2026.07.31
【トルコ】イスタンブールへの旅で見つけた男の「ロマン」スポット5選
ヨーロッパとアジアが交わる街、イスタンブール。その魅力は美しい景色だけではありません。スルタンが暮らしたトプカプ宮殿、地下に眠る巨大貯水池、世界最古級のバザール、そしてボスポラス海峡──。歴史と文化が幾重にも重なる街を歩けば、誰もが旅人であり、冒険家になれます。大人の知的好奇心を刺激する、イスタンブールの「ロマン」を巡る旅へ!
- CREDIT :
撮影/秋山 都、かくたみほ 取材協力/トルコ共和国大使館文化観光局、ターキッシュエアラインズ
「ロマン」を求め、飛んでイスタンブール♪
そもそもロマンとはなんでしょう? 語源はフランス語の「roman(小説)」であり、中世の騎士道物語のように「現実離れしたドラマチックな出来事」を連想させることから、現在の夢や冒険、未知のものへの憧れを表す言葉になったのだとか。
夢や冒険、未知のもの……トルコの古都、イスタンブールを歩いていると、その「ロマン」をひしひしと感じます。かつてスルタンたちが暮らした宮殿、地下深くに眠る巨大貯水池、世界中の商人が行き交ったバザール、そしてヨーロッパとアジアを隔てるボスポラス海峡。幾つもの文明が交差し、栄華と興亡を繰り返してきたこの街では、一つひとつの景色が旅人の想像力を刺激します。
▲ 赤色は「独立」や「国を守るために流された血」を、三日月は「国家の守護や繁栄」を、星は「国家の統一や自由」を象徴しているトルコの国旗。
名所や遺跡を巡るのも良いけれど、イスタンブールの真の魅力は、歴史の舞台をただ見学するのではなく、悠久の時間の流れに身を置き、自分自身もまた物語の登場人物になったような気分を味わうことにあるでしょう。そんな、大人の「ロマン」あふれる旅へ、出かけてみませんか。本記事ではイスタンブールで味わえる5つの代表的な「ロマン」をご紹介します。
INDEX
■01.権力と愛の欲望にまみれた「トプカプ宮殿」
■02,ヨーロッパとアジアを行き来できる「ボスポラス海峡」
■03.「バシリカ・シスタン」地下に眠る、もうひとつのイスタンブール
■04.世界最古のショッピングモール「バザール」で宝探し
■05.想像力をおともに歩く「イスタンブールの街角」
■おすすめホテル「Hovagimyan Hotel and Suites」
■おすすめレストラン「Muutto Anatolian Tapas Bar」
【ロマン01.】権力と愛の欲望にまみれた「トプカプ宮殿」
約400年にわたりオスマン帝国の政治の中心として機能したトプカプ宮殿は、歴代スルタンの居城であり、帝国の中枢を担った場所でした。小高い丘の眼下にはボスポラス海峡を望み、壮麗な建築や宝物の数々からは、世界を席巻した大帝国の栄華が伝わってきます。でも、この宮殿で最も気になるのは、さらに奥に広がるハレム(ハーレム)……ですよね??
▲ トプカプ宮殿博物館のチケットはウエブサイトから購入できます。ハレムの入場には別チケットが必要。
▲ ハレムの一室。王族に仕える内官たちは、王に仕える人は白人、ハレム内の女性たちに仕える人は黒人と定められていました。何故だと思いますか?
▲ ハレムはスルタンが家族と暮らす場所だっただけでなく、側妾たちが音楽、文学、刺繍、礼儀作法を学んだ教育機関でもありました。
▲ 「聖遺物室(ハス・オダ)」には、預言者ムハンマドの聖なるマント(ヒルカ・イ・サアデット)、聖なる髪(サカル・イ・シェリフ)、ウフードの戦いで折れた歯の破片、足跡などが展示されています。写真は預言者ムハンマドのお墓をリノベーションした際に出た聖なる埃。
▲ 人が群がっているのでなんだろう? と見たら、「モーセの杖」とのこと。モーセがエジプトから逃れる際、海に向かって杖を差し伸べると紅海が真っぷたつに割れたというあの杖です。
▲ トプカプ宮殿博物館のチケットはウエブサイトから購入できます。ハレムの入場には別チケットが必要。
▲ ハレムの一室。王族に仕える内官たちは、王に仕える人は白人、ハレム内の女性たちに仕える人は黒人と定められていました。何故だと思いますか?
