2020.03.03
金沢から足を伸ばして! 加賀温泉郷で究極のリラックスを【後編】
前編では加賀温泉郷の3つの温泉の魅力をご紹介しました。後編では、なかなかガイドブックでも 見つけることのできない加賀温泉郷のひとつ、片山津温泉にフォーカス。知られざる魅力をご紹介します。
- CREDIT :
写真/Shoko Takayasu 取材・文/菅 礼子
秘密のベールに包まれた片山津温泉を知っていますか?

いわゆる温泉街という街並みが出迎えてくれた山中温泉や山代温泉に対し、片山津温泉は、富士山・立山と並ぶ日本三大霊峰(日本三名山)のひとつ白山と、一日に七色の表情を魅せるといわれる柴山潟を望む山紫水明な湯の街です。
柴山潟の湖畔には、前編でもお伝えしたように、ニューヨーク現代美術館MoMAやGINZA SIXを手掛けた谷口吉生氏によるガラス張りのファサードが印象的な共同浴場「総湯」が佇み、観光客を楽しませてくれます。
フタを開けてみると石川県の美しい伝統文化を発信する素敵なスポットが満載のため、目利きこそ訪れるべき観光地としてオススメ致します。

まずは名産品をチェック!

片山津温泉の周辺には、それらを語るにマストな工場や工房などが点在していると聞き、最初に向かったのは、加賀棒茶を作る「丸八製茶場」の本社。建物に入る前から茶葉を焙煎した芳ばしい香りが漂ってきました。
もともとほうじ茶は番茶と言われ、加賀・金沢では普段のお茶として親しまれています。加賀棒茶はお茶の茎を使用していることで棒茶と呼ばれ、強い火力で焙煎することから味が画一的になりがちでした。
しかし、こちらの製茶場は、1983年に昭和天皇が石川県を訪れた際に「天皇陛下に最高のほうじ茶を」という依頼を受け、厳選された一番摘みの茎を使用した「献上加賀棒茶」を生み出しました。

まずは手前のラボ空間。スタッフの方がその場で原料を焙煎し、できたての加賀棒茶をいれてくれます。焙煎する前の煎茶との飲み比べをした後は、奥の茶室へ。
クラシックとは一線を画す空間で異なった種類のほうじ茶を味わえるのですが、ペアリングされるあてもひとひねりしたものが多く、ゆったりとした時間の中でほうじ茶を楽しむことができます。
丸八製茶場にお越しの際はぜひ、茶室でのほうじ茶体験を。
こちらがモダン茶室「双巌軒」。地元にある鞍掛山からその名がつけられたそう。
まるでラボ(実験室)のようなクリーンな空間でお茶と向き合う新たな体験。お茶をいれてくれるのは本社併設の喫茶「実生」のスタッフ。工場の焙煎職人が直接説明に立つこともあります。
小型焙煎機で茶葉をその場で焙煎。目の前で行われる焙煎により、芳ばしい香りが茶室内に広がります。
焙煎をする前と後という、それぞれのお茶を飲み比べるという貴重な体験も。
こちらが奥の茶室。伝統的な畳ではなく、椅子に座るので高齢者や外国人にも喜ばれるそう。
モダン茶室でのほうじ茶体験は要予約で、一名2000円(税込)。
こちらがモダン茶室「双巌軒」。地元にある鞍掛山からその名がつけられたそう。
まるでラボ(実験室)のようなクリーンな空間でお茶と向き合う新たな体験。お茶をいれてくれるのは本社併設の喫茶「実生」のスタッフ。工場の焙煎職人が直接説明に立つこともあります。
小型焙煎機で茶葉をその場で焙煎。目の前で行われる焙煎により、芳ばしい香りが茶室内に広がります。
焙煎をする前と後という、それぞれのお茶を飲み比べるという貴重な体験も。
こちらが奥の茶室。伝統的な畳ではなく、椅子に座るので高齢者や外国人にも喜ばれるそう。
モダン茶室でのほうじ茶体験は要予約で、一名2000円(税込)。

■ 丸八製茶場 実生
住所/石川県加賀市動橋町タ1-8
TEL/0120-42-4251
定休日/水曜(祝日の場合は木曜休業)
HP/https://misho.kagaboucha.com
中でも創業200年の歴史を誇る鹿野酒造は、片山津温泉を訪れたら是非とも立ち寄りたい場所のひとつ。この日は特別に酒蔵内を見学させていただきましたが、ちょうど酒作りがスタートした時期でもあったので、活気に満ちていました!
蔵の玄関では、一般の方もテイスティングができるとのこと(有料)。酒米・山田錦から自社田で栽培し、霊峰白山の伏流水である「白水の井戸」の水を使用したこだわりの日本酒が頂けます。
鹿野酒造は霊峰白山を望む加賀の地で1819年に創業。クラシックないでたちがたまりません。
杉玉が吊るされた風情ある軒先。
杜氏自らが仕込み具合を日々、丁寧にチェックしていきます。
酒造りに使用する酒米も酒蔵の向かいの水田で作るなど、徹底した品質管理にこだわっているのも人気の秘密です。
鹿野社長と「常きげん」の蔵人チームたち。クオリティの高い日本酒を作るにはチームワークが欠かせません。
鹿野酒造は霊峰白山を望む加賀の地で1819年に創業。クラシックないでたちがたまりません。
杉玉が吊るされた風情ある軒先。
杜氏自らが仕込み具合を日々、丁寧にチェックしていきます。
酒造りに使用する酒米も酒蔵の向かいの水田で作るなど、徹底した品質管理にこだわっているのも人気の秘密です。
鹿野社長と「常きげん」の蔵人チームたち。クオリティの高い日本酒を作るにはチームワークが欠かせません。

