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2022.03.06

隠岐の大自然を楽しむ、日本初の本格的ジオホテルって何?

島根半島から北へ約80km。隠岐ユネスコ世界ジオパークに指定された隠岐諸島の中ノ島に誕生したホテル「Entô(エントウ)」。他のどこでも体験できない驚きに満ちた癒しと感動の時間が過ごせると評判なのです。

CREDIT :

文/小野アムスデン道子

▲ Entôは海に向いた全面ガラス窓の建物。設計は国内外の建築賞を受賞している「MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO」。
悠久の時が作り上げた断崖や奇岩、絵の具を重ねたような地層など島根県の隠岐諸島は、ユネスコ世界ジオパークに認定されている絶景の宝庫。180もある島々のひとつ、中ノ島・海士町の海辺に2021年7月に開業したジオホテル「Entô(エントウ)」は、全面窓の斬新な建物に目を奪われます。島に近づくと、海上から見える姿に期待が膨らむ、離島の絶景ホテルをご紹介します。
▲ 天井までガラスのロビーの窓。船上からの眺めのように目の前に海と島が広がる。
Entôへは、島根本土からフェリーで約3時間の旅。隠岐の島町にある隠岐空港経由もありますが、最後はやはり海上からのアプローチ。海士町の玄関口である菱浦港に近づくと、Entôのドラマティックな姿が迎えてくれます。そんな到着までの道行の長さもこのホテルの希少性を高めているのかも。ここまで来たからこそ出会える特別なジオ・スケープ(地球の風景)が待っています。
▲ 茜色に染まっていく空がまた美しいロビーからの眺め。
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到着してすぐ、天井まで窓が広がるエントランスロビーから眺める海のパノラマにまず魅了されます。ここから眼前の海と西ノ島に沈んでいく夕日は抜群の美しさ。ふたりでまたとない日没の時間を共有できます。ディナー前には、ぜひここでゆっくりしてください。
Entôは、隠岐ユネスコ世界ジオパークの玄関口ともいえるホテルであり、情報発信拠点でもあります。建物は2つに分かれていて、ロビーのあるBASE(本館)には、Entô Dining、温泉、ライブラリーと客室。Annex NEST (別館)には、ジオパークの情報が入る展示室「Geo Room “Discover”」と客室が入っています。この展示室がすごく面白いんです。
▲ 島前3島の地質的見どころや歴史もジオラマで展示。Photo by Kentauros Yasunaga 
▲ 広々した空間が気持ちいい Annex NEST。NESTは、断熱性や遮炎性、遮音性に富む木材パネルを使った環境に優しいCLT工法。
ホテルのある海士町を含む隠岐の島前(どうぜん※)が出来たのは人類誕生とほぼ同じ約600万年前。長い地球の歴史でつくられたむき出しの地層や断崖絶壁などあちこちにある絶景はここでしか見られないもの。これらが展示室ではシュールな真っ白のジオラマになっているので、かえって想像をかきたてられます。

