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2026.05.30

完璧な人、清原果耶。その強い眼差しに、たじろぎました!

朝ドラ「あさが来た」で鮮烈なデビューを飾り、その後も「おかえりモネ」のヒロインをはじめ数々のヒット作に出演してきた清原果耶さんが舞台『レディエント・バーミン』で3人芝居に挑戦します。透明感と芯の強さを併せもつ完璧な人のイメージが強い清原さんですが、その等身大の素顔とは?

CREDIT :

インタビュー/樋口毅宏 文/井上真規子 写真/トヨダリョウ スタイリング/井阪 恵(dynamic)  ヘアメイク/窪田健吾(aiutare)  編集/森本 泉(Web LEON)

清原果耶 レディエント・バーミン 樋口毅宏 WebLEON

『さらば雑司が谷』『タモリ論』などの著書で知られる作家の樋口毅宏さんが、時代の先端を走る女神たちの魅力に迫る連載対談企画「樋口毅宏の手玉にとられたい!」。 今回のゲストは、透明感と芯の強さを併せもつ俳優の清原果耶さん。朝ドラ「あさが来た」で鮮烈なデビューを飾り、その後も「おかえりモネ」のヒロインや映画『護られなかった者たちへ』などヒット作に次々と出演。確かな演技力で、着実にキャリアを積み重ねてきました。


そんな彼女が6月から挑むのが、フィリップ・リドリー作、白井 晃演出の舞台『レディエント・バーミン』。理想の家を手に入れるために狂気へと足を踏み入れる若き妻・ジル役を演じます。これまでの「清廉」なイメージを鮮やかに裏切る、毒気とエネルギーに満ちた新境地。冷静でストイックな仕事への向き合い方から、ふとした瞬間にのぞく等身大の素顔まで、樋口さんが伺ってきました。

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「この現代で良心やイノセンスを維持すること、家族を守ることの困難さを浮き彫りにした作品」(樋口)

樋口毅宏さん(以下、樋口)  こんにちは。よろしくお願いします。6月から公演が始まる舞台『レディエント・バーミン』の初演時の脚本を拝見しました(※)。


清原果耶さん(以下、清原) よろしくお願いします。読んでいただいたんですね。


樋口 フィリップ・リドリーの寓話的なアプローチが凄いなと思いました。この現代において、良心やイノセンスを維持すること、家族を守ることの困難さを残酷なほど浮き彫りにした作品だなと。2024年のアカデミー賞を席巻したイギリス映画『関心領域』にも通じるものがあると思いました。清原さんご自身は脚本を読んでどう思われましたか。


清原  私は“ジルを演じる”というフィルター込みで、初演の脚本を読んだので、「これをやるのか……!」と、演者としての気持ちが先行しました。

※取材は舞台稽古が始まる前の早い段階で行われました。

清原果耶 レディエント・バーミン 樋口毅宏 WebLEON
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樋口 様々なキャラクターをたった3人で演じ分けていくわけですが、「一体どうやるの?」って思うような構成で。舞台って本当にすごいなと思いました。


清原 出演する俳優は3人ですが、劇中では人間が持ち合わせている無数の感情が何通りも、何通りもあらわにされていく。それが、この演劇の醍醐味だと思います。


人がここまで地に落ちていく場面に出会うタイミングってなかなかないと思うので、ジルを演じた時にどういう感情になるかがまったくわからないですが、今はただ稽古を楽しみに待っています。


樋口 頭の中で「ここはこうやろう!」とか、考えながら本を読まれたのでしょうか。


清原 そうですね。でも自分の中だけで考えても、結局自分軸でしか捉えられないとも思うので、そこでジルと向き合う意味って限定的かなとも思うんです。それよりも演出の白井 晃さんといろいろな話を重ねたり稽古をしていくなかで、ジルの有りようみたいなものが明確になっていくと思いますし、そこからが楽しいだろうなと思うので、今はあまり考えすぎないようにしています。