▲ ハレムはスルタンが家族と暮らす場所だっただけでなく、側妾たちが音楽、文学、刺繍、礼儀作法を学んだ教育機関でもありました。

▲ 「聖遺物室(ハス・オダ)」には、預言者ムハンマドの聖なるマント(ヒルカ・イ・サアデット)、聖なる髪(サカル・イ・シェリフ)、ウフードの戦いで折れた歯の破片、足跡などが展示されています。写真は預言者ムハンマドのお墓をリノベーションした際に出た聖なる埃。

▲ 人が群がっているのでなんだろう? と見たら、「モーセの杖」とのこと。モーセがエジプトから逃れる際、海に向かって杖を差し伸べると紅海が真っぷたつに割れたというあの杖です。
ハレムと聞くと、美しい女性たちが暮らした官能的な空間を思い浮かべるかもしれません。でも実際には、スルタンの母や妃、皇子たちも生活し、皇位継承や宮廷政治にも大きな影響を与えた、もうひとつの権力の中枢だったようです。豪華なタイルで彩られた回廊や私室を歩いていると、愛する者をそばに置きたいという欲望と、帝国を守り抜こうとする権力への執着が、複雑に絡み合っていたことが想像できます。
ここに暮らした人々では、世界的に大ヒットしたドラマ『オスマン帝国外伝〜愛と欲望のハレム〜』でも有名なスレイマン大帝がまず思い浮かびます。奴隷から寵妃にのぼりつめたヒュッレムとの愛憎劇を思い描きながら、ドラマの登場人物になったつもりで歩きました。ちなみにトプカプ宮殿はきちんと見ようと思ったら半日は必要ですので、スケジュールはしっかり確保することをおすすめします。
【02.】ヨーロッパとアジアを行き来できる「ボスポラス海峡」
イスタンブールを南北に貫くボスポラス海峡は、ヨーロッパとアジアを隔てる約30kmの海の道。古代から交易船や軍船が行き交い、ビザンツ帝国、オスマン帝国へと時代が移り変わっても、この海峡は世界を結ぶ大動脈であり続けてきました。
今回はその魅力を存分に味わいたく、クルーズに乗船。海風が頬をなで、宮殿やモスク、瀟洒な邸宅がゆっくりと左右を流れていく風景に、自分がまさにヨーロッパとアジアのはざまにいるんだな、と実感しました。飛行機で数時間かけて渡る大陸ではなく、わずか数十分ほどの船旅でヨーロッパからアジアへ──そんなスケール感もまた、この街ならではの醍醐味です。
【03.】「バシリカ・シスタン──地下に眠る、もうひとつのイスタンブール」
イスタンブールの地下には、もうひとつの都市が眠っています。「地下宮殿」として知られるバシリカ・シスタンは、6世紀、ビザンツ帝国の皇帝ユスティニアヌス1世によって築かれた巨大な地下貯水池。当時、皇帝の宮殿や周辺施設へ安定して水を供給するために造られたもので、約9800平方メートルもの空間には336本の大理石の円柱が整然と並びます。その姿が壮麗な宮殿を思わせたことから、「地下宮殿」と呼ばれるようになりました。
▲ イスタンブールの観光名所が数多くある旧市街スルタンアフメット地区。地下へ降りた先に広がるバシリカ・シスタン。
▲ 蛇の柱は、なぜかこの一本のみ常に濡れていることから、別名「嘆きの柱(涙の柱)」とも呼ばれている。
▲ The Sarnıç Restaurant(ザ・サルナチ・レストラン)。サルナチとは貯水施設の意味だそう。
▲ イスタンブールの観光名所が数多くある旧市街スルタンアフメット地区。地下へ降りた先に広がるバシリカ・シスタン。
▲ 蛇の柱は、なぜかこの一本のみ常に濡れていることから、別名「嘆きの柱(涙の柱)」とも呼ばれている。
▲ The Sarnıç Restaurant(ザ・サルナチ・レストラン)。サルナチとは貯水施設の意味だそう。
1453年にオスマン帝国がコンスタンティノープルを征服した後も、この貯水池はそのまま利用されてきました。しかし時代が下るにつれ、その存在は次第に忘れられていったようで、16世紀、当地を訪れたフランス人学者ペトルス・ギリウスが調査の末に再発見(なんでも、住民が床下の穴から水を汲み、魚まで釣っているという話を聞いたのがきっかけだとか!)。その後、1987年より現在の姿で一般公開されていますが、映画『007/ロシアより愛をこめて』(1963)や、『インフェルノ』(2016)などの撮影にも使われているので、見たことある! という方も多いかと。でも、実際のひんやりとした空気は現地でしか味わえないので、ぜひ一度は訪れてみて。
