2026.10.21
北海道・トマム
幻のワイン「ドメーヌ・タカヒコ」を求めて北海道「リゾナーレ トマム」へ。世界が注目する醸造家の哲学とは?
今や世界21カ国に輸出され、世界中のワイン愛好家が熱い視線を注ぐ北海道・余市の「ドメーヌ・タカヒコ」。その造り手である曽我貴彦さんが、「リゾナーレトマム」で開催された特別なメーカーズディナー「FARM & VIGNE」に登場しました。「ワインは農産物」「ワインづくりは焼き物に似ている」──独自の哲学から生まれる、唯一無二のワインの魅力とは? 北海道の美食とともに味わった一夜をレポート。さらに、希少なワインを楽しめる期間限定の宿泊プランもご紹介します。
「ワインは農産物」世界を魅了する造り手の哲学

▲ 「星野リゾート トマム」で「ドメーヌ・タカヒコ」のワインが堪能できる特別なメーカーズディナー「FARM & VIGNE」が開催された。
「ワインは農産物。毎年味が変わるし、その地域でしか生み出せないものに価値が宿ります」
そう語るのは、日本ワイン界のカリスマとして知られる「ドメーヌ・タカヒコ」の曽我貴彦さん。北海道・余市町で2010年に立ち上げた小さなワイナリーは、今や世界21カ国にワインを輸出し、その名は世界のワイン愛好家やソムリエの間に広く知られるようになりました。

▲ ワイン愛好家から熱い視線を集める「ドメーヌ・タカヒコ」。生産量が限られるうえ、国内外での人気も高く、飲みたくてもなかなか出合えない希少なワインとして知られる。
そんなワイン界のスター、曽我さんの話をじっくり聞く機会に恵まれたのが、北海道は「星野リゾート トマム」にあるリゾートホテル 「リゾナーレトマム」で開催された「FARM & VIGNE(ファーム アンド ヴィーニュ)」。北海道の食材と「ドメーヌ・タカヒコ」の希少なワインを組み合わせた特別なメーカーズディナーです。この夜、曽我さんが語ったのは、ワインづくりと焼き物との意外な共通点。そして、世界から注目されるワイン産地となった余市の現在と、北海道の食文化の未来についてでした。
曽我さんによれば、自身のワインはしばしば「漬物のようなワイン」と評されるのだとか。ワインを漬物に例えるとは、ずいぶん意外な気もしますが、その真意を聞けば納得。曽我さんにとってワインは、あくまでも農産物なのです。日本では古くから、農家が収穫した作物を味噌や醤油、漬物へと加工し、それぞれの土地に根差した食文化を育んできました。ワインもまた、ブドウという農作物から生まれる発酵食品。土地の気候風土や、そこに暮らす人々の営みと切り離して考えることはできません。

▲ 「リゾナーレ トマム」では「ドメーヌ・タカヒコ」のワインペアリングを楽しめる美食プランを開催中。秋に続き、冬まで継続して期間を延長したそう。
さらに興味深かったのが、ワインづくりは焼き物にも似ている、という話でした。焼き物は、その土地の土や気候、そして職人の技が重なりあって生まれるもの。同じように、ワインもまた、産地の風土と気候、そして造り手の技術が揃って初めて、その土地ならではの個性を宿します。
つまり、曽我さんが追求しているのは、どこでつくっても同じ味わいになるワインではなく、余市という土地でしか生まれ得ないワイン。ワインの世界では「テロワール」という言葉がよく使われますが、曽我さんの話を聞いていると、それが単なる土壌や気候のことではなく、人の営みまで含めた土地の文化なのだと気づかされます。
ひとりの造り手の挑戦が、やがて地域全体の価値を高めていく……「ドメーヌ・タカヒコ」の成功は、単に日本から世界的なワインが生まれたというだけでなく、余市という土地の可能性を世界に示したことにも大きな意味があるのでしょう。

▲ 「旅×農業」をコンセプトに、「星野リゾート トマム」の広大な敷地で展開する「ファーム星野」。牛たちがのびのびと草を食む牧歌的な風景が広がり、搾りたての生乳を使ったチーズやヨーグルトなどの乳製品づくりにも取り組んでいる。
一方、今回の舞台となったトマムは、北海道のほぼ中央に位置しています。広大な北海道には、海の幸、山の幸、酪農製品、そしてワインと、実に多彩な食の魅力がありますが、それぞれの産地は離れているため、一度の旅ですべてを訪ねるのは至難の技。その点、トマムは北海道各地の食材やワインが集まり、それらをひとつの食体験として楽しめる場所になり得ます。実際、「星野リゾート トマム」では、旅×農業をテーマにした「ファーム星野」を展開し、敷地内で牛を育て、乳製品づくりにも取り組んでいます。単に北海道の食材を集めるだけでなく、自ら農業に関わり、その価値を伝えようとしているのです。

▲ 「リゾナーレトマム」を代表するイタリアンレストラン「OTTO SETTE TOMAMU(オットセッテ トマム)」。北海道の豊かな食材とイタリアの郷土料理を融合し、土地の恵みを生かした独創的なコース料理を厳選されたワインとともに楽しめる。
今回の「FARM & VIGNE」も、そんな取り組みの延長線上にあるイベントでした。ディナーはまず、広々としたファームエリアでのアペリティフからスタート。放牧された牛たちを眺めながら、ファーム星野のホエー(乳清)を使ったモクテルや、曽我さんが醸造を手がけた余市産のシードルを楽しみます。
そして舞台は、リゾートのメインダイニング「OTTO SETTE TOMAMU(オットセッテ トマム)」へ。こちらは北海道の旬の食材とイタリアの郷土料理を掛け合わせる、リゾートを代表するイタリアンレストラン。「美しい組み合わせ」を意味する「Bella Combinazione」をコンセプトに掲げています。

