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2021.05.23

【比較分析!】 最旬東京ライフスタイルホテル10 [その5]

テーマは日本茶、アート、劇場!? 注目の個性派ホテル3軒

東京を中心に近年次々と開業している「ライフスタイルホテル」と呼ばれるホテル。デザイン性が高くしっかりしたコンセプトをもった個性的なホテルが多く、その魅力はさまざま。本特集では注目の10軒をご紹介します。最終回は「ホテル 1899 東京」「DDD HOTEL」「浅草九倶楽部」をご紹介。

CREDIT :

写真・文/古関千恵子

最近、よく耳にする「ライフスタイルホテル」。これまでのホテルと何が違うのか? なんとなくわかっているようで、実際のところ曖昧だったりしませんか? そこで東京のライフスタイルホテルの最新10軒を5回に分けてチェック。それぞれコンセプトも、ロケーションも、サービスも様々。正直、どこに泊まるかで“東京”の印象もガラリと変わります。これを読めば、自分にぴったりのライフスタイルホテルが見つかるはず。今回ご紹介するのは「ホテル 1899 東京」、「DDD HOTEL」、「浅草九倶楽部」です。
▲ 御成門駅から徒歩6分、新橋駅から徒歩10分。駅は正直、離れてはいるけれど、散策するにはいい環境。
きちっとした定義はないけれど、ライフスタイルホテルとはデザイン性が高く、しっかりとしたコンセプトを持ち、地元とのつながりを大切にしているという点が共通しているようです。そしてゲスト同士や地元の住民、スタッフとのコミュニケーションの場であることが、ポイントでしょう。

今回はデザイン性を備えつつ、独自のコンセプトがしっかり立った3軒をご紹介。お茶にこだわり抜いたホテル、モダンアートのギャラリーや劇場を併設したホテル。目的がはっきりしているので、多少駅から離れていても、王道の観光地ではない場所でも、ゲストは集まってくるようです。

■ホテル 1899 東京

9階建ての館内は徹頭徹尾、お茶がテーマ

120年以上続くホテル・レストラン運営の龍名館グループが手掛ける3軒目にして、創業年を冠したブランド「1899」の第一号となります。

テーマは、ずばり“お茶”。デザインコンセプトの「現代的に解釈された茶屋体験」は9階建ての全館に行き届いています。
▲ 茶室をイメージしたというフロント。
エレベーターの扉がフロントのある2階で開くと、鼻をくすぐるのは、茶香炉で焚かれたお茶の香り。中央のカウンターでは、チェックインのみならず、茶バリエが旅の疲れをねぎらうように、茶釜からお茶を淹れてくれます。オリジナルブレンドの六煎茶や、宇治の上林春松の抹茶。さすがお茶を知り尽くした茶バリエ、お湯の温度も的確です。
ウェルカムティーだけではなく、窓際のテーブル席や茶筒のようなカウンターで午後のお茶や食後の一服など、滞在中、何度でもサーブしてもらえます。2階のフロントエリアには、お茶にまつわるアイテムを販売するブティックも併設しています。
▲ 茶葉やお茶請け、急須など、お茶にまつわるアイテムが手に入るブティック。
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茶屋をイメージした、お茶を楽しむための客室

▲ 「スーペリアダブル B-ENGAWA」。一角に茶箪笥のような引き戸のミニバーが。客室の広さは18平方メートル以上。
客室は3~9階に全63室。「茶屋をイメージした庵(いおり)」をテーマに4種類の客室タイプがあり、どれもお茶を楽しむための工夫がたっぷり。

「スーペリアダブル B-ENGAWA」はお茶が淹れやすいように、リビングエリアにシンクを設置。ベッドを乗せた小上がりのような約40センチの段差はまるで縁側のようで、腰掛けながらお茶がいただけます。
室内に用意されたお茶は4種類(煎茶、玉露、和紅茶、番茶など10種類から日替わりで用意)。ミニバー内にはお茶本来の味が楽しめる不純物の入っていないピュアウォーターも準備されています。急須と湯呑も、風情あるデザインです。
▲ コーナーデラックスツイン。窓を広く取り、開放感がバツグン!
アメニティもお茶尽くし。緑茶成分入りのシャンプーとボディソープ、胸元に茶葉の一芯二葉の刺繍が入ったルームウエアなどを用意。茶道具の“茶せん”をモチーフにしたランプや、バスルーム(全室バスタブあり)には茶室のような丸窓も。