■ 鹿野酒造
住所/石川県加賀市八日市町イ-6
TEL/0761-74-1551
定休日/年末年始
HP/http://www.jokigen.co.jp

呉須で線描きをした白い素地に緑、黄、紫、紺、赤などの五彩を重ねて鮮やかな模様を作り出す九谷焼ですが、お伺いした「磁器工房 白象」の山下一三さんは、伝統的な手法を用いながらも前衛的なアイディアで、とてもユニークな作品を多数生み出していらっしゃいます。
特に曲線が特徴的な日常の器に加え、最近では九谷焼のホルンやケーナといった楽器も作っているそうです。

山下さんが手にしているマグカップはユニークなデザインながらも手にした際のフィットなどが細かく計算されています。
師匠に習い伝統的な手法に従いながらも、デザインや色付けで山下さんの個性を表現。
絶妙に変わる細かな色合いを表した独自のパレットももちろん九谷焼で。
竹で作った自家製の筆。動物の毛では書けない風合いが表現できるのだそう。
楽しい形を生み出すことを念頭にものづくりをする山下さんらしいカップ。
山下さんが手にしているマグカップはユニークなデザインながらも手にした際のフィットなどが細かく計算されています。
師匠に習い伝統的な手法に従いながらも、デザインや色付けで山下さんの個性を表現。
絶妙に変わる細かな色合いを表した独自のパレットももちろん九谷焼で。
竹で作った自家製の筆。動物の毛では書けない風合いが表現できるのだそう。
楽しい形を生み出すことを念頭にものづくりをする山下さんらしいカップ。
■ 磁器工房 白象
片山津の美食を堪能も忘れずに!
石川に来たらお寿司は欠かせないところですが、地元の漁師さんたちが足しげく通うお寿司屋さんが「鮓 一貫」です。田んぼの真ん中に突如現れるコンクリート打ちっ放しのモダンな一軒で、カウンター8席に個室スペースも設けられており、大将お一人で握って下さいます。
店内はランチ時から混み合っているわけですが、それもそのはず。地元漁港で獲れたフレッシュな旬のネタを堪能できるうえ、リーズナブルなのです。伺った時期は稀少な香箱ガニがありました!
ランチなら3000円ほどで満足できるという、片山津に足を運んだからこそ味わえる美食です。
■ 鮓 一貫
住所/石川県加賀市梶井町43-5
TEL/0761-74-8555
定休日/毎週月曜、第1・3日曜日(変更の場合あり)
地元の料理人の皆さんが「自分が片山津で食べに行くなら」と紹介して下さっただけあって、料理一品一品に大将の食材へのこだわりが感じられます。
例えば白子は腹出しのものしかお客様に出さず、そのためお店に出ない日もあるそう。メニューはあってないようなもので、そんなフレッシュな白子や魚介を大将に相談しながら調理してもらうという贅沢なお店です。
白子や香箱ガニ、ズワイガニの天ぷらなど、こちらも旬な素材を家庭的な料理で出してくれます。

■ 王将
住所/石川県加賀市潮津町チ30
TEL/0761-74-5040
定休日/不定休
「温泉に来て、ホテル?」と思われる方もいるかも知れませんが、上述したとおり、片山津温泉は日本海に近い立地ゆえ、新鮮な魚介を堪能できるお寿司屋さんなどが点在しています。そのため、素泊まりも可能なアローレに泊まって自分のお気に入りのお食事処で夕食や地酒を頂くのが、ツウの愉しみ方。
また、アローレは柴山潟湖畔の丘の上に建っていることから、目の前に開ける絶景はもちろんのこと、お部屋によっては白山連峰の日の出や日本海の水平線も見ることができます。
さらに、東京ドーム1.5個分に相当する広大な敷地内には、南青山の名店リストランテ山﨑で初代シェフを務めた寺島氏率いる本格イタリアンに加え、和食、フレンチの3レストランが揃う他、温泉はもちろん、プールやサウナ、テニスコートもあるので、ホテルでの滞在だけでも十分満喫できますよ。
ロビーラウンジやショップでは加賀の作家さんによる九谷焼や漆器といった伝統工芸品の数々や地元の名産品が購入できるので、要チェックを。「磁器工房 白象」の作品もこちらで購入可能です。