樋口 真っ白な状態にしているんですね。今作の舞台となる、ここ、シアタートラムには、昔、柄本明さんの1人芝居を見に来たことがあるんです。席数が200席ほどと小規模で、舞台との距離もすごく近いので、客席からは演者の一挙手一投足、些細な動きも目に入ってきます。演じ手の緊張感はすごいだろうなと思いました。


清原 そうですね。今までは観客席に座っていましたが、今回は演じる側だと思うとすごく緊張します。でも個人的に、シアタートラムの圧迫感のある、入り込まずにはいられないような環境がすごく好きなんです。その緊張感が、とてもありがたいと思える劇場というか。頑張るしかないなと思います。

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「この身を削れるだけ削ってやるしかない」(清原)

樋口 清原さんは2023年の舞台『ジャンヌ・ダルク』でも白井さんとご一緒されているんですね。


清原 そうなんです。『ジャンヌ・ダルク』が私にとって初めての舞台だったのですが、どうやって立っていればいいのかも戸惑うような、右も左もわからない状態でした。


どれだけ稽古を重ねても不安が抜けなくて、でも、白井さんに「大丈夫ですかね?」って目線を投げたら、「大丈夫だよ」と毎回絶対に励ましてくださって。部分的なことではなく、いつも全体を見て言葉をかけてくださる寛大さにすごく励まされました。

樋口 白井さんは俳優としてもたくさんの作品に出られていますが、僕の勝手なイメージで、演出家としては厳しい方なんだろうなって想像していました。


清原  厳しさも持ち合わせていらっしゃるとは思いますが、すごく丁寧な方という印象です。言葉のかけ方、教え方、一つひとつがすごく丁寧で演者に寄り添ってくださる。それがすごくありがたかったし、うれしかったです。稽古でも、毎日違うことを試して、地道に意見交換し合って、研究して詰めていくことができる空間がすごく好きでした。


樋口 なるほど〜。今回は2回目となりますが、意気込みは?


清原 今回は3人のお芝居ですし、『ジャンヌ・ダルク』とはまったく違う演劇です。わからないことも多くあると思うので、気持ちを新たに覚悟を持ってやらないといけないし、今回もこの身を削れるだけ削ってやるしかないと思っています。

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清原果耶 レディエント・バーミン 樋口毅宏 WebLEON

樋口 そうですよね。ちなみに共演される井之脇(海)さんや池津(祥子)さんとはもうお会いされたんですか?


清原 井之脇さんとは、以前に映画で2回共演させていただいていて、今回が3回目です。池津さんはこのポスターのビジュアルを撮った日に初めてお会いしたんですが、すれ違いに挨拶だけして、まだお話はできていないです(笑)。

「現場の皆さんが本当に優しくて、現場を嫌いにならずに済んだ」(清原)

樋口  清原さんは、現・事務所のオーディションを受け、デビューされたそうですね。そこから順調にたくさんの映画やドラマ、舞台に出られて、シンデレラストーリーのように駆け上がってこられたイメージがありますが、高校を卒業して上京する時に心細さを感じたりはしませんでしたか。


清原  あまりなかったです。地元が大阪なので、中学1年生から仕事の時は東京に泊まって、通いで仕事をしていたんですけど、その時から寂しさはあまり感じたことがなくて。楽しさのほうが勝っていましたね。実際に上京した時も、心情の変化はなかったです。


樋口  そうですか! そういえば昔、大阪の知人に「大阪の食べ物は美味しい。東京のうどんなんて、もう、うどんじゃない」って言われて、東京の人間である自分は内心むっとしたことがありました(笑)。


その後、妻と結婚して京都に住むことになり、大阪のうどんを食べたら出汁が素晴らしくて。知人が言っていたのは本当だった、すいませんでしたっていう気持ちになったんですが、清原さんは東京に来て食べ物で苦労されませんでしたか?