ベッドは「エアウィーヴ」の高反発マットレス、客室専用タブレット端末など、居住性の高さも抜かりありません。
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日本茶専門カフェで、新たなる日本茶の楽しみ方を

▲ 「チャヤ 1899 東京」は宿泊ゲストの朝食会場であり、街の憩いのカフェ。
ホテル1階には、カフェの「チャヤ 1899 東京」があります。ドリンクは、注文ごとに淹れる日本茶をベースに作る本格派。4種類の濃さから選べる濃茶ラテ、煎茶やほうじ茶のソーダ、オリジナルブレンドの日本茶に加え、抹茶ビールも。

茶葉を練りこんだ抹茶パンやほうじ茶パン、抹茶ジェラートなどのお茶スイーツ、お茶ソーセージなどもラインナップ。新しい日本茶の世界が開けるはず。
朝食は土日祝のみ宿泊者オンリーだけれど、ビジターも利用OK。テイクアウトもできます。

旅館時代から続く、細やかなおもてなしと日本人の心にしみるお茶へのこだわり。癒されるホテルです。
▲ 通りに面して、明るいカフェ店内

POINT

・フロントで煎茶や抹茶がいただける
・インテリアでもお茶を表現
・日本茶専門カフェを併設

ホテルに聞いた「ライフスタイルホテルとは?」
「こだわりをデザイン面やサービス内容において一貫させ、滞在中にその世界観に浸っていただく。こだわりを個性として際立たせたホテル」

■HOTEL 1899 TOKYO

住所/東京都港区新橋6丁目4番1号
HP/https://1899.jp/hotels/tokyo/
予約・お問い合わせ/TEL 03-3432-1899

●スタンダードダブル2万3000円、スーペリアダブルA -IORI-2万8000円、スーペリアダブルB -ENGAWA- 2万8000円、コーナーデラックスツイン 4万5000円

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■DDD HOTEL

クリエイターが集い、表現する場としてのホテル

ビジネスホテルとして30年以上使われていた建物を全面改装し、クリエイティビティあふれるデザインホテルに。コンセプトは英語のことわざに由来する、「Live and let live」(自分も生き、他人も生かせよ)。自分らしくあり続けることを大切にした、個人が集まった集合体(コレクティブ)であることを目指しています。なので、DDD HOTELでは“コレクティブ・ホテル”を標榜しています。
▲ ビジネスホテルとして30年以上活用されていた建物をフルリノベーション。秋葉原、新宿、浅草に出やすいイースト東京
ユニークなのは、表現の場としてのアートギャラリーやキッチンスペースをしつらえ、カフェ&バーといった文化的な施設も備えている点でしょう。

ホテル1階にあるアートギャラリー「PARCEL(パーセル)」は、若手から大御所まで、アーティストを発掘し、展覧会を開催。新しい才能と出会える場となっています。かつて立体駐車場でもあった場所なので、巨大なサイズ、かつ重量にも耐えられ、幅広い作品が展示できます。
▲ 1階の無機質なエントランス。このフロアにアートギャラリーやキッチンスペースが
また、こちらも1階にあるキッチンスペース「nôl(ノル)」は、日本最大級の料理コンペティション「RED U-35」で、準グランプリを2 度獲得した野田達也を中心に、丁寧に生産された旬の食材を用い、本来の味を引き立てる料理を適切な量で提供しています。
▲ 野田シェフを中心に、クリエイティブな料理を生み出すキッチンスペース。
▲ 取材時に展示されていた森 靖(もり おさむ)さんの作品は高さ、幅ともに4メートル前後。巨大な作品が展示できるのも、このギャラリーの特徴
2階には、気軽に立ち寄れる「Cafe & Bar abno(アブノ)」もあります。DDD HOTELが狙ったわけではないけれど、SNSで“韓国っぽいカフェ”と広まり、平日の昼間でも若い女子たちで大賑わい。周囲のオフィス街からワークスペースとして利用している人もいるようです。「Cafe & Bar abno」ではこだわりのコーヒーを、ぜひ。デンマークとシドニーのロースターの、2種類のスペシャリティが自慢です。
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クリエイターが集うホテルとして、「アーティスト・イン・レジデンス」も開催。アーティストやシェフなどに滞在してもらい、ここで個展や作品を制作してもらおうというもの。DDD HOTELには、なにやら、楽しげなことが詰まっています。

