1年半ぶりに見たヨーロッパの街や空港はコロナの影響により、どうなっているのかをお届けする。

CREDIT :

文/大谷達也

マクラーレン765LTスパイダーの国際試乗会に参加するためにスペインを訪れたのは2021年10月のこと。実は、その直前にベルギーで行なわれた別の試乗会にも参加したので、およそ2週間ヨーロッパに滞在した。
かつては年に20回以上、延べ日数にして90日ほどは毎年のように海外を訪れていたのだが、新型コロナウイルス感染症の影響により、海外出張に出るのは久しぶりのこと。最後の出張は、ロックダウンが間近に迫るロンドンを訪れた2020年3月のことだったから、およそ1年半ぶりのヨーロッパである。まあ、もしもイギリスをヨーロッパと呼ぶのなら、という話だけれど。
出発前は準備で忙殺された。国内で発行されるワクチンパスポートに加え、出発直前のPCR検査に基づく陰性証明書を手に入れ、さらには入国する国ごとに設定されたデジタルロケーターなるものに各種情報を入力する必要がある。
 
羽田を出発する飛行機に搭乗する時、フランクフルトでの乗り継ぎ時、ベルギーへの入国時、ベルギーからの出国時、スペインへの入国時、日本への帰国時……。その都度で必要な書類が違ったり、手続きが異なったりする。

しかも、それらをすべてひっくるめて「こうすれば安心、確実に入国できます」と説明された資料はどこにもないし、航空会社に問い合わせても「おそらくぅ、これでぇ、大丈夫だと思いますがぁ……」と心許ない返事。最後は腹をくくり「この30年間で何度海外に出かけ、何度修羅場をくぐってきた? きっとなんとかなる」と自分に言い聞かせて羽田空港に向かった。
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この1年半の間にも何度か飛行機で国内出張に出かけたことはあったけれど、国際線ターミナルは久しぶりだ。もしもみなさんが、あの賑やかなターミナルの雰囲気を知っていたなら、閑散としたいまの状況を見て愕然とするだろう。
 
そもそも食事できるところがほとんど開いていない。ラーメン屋さん、牛丼屋さん、ハンバーガー屋さんが1軒ずつ営業している程度。そして2週間日本を離れる私は、出国メシとして「牛丼、アタマの大盛」を胃袋に掻き込んだ。
飛行機に乗って12時間、慣れ親しんだはずのフランクフルト空港に、おそるおそるという感じで足を踏み入れたのだが、パスポートコントロールで陰性証明の提示を求められたことと、みんながマスクをしていることを除けば、私が知っている、大きくて不親切なフランクフルト空港そのもの。そうそう、ルフトハンザのラウンジに入る際は陰性証明が必要になるので、出かける方はご注意あれ。
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でも、それを除けば、拍子抜けするくらい以前と変わらなかった。フランクでもベルギーのブリュッセルでもスペインのマドリードでも、何日にも及ぶ隔離期間なんて実施していない。唯一、当時は日本がEUからレッド国指定されていたために、「ベルギー入国後のPCR検査で陰性が証明されるまでは外を出歩かないように」というルールがあったくらいで、実質的な行動の制約はほとんどなかった。
 
日本のように「通常2週間、自費でPCR検査を受けたら10日間に短縮」なんて隔離期間を設定している国は、極めて例外的なのだ。よく、テレビのワイドショーで「日本は水際対策が甘い!」なんて主張しているコメンテーターがいるけれど、それは海外の事情を知らない人の戯れ言に過ぎない。ヨーロッパ各国で暮らす人々の表情も、少なくとも10月の段階ではコロナ前とあまり変わらなかった。
マスクが義務づけられている場所は国によって異なり、たとえばベルギーは空港だけ、スペインは空港に加えてホテルの中やレストランの中などが指定されているけれど、店内に入ってテーブルにつけば、みんなマスクを外してワインをがぶがぶ呑み「ガハハハハ!」と笑っている。かつてと変わらない“日常”が、そこにはあった。やっぱり、誰だって人生を謳歌したいのだ。
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そんなわけで、彼の地で心温まる経験(これについては、また機会があれば皆さんにもご紹介したい)をいくつもした私は帰国の途につくのだが、これがとにかく面倒臭い。まず出発72時間前にPCR検査を受けて陰性証明を手に入れる必要があるのだが、この陰性証明は日本の厚労省が定めたフォーマットでなければいけない。つまり、日本のフォーマットを海外に持っていって、検査場で「すみません、この書類に記入してください」とお願いしないといけないのだ。