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清原  アハハ(笑)。私はなんでも美味しく食べられるタイプなので、苦労は感じたことはないですね。でも、確かに出汁は違うかもしれないですね。


樋口  ですよね〜。話はそれましたが、清原さんは上京する前に、NHKの朝ドラ「あさが来た」でデビューされました。ご自身で振り返ってみて、演技経験もまだそんなにない頃に、凄くよくできたなって思われましたよね⁉︎


清原 まったく思いません……。12歳で事務所に入って、「あさが来た」の撮影がその翌年だったのですが、本当に初めてのドラマの現場で何もできなかったんです。「恋文がもらえて羨ましい」っていう芝居をして、笑ってくださいと言われたのですが、どうしても笑えなくて。何回も撮影を止めてしまって、悔しくてその後泣きました。


あまりにお芝居のことがわからなすぎて困っていたら、共演者や監督が休日を私の稽古日に当てて、みんなで一緒に稽古をしてくださったんです。本当いろんな方々に支えてもらって、なんとか乗り切った撮影でした。

樋口  そうだったんですね……。その頃の自分になんと声をかけてあげたいですか?


清原  恵まれていてよかったね、と言いたいです(笑)。もちろん自分なりに頑張っていたとは思いますが、やっぱり現場の皆さんが本当に優しくて、だからこそ現場を嫌いにならずに済んだので。最後まで頑張れたのは周りの皆さんのお陰だったなって、そこに尽きますね。

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「撮影現場に入ってる時は、食べたいものを食べたいタイミングで食べる」(清原)

樋口  その後も朝ドラ「おかえりモネ」の主演もやられて、その度ごとに大きな関門を乗り越えてこられたと思うんですが、どういう風に困難を跳ね返してきたたんでしょう。


清原  悩みの種はその時々なので、一概にこうとは言えないですが、役や作品への理解を深めることや、現場で出会う人たちとのコミュニケーションも含めて「諦めないようにしよう」というのは一貫して思ってきたことです。


それから、何事も自分の主観だけで捉えないようにということも心がけてきました。偏るとつまらないじゃないですか。そこはもっともっと気をつけようと思っています。


樋口  例えば新しい役に挑む前に、自分の中で決めているルーティーンなどはありますか。


清原  撮影現場に入っている時は、食べたいものを食べたいタイミングで食べる、ということは決めています(笑)。

樋口  ほうほう。例えば何を食べるんですか。


清原 最近は、タコスにハマっていました。その時は海沿いのロケが多い現場だったのですが、海沿いってなぜかたくさんタコス屋さんがあって。お昼休憩の時にマネージャーさんに連れて行ってもらって、タコスを食べて撮影を頑張るみたいな。そこはわがままに甘やかしていました。

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樋口  自分へのご褒美ですね。


清原  はい、いつだってご褒美は与えるようにはしています(笑)。


樋口 タコス、(本作の劇場・シアタートラムがある)三軒茶屋にもありますよ! 


清原 本当ですか(笑)。

樋口 清原さんが喜びや幸せを感じるのは、どんな時ですか。


清原 やっぱりお芝居をするのが好きなので、撮影現場にいるのが幸せですね。作品を見てくれた方や、近くで支えてくださっているスタッフの方々に「良かったね」と、言ってもらえるのもすごくうれしいです。やっぱり楽しいからこの仕事を続けているんだろうなと思います。

「ずっと感覚を共にするような役に出会いたい」(清原)

樋口  もし俳優になっていなかったら、なんの仕事に就いていたと思いますか。


清原 映画館のもぎりとかしてみたいですね。あとは図書館で働くのも楽しそう。

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樋口  確かに、清原さんに合いますね〜。清原さんは驚くことに、まだ24歳なんですよね。これからこういう役を演じてみたい、挑戦したい役柄はありますか?