ロケーションはイースト東京の馬喰町駅の6番C4出口すぐ。JRや都営浅草線なども近く、浅草や秋葉原、新宿へ出るにもスムーズ。蔵前のおしゃれなカフェや雑貨店めぐりに好都合の立地です。羽田からは約35分、成田からは約60分です。

ムダはそぎ落とし、触れるものは上質に。ミニマル・ラグジュアリーな空間

▲ ゆったりとした間取りのスイート。上品な色調で落ち着きます。
10階建て122の客室が目指したのは、“ミニマル・ラグジュアリー”。これは「本当に必要なものを、必要な分だけ。最高の品質で」を目指しています。不要なものは一切そぎ落とした室内には、テレビはありません。けれど、タブレットPCは全室に用意。そして肌に触れるアメニティは、贅沢に良質なものを追求しています。

たとえばバスアメニティはセンシティブケアを目的に作られた新しいブランド「Aid」を採用。タオルは1802年から続くフランスの老舗リネンブランドDecamps(デキャン)の5つ星ホテルに入っているものと同等のものを用意しています。
▲ 3人まで収容できる「スタンダードトリプル」
眠りにもこだわり、「フランスベッド」のベッドは、オリジナルの編み込み型コイル。日本人好みの、やや硬めの寝心地です。リネンは京都の「大東寝具」のコットン100%のすべやかな高番糸のもの。高級羽毛の寝具類に包まれて、やさしい眠りにつけそうです。

フレグランスは2階を除く全館に、ベルギーのブランド「ONNO」のディフューザーを設置。香りの記憶が滞在を色鮮やかにしてくれます。
空間デザインを手掛けたのは、二俣公一(CASE-REAL)。客室は、アーチ形の窓から光が差す、ノーブルなモスグリーンでまとめられています。

客室タイプは4種類。エントリークラスの「ミニマル・ダブルルーム」は広さ14平方メートル。おすすめはダブルベッドが2台、ワークデスクも入った「スーペリアツインルーム」。中長期滞在にも快適そう。3人で利用できる部屋タイプもあります。
ハイエンドは、1室のみの「スイート」。こちらは40平方メートルの広さを確保し、リビングエリアやワークデスクもあります。バスルームにはバスタブとレインシャワーも。

ちなみにホテル名の“DDD”はデザイン・ディベロプメント・ディストネーションの頭文字だそう。今後は近隣のクリエイターとコラボした昆虫食やDJイベントも開催予定。刺激的な滞在を、ここで。
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POINT

・ミニマルなデザイン
・アートに特化
・圧倒的にリーズナブル

ホテルに聞いた「ライフスタイルホテルとは?」
「自分の生活に持って帰れる経験を提供」

■DDD HOTEL 

住所/東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1
HP/https://dddhotel.jp/
予約・お問い合わせ/TEL 03-3668-0840

●ミニマルダブル8710円、スーペリアツイン1万3210円、スタンダードトリプル1万4710円、スイート3万円(朝食込み、1名料金、税込み)