この日のディナーは同じスルタンアフメット地区にあるレストラン「The Sarnıç Restaurant」で。やはり地下貯水槽の遺構を使用している店内は天井高6メートルの広々とした空間に円柱が林立する神秘的な雰囲気。何組ものカップルがバースデーを祝うなど、ロマンティックなひと時を過ごしていました。
【04.】世界最古級のショッピングモール「バザール」で宝探し
イスタンブールを訪れたら、一度は迷子になってみたい場所——それが15世紀、オスマン帝国の時代に築かれたグランドバザールです。約60本もの通りに4000軒近い店舗が軒を連ねるその規模は、世界最大級の屋内市場として知られ、開設から550年以上を経た今もなお、商人たちの威勢のいい掛け声が響いています。
扱われるのは、絨毯やランプ、革製品、ジュエリー、陶器、香辛料など実にさまざま。シルクロードの終着点として栄えたイスタンブールらしく、東西から集まった品々が所狭しと並ぶ光景は、それだけで壮観です。
▲ 17世紀に建てられた市場で、かつてエジプトからの輸入品が取引されていたことから「エジプシャンバザール」とも呼ばれている「スパイスバザール」。
▲ その場で搾ってくれるゴマのペースト「タヒニ」。しかし、この店主さん、ソムリエの大越基裕さんにそっくり!基裕
▲ 「ターキッシュ・デライト」という名前でも知られている伝統菓子の「ルクム」。もちもちした食感で美味。さまざまなバリエがありますが、私のお気に入りは手前の薔薇風味のもの。
▲ 手前はひき肉や野菜、米などを混ぜたものをブドウの葉で包んで煮込んだ「ドルマ」。このブドウの葉ごと食べられるんだそう。
▲ スルタンアフメット地区にある小さなバザールで、小さなカーペットを求めました。値段交渉の末に約1万5000円。果たして安いのか、高いのか……よくわかりませんが、気に入っているからまあよし。
▲ 17世紀に建てられた市場で、かつてエジプトからの輸入品が取引されていたことから「エジプシャンバザール」とも呼ばれている「スパイスバザール」。
▲ その場で搾ってくれるゴマのペースト「タヒニ」。しかし、この店主さん、ソムリエの大越基裕さんにそっくり!基裕
▲ 「ターキッシュ・デライト」という名前でも知られている伝統菓子の「ルクム」。もちもちした食感で美味。さまざまなバリエがありますが、私のお気に入りは手前の薔薇風味のもの。
▲ 手前はひき肉や野菜、米などを混ぜたものをブドウの葉で包んで煮込んだ「ドルマ」。このブドウの葉ごと食べられるんだそう。
▲ スルタンアフメット地区にある小さなバザールで、小さなカーペットを求めました。値段交渉の末に約1万5000円。果たして安いのか、高いのか……よくわかりませんが、気に入っているからまあよし。
歩くたびに気になる品が目に入り、思いがけない一品と巡りあう、その体験は、まるで宝探しのようです。 ここでは、値札どおりに買い物を済ませるのは少し味気ない。「これは何ですか?」「どうやって食べるの?」などと店主と言葉を交わし、ときには価格交渉……そんなやり取りも、この市場に息づく文化の一部なので、ぜひ気兼ねなく話しかけてみて。
私は今回、「グランドバザール」と並んで二大市場と言われている「スパイスバザール」で、搾りたてのゴマペースト「タヒニ」を購入。たっぷりあったのでトルコ人のように甘味を加えてパンに塗ったり、野菜のゴマよごし、棒々鶏などに日常使いするほか、白いんげん豆でフムスを作ってトルコ土産として友人に振る舞い、大いに面目を施しました。バザールの本当の魅力は、買った品物ではなく、‟自分だけの物語”を持ち帰れることにあるのかも。