▲ 左より、「星野リゾート トマム」総支配人の渡辺巌さん、「OTTO SETTE TOMAMU」の鈴木將平料理長、「ドメーヌ・タカヒコ」曽我貴彦さん。
今回、料理を手がけた鈴木將平シェフが試みたのは、通常のペアリングとは逆のアプローチ。まず「ドメーヌ・タカヒコ」のワインを第一に考え、その味わいから料理を発想するというものでした。たとえば「ナナツモリ パストゥグラン 2024」に合わせたのは、「ジャガイモと白身魚のトルティーノ」。北海道産の魚介とジャガイモに、「ファーム星野」でつくられた熟成チーズのソースを重ねたひと皿です。魚料理には白ワイン、という定石を覆して、赤ワインを合わせながらも、穏やかなタンニンとチーズの旨味が見事に調和。北海道の食材が、ワインの新たな表情を引き出していました。
また、「ドメーヌ・タカヒコ」を代表する「ナナツモリ ピノ・ノワール」は、2022年と2024年の異なるヴィンテージを飲み比べ。同じ畑で育ったブドウから造られたワインでありながら、年ごとの気候によってこれほど表情が異なるのかと驚かされました。こうして料理とともに味わうと、曽我さんが語った「ワインは農産物」という言葉が、より実感を伴って響いてきます。

▲ 「ナナツモリ ピノ・ノワール」は、2022年と2024年の異なるヴィンテージを飲み比べ。同じ畑で育ったブドウから造られながらも、その年の気候や生育環境によって味わいは大きく異なる。
さて、ここまで読んで「『ドメーヌ・タカヒコ』のワインを飲んでみたい!」と思った方に朗報です。星野リゾートの「リゾナーレトマム」では、今回のメーカーズディナーを追体験できる「秋の美食プラン」を2026年10月31日まで、また12月1日より「冬の美食プラン」として販売しています。このプランでは、「OTTO SETTE TOMAMU」での全9品のディナーに、ドメーヌ・タカヒコのワイン2種を含むペアリングを用意。
「リゾナーレトマム」秋冬の美食プランへ急げ!
注目したいのは、イベントでも披露された、ふたつの特別な組み合わせです。ひとつは「ヨイチ・ノボリ ナカイ・ブラン 2024」と、レモンバームなどのハーブを使った「レモンバームのインサラータ」。もうひとつは、ワインの澱に由来する複雑な旨味を備えた「ナナツモリ O-Lie 2024」と、香草をまとわせて焼き上げた「仔羊のアロースト」です。さらに、北海道各地のナチュラルワインを揃えた「TOMAMU Wine House」での飲み比べも楽しめるというから、ワイン好きにはたまりません。
▲ レモンバームを始めとするハーブの爽やかな香りを生かしたひと皿に合わせるのは、「ドメーヌ・タカヒコ」の「ヨイチ・ノボリ ナカイ・ブラン 2024」。
▲ 「秋の美食プラン」で提供される「仔羊のアロースト」。「ドメーヌ・タカヒコ」の「ナナツモリ O-Lie 2024」の澱に由来する複雑な旨味と仔羊の滋味が響き合う。
▲ 北海道各地のナチュラルワインを取り揃える「TOMAMU Wine House(トマム ワインハウス)」。今回の「秋の美食プラン」には、こちらで楽しめるワイン3種の飲み比べチケットも含まれており、北海道ワインの多彩な魅力に触れることができる。

▲ レモンバームを始めとするハーブの爽やかな香りを生かしたひと皿に合わせるのは、「ドメーヌ・タカヒコ」の「ヨイチ・ノボリ ナカイ・ブラン 2024」。

▲ 「秋の美食プラン」で提供される「仔羊のアロースト」。「ドメーヌ・タカヒコ」の「ナナツモリ O-Lie 2024」の澱に由来する複雑な旨味と仔羊の滋味が響き合う。

▲ 北海道各地のナチュラルワインを取り揃える「TOMAMU Wine House(トマム ワインハウス)」。今回の「秋の美食プラン」には、こちらで楽しめるワイン3種の飲み比べチケットも含まれており、北海道ワインの多彩な魅力に触れることができる。
1日わずか2組限定という贅沢なプランですが、入手困難なワインをただ飲むのではなく、その土地の食材とともに味わい、造り手が大切にしている風土や文化に思いを馳せる。そんな体験こそ、わざわざ北海道まで出かける価値があるというもの。曽我さんが語った「その土地でしかつくれないもの」の価値は、ワインに限った話ではなく、旅にも通じることなのかもしれません。北海道の大地が育んだワインと食を、その北海道で味わう。そんな旅に出かけてみませんか。

◆リゾナーレトマム 秋の美食プラン
住所/北海道勇払郡占冠村字中トマム
予約&問い合わせ/0167-58-1145(10:00〜18:00)
実施期間/10月31日まで
*冬の美食プランとして2026年12月1日~も開催が決定。
料金/1泊2日 1名6万3100円〜(2名1室利用時、税・サービス料込)
定員/1日2組限定(1組大人2名まで)
プランHP
ホテルHP
【プランに含まれるもの】
・「リゾナーレトマム」のスイートルーム1泊
・「OTTO SETTE TOMAMU」での全9品の特別ディナー(18:00入店)
・「ドメーヌ・タカヒコ」のワイン2種を含むワインペアリング
・「TOMAMU Wine House」での3種飲み比べチケット
・朝食
・ミナミナビーチ、木林の湯のフリーパス(雲海テラスは10月13日で営業終了)
休日はこちらへのサウナ&美食旅、いかがでしょ?
