■浅草九倶楽部

日本で唯一の劇場一体型ホテル

華やかさと江戸の粋、そして浅草の下町情緒漂う商店街、ひさご通りの一角に佇む「浅草九倶楽部」。旧ワイヤードホテルから2020年夏に運営が変わり、コンセプトも新たに始動しました。
▲ レストランと劇場の入り口は商店街に面したところに
ユニークなのは、泊まるためのホテルにとどまらず、「観て、食べて、泊まって楽しむ」施設であるところ。劇場と、ホテル、レストランがひとつになった、おそらく日本で唯一の劇場一体型ホテルです。
▲ 招き猫や盆栽などをモチーフにした、和テイストのレストラン
1階にレストラン「浅草九倶楽部THE SHOKUDO」、2階に劇場「浅草九劇」、3~10階がホテル。劇場の開演前には1階のレストランで前座的にパフォーマンスが開催されることも。そして開演(オンライン配信も)中は、1階のレストランで、ライブ配信を見ることができます。

レストランはホテルのゲスト、劇場の出演者、観劇に訪れた人、地元の人、みんなに開かれた場所。誰とでも垣根なく交流することができる、くつろいだ雰囲気です。それはちょうど下町のノリに似ているかもしれません。
レストランでは、和を取り入れたメニューに刷新。ごはんにこだわった朝食から、懐かしいメロン味のクリームソーダやあんみつなどのスイーツ、夜はダシにこだわったおでん、目の前で焼き上げる焼き鳥など、親しみやすい和食が中心。リーズナブルなランチは、地元の人も利用しやすい料金設定になっています。

1階のホテルフロント付近には、昭和の香りがする駄菓子やおもちゃコーナーがあります。キャベツ太郎やココアシガレット、うまい棒など、ノスタルジックなパッケージばかり。レストランを利用して、帰りにおみやげをここで仕入れていくお客さんもいるそうです。

“和”と“粋”が詰まった全室異なるデザイン。ベランダ付きも多数

30の客室は、それぞれインテリアが異なります。それでいて、共通しているのは、江戸を感じる“和”や“粋”な風情。各部屋に用意された、和情緒な小物やオブジェが目を楽しませてくれます。
▲ 4名まで収容可能なスイート・キング・デラックスツイン。室内45平方メートルにテラスも付き、開放的な間取り。
客室のうち、3~4階は二段ベッドもあるファミリールーム。気分転換にちょうどいいベランダ付きの客室が多く、素泊まりや1泊してのワーケーションに利用するゲストが増えているそう。

ゲストコメントで好評なのが、ミニバー。ラムネやコーラ、バヤリーズなどの瓶入りのドリンクなど、昭和な品揃えです。栓抜きを使ってフタを開ける行為も、どことなく新鮮かも。
アメニティはヒノキの香りが爽やかな「SOMALI(ソマリ)」を使用。オリジナルの館内着は伝統的な“和晒(わざらし)製法”で仕上げたダブルガーゼ。やさしく、さらりと気持ちいい肌触りです。
おすすめのお部屋は、10階にある「スイート・キング・ペントハウス」(Room1001)。傾斜したフルハイトの窓は浅草の街とシームレスにつながったよう。広さも50平方メートルあるので、開放的です。
▲ バスタブから燦然と輝くスカイツリー!
Room1001で注目はベッド! 海外から取り寄せたスペシャルな仕様で、フカフカ感に包まれて、寝心地がバツグン! 一度横になれば、その違いに気づくはず。ちなみに、お値段1000万円だとか。そしてバスルームには、ネオンきらめくスカイツリーや浅草寺を望むビューバスが! ちなみに、18時以降の遅めのチェックインならば、グッとリーズナブルに滞在できます。

POINT

・日本でここだけの劇場一体型
・ROOM1001のベッドとビューバス!
・昭和レトロの駄菓子やドリンクが懐かしい

ホテルに聞いた「ライフスタイルホテルとは?」
「食・エンタメを通して存分に楽しめて、ゲストが街・文化・地元の人々とつながり、旅のスパイス的要素となるホテル」

■浅草九倶楽部(あさくさ ここのくらぶ)

住所/東京都台東区浅草 2-16-2
HP/https://asakusakokonoclub.com/
予約・お問い合わせ/TEL 03-5830-6533

●スイートキングペントハウス4万8000円~、スイートキングデラックス4万8000円~、ジュニアスイートキングテラス3万8000円~など(素泊まり、1室料金、税込)

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