こんなことを受け入れてくれる検査場が滅多にないことは、みなさんご想像のとおり。私の場合も、これに対応してくれる検査場をマドリードで見つけるために、マクラーレン関係者をずいぶんと煩わせることになった。
到着後の羽田空港の様子にも、腰を抜かしそうになるくらい驚いた。人材派遣会社(もしかして、アノ会社?)からやってきたと思しき、うら若き女性を中心に、50人ではとてもきかないくらいのスタッフが私たちの到着を待ち構えていて、書類の確認やら隔離期間中の行動を監視する“MySOS”なるアプリのインストールを手助けしてくれる。事前にスマホでデジタルロケーターへの情報入力を済ませておけば、そこで表示されるQRコードを提示するだけで入国の手続きが終わるヨーロッパとは大違いである。
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そうそう、日本にもデジタルロケーターに似たものはあって、やはりQRコードの表示を求められるのだが、その入力内容をスタッフが改めて確認するものだから時間がかかって仕方ない。なぜ、スマホへの入力だけではダメなのか? これでは「先ほどメールをお送りしました!」と電話をかけるのと何ら変わらない。日本のお役所はなんでも紙ベースで、デジタル化が非常に遅れている証拠である。
そして2週間ないし10日間の隔離期間が待っているのだが、ヨーロッパからの帰国組は基本的に自宅での自主隔離が認められているので、狭いホテルに閉じ込められるよりはずっと気が楽。日ごろ原稿書きで何日間も仕事場で缶詰めになる私にとっては、大して苦痛ではなかった。
11月に入ってから隔離期間を3日間まで短縮できる制度ができたけれど、ほとんどの人にとってあれは使いものにならない。そもそも出国前に所轄官庁へ「帰国後の行動計画書」を提出し、これが了承されなければ適用されないのだから、明日はどこに行くかもわからないフリーランスの私にはおとぎ話のようなルールだ。
 
しかも、3日ごとにPCR検査を受けなければいけないとか、人と会うにも制約があるとか、まあ現実的でないこと甚だしい。あの制度を考えたのはおそらくお役人だろうが、ひょっとして彼らはそんなに規則正しい毎日を過ごしているのだろうか?
だとしたら、うらやましいを通り越して気の毒になる。
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感動と官能を満喫できるスーパースポーツカー!

と、うっかり長話になってしまったけれど、肝心のマクラーレン765LTスパイダーはとても素晴らしいスーパースポーツカーだった。まず、マクラーレンらしいマシンとの一体感が、常に味わえる。だから安心感があって、思いっきり振り回せる。
 
そんな時の反応も「レーシングカーもかくや」と思わせるほど俊敏だから、たとえリアタイヤがスライドしても修正するのは簡単だし、そもそもそんな走り方をしなくてもスポーツカーを操縦する感動と官能を満喫できる。しかも、765LTはベースとなった720Sよりさらに高性能でサーキット向きのセッティングが施されているのだから、走り屋さんにはたまらないはずだ。
765LTで少しだけ意外だったのが、最高出力を振り絞りつつタイヤのグリップ限界に近いドライビングをしていると、トップエンドで強烈なパワーを生み出すエンジン特性のせいで、スロットル操作のちょっとしたミスでテールを振り出す恐れがある点。それだけ765LTは凶暴とも言えるが、反対に正確なスロットルワークを身につけるには好適なスポーツカーともいえる。
 
それに万一ミスをしても、マクラーレンご自慢の高精度なスタビリティコントロールがアナタをスピンから守ってくれる。ちなみに765LTスパイダーは765台の限定販売だ。直前に発売された765LTクーペも同じ765台の限定販売で、こちらはとっくに完売しているそうだから、興味をおもちの方は早めにマクラーレン正規ディラーを訪ねることをオススメしておく。

◾️ 大谷達也

自動車ライター。自動車専門誌を経てフリーランスに。語学力を生かした取材力で、自動車ブランドの本国エンジニアたちからの信頼も厚い。LEON本誌の連載等でもおなじみの評論家。

◾️ お問い合わせ


マクラーレン・オートモーティブ cars.mclaren.com

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