【05.】想像力をおともに歩くイスタンブールの街角
イスタンブールは、目的地へ急ぐのがもったいない街。石畳の坂道を歩けば、小さなカフェからコーヒーの香りが漂い、角を曲がればモスクの尖塔が空に伸びています。路地では猫が気ままに昼寝をしているし、うっかりしていると鳩やカモメの落とし物が降ってくることも。ガイドブックに載る名所ももちろん素晴らしいけれど、この街の本当の魅力は、目的地へ向かう途中で何度も足を止めたくなることにあります。
▲ 街の名物、トルコアイスの店員さん。実はトルコアイスを食べたことはありませんが、写真は快く撮らせてくれました。
▲ これまた名物であり、トルコの国民食とも言えるゴマパン「Simit(シミット)」。屋台でもたくさん販売されています。
▲ 「トプカプ宮殿」近くのカフェにて。ザクロジュースをオーダーしたら、フレッシュのざくろをまるごと3個搾ってくれました。ポリフェノールたっぷり!
▲ スルタンアフメト地区の小さなバザールで出会った陶器屋さん。ブルー地に鳥を描いたものに心惹かれましたが、値段が折り合わず断念(涙)。
▲ 街のレストランで出会ったケバブ。手前のスマックと呼ばれる紫玉ねぎとイタリアンパセリのサラダとともにいただきます。
▲ トルコの定番デザート「バクラヴァ」。オスマン帝国で発明され。フィロ生地の間に刻んだクルミ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、アーモンドなどをはさみ、焼き上げてからシロップをひたひたにかけます。激アマです。
▲ 街の名物、トルコアイスの店員さん。実はトルコアイスを食べたことはありませんが、写真は快く撮らせてくれました。
▲ これまた名物であり、トルコの国民食とも言えるゴマパン「Simit(シミット)」。屋台でもたくさん販売されています。
▲ 「トプカプ宮殿」近くのカフェにて。ザクロジュースをオーダーしたら、フレッシュのざくろをまるごと3個搾ってくれました。ポリフェノールたっぷり!
▲ スルタンアフメト地区の小さなバザールで出会った陶器屋さん。ブルー地に鳥を描いたものに心惹かれましたが、値段が折り合わず断念(涙)。
▲ 街のレストランで出会ったケバブ。手前のスマックと呼ばれる紫玉ねぎとイタリアンパセリのサラダとともにいただきます。
▲ トルコの定番デザート「バクラヴァ」。オスマン帝国で発明され。フィロ生地の間に刻んだクルミ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、アーモンドなどをはさみ、焼き上げてからシロップをひたひたにかけます。激アマです。
予定どおりに歩かなくてもいい。むしろ、道に迷うくらいがちょうどよく、思いがけない景色や店、人との出会いが、旅を少しずつ自分だけのものに変えてくれました。イスタンブールのロマンとは、この街の空気に身を委ね、「次の角を曲がったら何があるだろう」と胸を弾ませること。そのワクワクこそが、旅の醍醐味なんじゃないかな。
「Hovagimyan Hotel and Suites」
さて、ここからはイスタンブールのおすすめホテルとレストランを厳選して1軒ずつご紹介。まず今回、イスタンブールでの滞在先に選んだのは、港町カラキョイにひっそりと佇む「Hovagimyan Hotel and Suites(ホヴァギミヤン・ホテル&スイーツ)」。1920年代の歴史的な建築をアルメニア人建築家レオン・ナフィリャンが修復し、全21室のスイートホテルへとよみがえらせました。随所にオーナーが収集したアール・ヌーヴォーやアール・デコ期のアンティークとアート作品が配され、まるでセンスのいい友人の家を訪れたよう。 客室にはキッチンも備わっていたので、旅先でありながら自分の部屋に戻ったようにくつろげました。
▲ 全21室のブティックホテルながら、客室はすべてスイートで広々。
▲ 朝食はフルーツ、サラダ、パンなどのシンプルなものでしたが、このサラダが絶品!