それぞれの島の見どころが分かるので、島巡りのプランを立てるのにもぴったり。また、100億年前からの年表もあって、大河ドラマでも注目の後鳥羽上皇がこの地に配流された800年前が、なんだかつい最近のように思えてきます。
※島前とは、隠岐諸島のうち西側の有人3島及び周辺の無人島により構成される群島。東側の主島である島後と対をなす。
▲ 波が打ち寄せる明屋海岸。右に見えるのがハート岩。
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Entôのある海士町は人口約2300人の小さな島。女神がお産をしたという神話のある明屋海岸、岩にできた空洞の形からハート岩ともいわれる屏風岩、後鳥羽上皇を祭神とする由緒ある隠岐神社など、展示室でジオラマにもなっているスポットは、レンタサイクルを借りれば2時間ほどで回れます。
▲ スタッフに教えてもらったアズマ堂にはおいしそうなドーナツが並ぶ。
途中にある古民家のベイクショップや島のパン屋さんなどがとてもお洒落で、緑の田畑や山合いの素朴な景色の中に珠玉を見つけるような楽しさがあります。聞けば、IターンやUターンでこの島に移り、お店を始める人も多いのだとか。ユネスコ世界ジオパークに認定されているのは、大地の成り立ちや離島独自の生態系もありますが、人の営みとのつながりも評価されています。それだけ人をひきつける魅力があるんですね。
▲ 標高差257mでひときわ断崖絶壁ぶりが目立つ摩天崖。
ほかにも、島前3島を巡る内航船ですぐの知夫里島には、「赤壁」と呼ばれる、100mの崖に600万年前に出来た真っ赤な地層がむき出しになっている名所が。また、その隣、西ノ島の257mの高さにそそり立つ「摩天崖」と呼ばれる断崖も必見です。
▲ 摩天崖の上から。絶壁のせまい崖の上の草原で牛や馬が放牧されている。
ここから侵食された変化のある国賀海岸までは、隆起と侵食が造る絶景が見られる遊歩道で、隠岐観光では外せないコース。摩天崖の上の草原で、のんびり草を食む放牧牛や馬を見ながら、下り道で振り向いた時の断崖絶壁ぶりに驚かされます。これらの3島の見どころはそれぞれ3時間ほどで回ることができます。
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▲ 目の前に朝日が昇り、やがて船が行き交うEntôの客室。Photo by Kentauros Yasunaga 
そんな島巡りの拠点となるEntôですが、すべての客室がオーシャンフロントを誇るこちらの宿での滞在もまた格別。特に別館のAnnex NESTの客室は、目の前に広がる海と島々、そこを行き交う船を眺めて何時間でも過ごせそうな魅力的な空間です。
▲ 客室の扉を開けた向こうにプライベートテラス。部屋でも外との繋がり感じる。Photo by Kentauros Yasunaga 
海に面して、奥行きが浅く横に長い客室は、巣を意味するNestという名前の通り、木の香りに溢れるナチュラルなインテリアで寛げます。天井までの大きな窓からはジオパークらしい雄大な眺望が広がり、解放感を感じます。夏には心地よい海風を楽しめるプライベートテラス付きの部屋や、海に浮かぶ船を眺めながら入浴できるバスルームがある部屋など、この立地ならではの贅沢さを味わえる客室も。
▲ 出荷が少ないため幻の黒毛和牛と言われる隠岐牛。口の中でとろける脂肪がおいしい。
Entôのダイニングは、一期一会の地のもの、旬のものにこだわったコース料理。冷たく澄んだ海に対馬暖流がぶつかって獲れる海の幸、噴火で生まれた肥沃な土地に豊富な湧き水が生む山の幸と、まず食材が素晴らしい。ぷりっと大ぶりでミルキーな味わいが自慢の特産「岩牡蠣春香」や隠岐島で生まれ、肥育された未経産の雌牛のみという「隠岐牛ロース」のステーキなど、隠岐の味が存分に楽しめます。昔、醤油蔵がなかった隠岐諸島だからこそ生まれた「こじょうゆ味噌」が風味を添え、食後には香り高いクロモジを使った「ふくぎ茶」が一服の清涼を与えてくれます。
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▲ 海士町のきれいな海で養殖された春香は、全国的に有名なブランド牡蠣。
こちらの海士町には、「島食の寺子屋」という料理人の学校があって、ここでは島の食材を生かした和食を1年にわたって学ぶのだそう。魚介、隠岐牛、野菜と充実した地元の食材を生かすために料理学校まで作るというのに驚かされます。そんな海士町のアイコンでもあるホテルでは、地産地消のモットーにシェフの感性で洗練された料理に仕上げていました。
夜の帳が下りたEntôの外では、焚き火を囲んでお酒をいただきながらのひとときも。静謐で澄んだ空気の中、空一面に広がる満点の星を眺めていると、遠い離島も地球の一部、今ここにいる時間も地球の歴史の一部だと感じられてきます。そんな時を共有できるふたりの距離をぐんと縮めてくれるホテルです。

Entô (エントウ)

住所/島根県隠岐郡海士町福井 1375-1
TEL/ 08514-2-1000
HP/https://ento-oki.jp/
料金/2万8200円~(2名1室利用時の1名料金、朝食付。税サ別)

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