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2021.12.26

僕が「Audi e-tron GT」にひと目惚れした理由とは?

数多くのクルマに試乗し、自ら所有もして何台も乗り継いできた“専門家”の筆者が、初めて見た時から惚れ込んだクルマ、Audi e-tron GT。何がそこまで筆者を夢中にさせたのか?

CREDIT :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第175回

「Audi e-tron GT」が好きだ!!

Audi e-tron GT、、、初めてその姿(写真)を見た時からテンションは上がった。スペックを見てさらに。そして、乗ってさらにさらに、、、!! 

僕のアウディファン歴は、2代目200(1984年)から始まり、初代TT(1998年)で最初のピークに達した。以来、ずっとアウディのファンであり続けている。、、、が、このところ、ちょっと「小康状態」が続いていた。

しかし、e-tron GTには、初代TT以来、いやそれ以上のインパクトを受けた。写真を見たとたん、「カッコいい!!」「ほしい!!」と思った。

ロー・アンド・ワイドなシルエット、美しくリアに流れるルーフライン、レーシングマシンを想起させる大胆な空力デザイン、スピード感あふれる大径ホイール、、、そんな一つひとつに目を奪われ、心を奪われた。

美しいクーペでありながら「4ドア」であることにも惹かれた。利便性はもちろんだが、それより、4ドアがもたらす「フォーマルなニュアンス」に惹かれる。

Audi e-tron GTはスーツ姿でのビジネスシーンにも馴染むはず。ただし、肩パッドがしっかり入ったブリティッシュ・スーツではない。ソフトで美しいシルエットのイタリアン・スーツが僕のイメージだ。

カッコいいクルマでも、ボディカラーで大きく印象は変わる。Audi e-tron GTで強く惹かれるのは、「アスカリブルー・メタリック」と「タクティクスグリーン・メタリック」。
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前者は「洗練されたスーツ」を、後者は「洗練されたレザーブルゾン」を、スタイリッシュに着こなした、、、といったイメージか。そんな着こなしの男、もしくは女が、洗練された身のこなしでAudi e-tron GTから降りてきたら、、、最高のシーンになるはずだ!

ちなみに、可動式リアスポイラーは、速度やドライブモードに合わせて2段階に角度を変える(手動も可)。稼働時にも仰々しさはなく、格納された状態では、その存在さえ感じさせない。美しいクーペシルエットを壊さないのがなによりうれしい。

ビジネスシーンにも馴染むだろうことは、すでに触れた。美しくハイパフォーマンスな最新BEV。それを、スタイリッシュな装いと身のこなしで乗りこなしていれば、、、「先端ビジネスを牽引する優れた人材」といったイメージにも結びつくだろう。男女を問わずに。

EU経済活動の中心を担うフランクフルト。そのビジネス街と郊外の高級住宅地を結ぶ道路の通勤時間帯には、ピカピカのポルシェ911が数多く見られた。最新の上位モデルで、ボディカラーはダーク系がほとんどを占める。

で、そのドライビングシートに座っていたのはスーツ姿の男。つまり、ビジネスマンだ。10年ほど前、直接目にした光景である。

そんなアクティブでスタイリッシュなエリート・ビジネスマンたちの愛車は、今、どうなっているのだろうか。たぶん、その多くが、ポルシェ・タイカンやAudi e-tron GTに替わっている、、、そう考えるのは妥当なことではないか。
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インテリアもまた、上記のようなイメージによく馴染む。ドライバーを取り囲むような「モノポスト・デザイン」のインテリアは、モダンでスポーティでクォリティ感が高い。「アウディらしさ全開!」の仕上がりだ。モダンだがモダンすぎないのもいい。だから、落ち着ける。

ステアリングとシートは、ポジション合わせさえすればピタッと馴染む。視界もいい。ただ、ペダルレイアウトはよくない。左ハンドル車は問題ないはずだが、右ハンドル車のペダルはかなり中央寄りにオフセットされている。

アクセルペダルはまだいいが、ブレーキペダルにはけっこう違和感がある。20~30分ほどで、あまり意識せずに走れるようにはなったが、、、。

後席は、乗降時に頭を低くしなければならない。ヘッドクリアランスもタイト。だが、短時間なら大人が乗れるスペースは確保されている。僕は「これで十分」だと思う。

少々の利便性を切り捨てても、カッコよさとパフォーマンスを優先するべきクルマだし、それに不満を感じ、不自由を感じるなら他を選べばいい。それだけのことだ。

パワートレインは、前後に1基づつのモーターをもち、リアには2速トランスミッションをもつ。「走り寄りのショートレシオ」と「高速クルージング寄りのロングレシオ」の2速で、「ブーストモード以外は2速発進」となる。