▲ 洗練されたトルコ料理を味わえるレストラン「sen’den」。カクテルもすばらしかった。
▲ ウエス・アンダーソン監督の作品に出てきそうな美しいホテル「Hovagimyan Hotel and Suites」。

▲ 全21室のブティックホテルながら、客室はすべてスイートで広々。
▲ 朝食はフルーツ、サラダ、パンなどのシンプルなものでしたが、このサラダが絶品!

▲ 洗練されたトルコ料理を味わえるレストラン「sen’den」。カクテルもすばらしかった。

▲ ウエス・アンダーソン監督の作品に出てきそうな美しいホテル「Hovagimyan Hotel and Suites」。
地上階には、イスタンブールの多彩な食を現代的に表現するレストラン「sen’den」を併設。ガラタ塔やガラタポートにも歩いて行ける立地ながら、街の喧騒から少し距離を置きたい——知る人だけがたどり着く、大人のための隠れ家のようなホテルです。
「Muutto Anatolian Tapas Bar」
トルコは、中央アジアや中東、地中海、バルカン半島など、多彩な人と文化が交差しながら独自の食文化を育み、地域ごとに豊かな郷土料理が受け継がれてきました。その伝統を現代の感性で楽しめると、いま注目を集めているレストランが「Muutto Anatolian Tapas Bar(ムート アナトリアン・タパス・バー)」。
▲ アボカドとパプリカのソースを乗せたギリシャ風チーズの前菜など、どれもワインが進むタパスたち。
▲ ピデと呼ばれる舟型のパン(右)は、ピザの原型とも言われています。
▲ ミシュランガイドでもセレクテッドレストランとして掲載されている「Muuto Anatolian Tapas Bar」。昼夜通しで営業しているから行きやすいのも魅力。
▲ アボカドとパプリカのソースを乗せたギリシャ風チーズの前菜など、どれもワインが進むタパスたち。
▲ ピデと呼ばれる舟型のパン(右)は、ピザの原型とも言われています。

▲ ミシュランガイドでもセレクテッドレストランとして掲載されている「Muuto Anatolian Tapas Bar」。昼夜通しで営業しているから行きやすいのも魅力。
店名の「Muutto」はフィンランド語で「移動」を意味するそうですが、その名の通り、ここで食事をしているとまさに食卓で旅をしているような気分に。アナトリアをはじめ、シルクロードや地中海で育まれた食文化に着目し、スペインのタパススタイルで再構築しているので、ポーション的にも軽く、食べやすいのもありがたかった。伝統料理に現代的な感性を重ねたひと皿はどれも洗練されており、目の前に広がるボスポラス海峡の景色とともに、忘れられない時間となりました。

▲ 「Hovagimyan Hotel and Suites」の最上階テラスから望むボスポラス海峡。ここがヨーロッパ、そして対岸に見えるのがアジアという不思議。
宮殿に残る権力の記憶、ヨーロッパとアジアを分ける海峡、闇の中に眠る地下宮殿、無数の店が連なるバザール、そして、多彩な表情をもつ街……と、5つの側面からイスタンブールをご紹介しました。でも、この街の魅力は名所を巡ることだけでは語りきれません。歴史と現在、東洋と西洋、荘厳さと猥雑さがひとつの街のなかで交差し、訪れるたびに知的な刺激を与えてくれるからです。大人の旅に必要なのは、すべてを理解することではなく、少し謎を残したまま心を遊ばせることなのかも。イスタンブールには、そんな旅のロマンが今も息づいています。
取材協力



