最高出力 / 最大トルクは390kW / 640Nm (RSは475kW/ 830Nm) 。数字だけを見れば、とくに驚くようなものでもない、、、が、走り出すと驚く。
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文字通り「間髪入れないレスポンス」と「直線的で強烈なダッシュ」に驚く。しかも「静かになめらかに」、だ。エンジンとモーターの違いは、走り出した瞬間にわかる。いや、わからせられる。

僕はこの「モーターの走りの感覚」が好きなのだ。1980年代、初めてBEVに乗った時から惹かれていた。「まったく話にならないレベルの性能」だった頃から好きだったということになる。

「間髪入れないレスポンスと直線的なダッシュ」という性能表現は、すべての領域で当てはまる。、、、が、それはむろん、自在にコントロールできるものでもある。

そう、、、ゆったりとクルージングしたいなら、「助手席のひと」との会話を楽しみたいなら、、Audi e-tron GTはそれを察し、それを受け容れ、そうさせてくれる。

ドライブモードは、エフィシェンシー、コンフォート、ダイナミック、インディビデュアルの4段階に切り替えられる。基本のコンフォートモードで日常のほとんどはカバーされる。「ほとんど」の意味は、渋滞路からハイウェイ、ワインディングロードにいたるまで、、、といった意味だ。

それも、BEVならではの瞬速レスポンスを基本にした、「ハイレベルな動質」を伴ってのこと。わかりやすく言えば「ドライバーの意思通りに、そして気持ちよく!」といったことになるだろう。

ダイナミックモードは「ヤバイ!」。もちろん、「その気になれば」という前提条件付きだが、アクセルを速く深く踏み込んだ時の加速は「峻烈!」といった表現が相応しい。
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e-tron GTの0-100km/hは4.1秒。さほど凄い数値でもない。だが、0~50mとか0~100mといった短距離走、とくに発進のダッシュ力は強烈そのもの。鍛えられていないヤワな首は頭を支えられず、グッと後ろに持っていかれる。マジメに「首がヤバイ!」と思った。

静粛性はBEVの魅力のひとつだが、e-tron GTの後方からはエキゾーストノート?が聞こえてくる。この音、ダイナミックモードに設定すると、コクピット内にも流される。むろん合成音だが、緻密で抑制の効いたいい音だ。

アウディ R8 V10のサウンドを基本に、耳に負担をかける成分を削り、音量をグンと抑え、かつ音質を緻密に制御、、、まぁ、そんな感じの音といえばいいかもしれない。

BEVの静粛さを「無機質」と捉えて敬遠する人も少なくないが、「e-tron GTのサウンド」がどう評価されるのか、、、楽しみだ。

身のこなしの面で、2280kgのウェイトをネガティブに感じさせられることもなかった。重心の低さ、重量配分のよさ、前後モーターのパワー配分のよさ、、、素直でしっかりした身のこなしである。

乗り心地もいい。強めの段差などでは粗さを感じさせられることもあるが、試乗車がOPの21インチ・タイヤを履いていた(標準は19インチ)こともあるのではないか。そこははっきりしない、、、が、もしそうだとしても、僕は迷わず21インチを選ぶ。「カッコいい方を選ぶ!」のが、その理由だ。
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僕は e-tronn GTがほしかった。ほんとうに。にもかかわらず断念した理由はただひとつ。4990mm×1965mmのボディサイズだ。

複数台数を持つのは、後期高齢者ゾーンに入ったのをきっかけに止めた。以後は、ゴルフ GTI 、GTI Performance、プジョーe 208 GT Lineと、コンパクトを乗り継いでいる。

僕はもちろん、ガソリン・エンジン車が好きだ。でも、まったく違う味わいがあるEVも好き。新しい時代感覚というか、新しいパフォーマンス感覚というか、、、とても新鮮な楽しさを感じるし、新鮮な喜びをも感じる。

現在の愛車であるプジョー e-208 GT Lineも大いに気に入っている。でも、フル回転で仕事をしていた6年前以前なら、、サイズを無視して e-tron GT (+コンパクト)を買っていた可能性大だ。

アスカリブルー・メタリックのボディカラーと21インチ・ホイールの、、、。そして、記念に、グレー系のイタリアン・スーツをオーダーしていたかもしれない。

● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト

1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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