清原 たくさんありますが……。例えば1年間その役を演じ続けるみたいなことは楽しいだろうなと思います。朝ドラ「おかえりモネ」のヒロインを演じさせていただいた時に、苦しかったけれど、その分役への理解度が本当に深まったと実感していて。だからずっと感覚を共にするような役に出会いたいなと思っています。

樋口 今日はいろいろお話していただいてありがとうございました。舞台、楽しみにしていますね。


清原 ぜひ観に来てください。ありがとうございました。

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【対談を終えて】

清原果耶には何かある── 。

『あさが来た』

『3月のライオン』

『おかえりモネ』

『護られなかった者たちへ』

『片思い世界』など。

どこかのタイミングで清原さんを見つけた人は、そう思ってきたはずだ。


若くして順調にキャリアを積んできたが、これでもまだ氷山の一角しか才能を見せていない。

(もちろん清原さんのポテンシャルを認知した上で書いています!)

大事に育てられた、しっかり者のお嬢さん。

この人を見ていれば大丈夫だという安心感と、必ずやり遂げる意志。

お話を伺いながらその強い眼差しに、たじろぎました。

清原さんの倍以上生きてきたオヤジとして思いきって訊ねてみればよかった。

完璧そうに見える清原さんですが、弱点ってあるんですか?

明るくて優しい彼女は笑い飛ばしてくれたに違いない。


樋口毅宏

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清原果耶 レディエント・バーミン 樋口毅宏 WebLEON

● 清原果耶(きよはら・かや)

2002年1月30日生まれ。大阪府出身。「アミューズオーディションフェス 2014」でグランプリを獲得し、2015年、NHK連続テレビ小説「あさが来た」で俳優デビュー。主演ドラマ「透明なゆりかご」(18)では、「東京ドラマアウォード2019」など多くの賞を受賞。 映画『護られなかった者たちへ』(21/瀬々敬久監督)で第45回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。21年には、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」で主演を務めた。23年、『ジャンヌ・ダルク』(演出/白井 晃)で舞台初出演にして初主演を務め、第31回読売演劇大賞・杉村春子賞を受賞。近年の主な映画出演作に『まともじゃないのは君も一緒』(21/前田弘二監督)、『夏への扉−キミのいる未来へ−』(21/三木孝浩監督)、『線は、僕を描く』(22/小泉徳宏監督)、『1秒先の彼』(23/山下敦弘監督)、『青春18×2 君へと続く道』(24/藤井道人監督)、『碁盤斬り』(24/白石和彌監督)、『片思い世界』(25/土井裕泰監督)など。

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● 樋口毅宏(ひぐち・たけひろ)

1971年、東京都豊島区雑司が谷生まれ。出版社勤務の後、2009年『さらば雑司ケ谷』で作家デビュー。11年『民宿雪国』で第24回山本周五郎賞候補および第2回山田風太郎賞候補、12年『テロルのすべて』で第14回大藪春彦賞候補に。著書に『日本のセックス』『二十五の瞳』『愛される資格』『東京パパ友ラブストーリー』『大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた』など。妻は弁護士でタレントの三輪記子さん。新刊『なぜ本を読むのか、なぜ映画を見るのか、なぜ音楽を聴くのか── 100年後、カルチャーの参考資料になる本』(POST刊)が5月28日に発売。雑誌『LEON』で連載した小説「クワトロ・フォルマッジ-四人の殺し屋-」も単行本化予定。

X/@byezoushigaya

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『レディエント・バーミン Radiant Vermin』

英国の劇作家フィリップ・リドリーによる不可思議でブラックコメディ要素の強い三人芝居。演出は俳優としても活躍する白井 晃。若い夫婦オリー(井之脇海)とジル(清原果耶) が、自分たちの「家」の話を始める。1年半前、彼らはまだ小さいボロ屋に住んでいて、ジルは妊娠中だった。そんなある日、ミス・ディー(池津祥子)と名乗る家の仲介者から「夢の家を差し上げます」という手紙が舞い込む。疑いながらも見に行くと、浮浪者がうろつく荒れ野原に立つ古びた大きな家。ミス・ディーは、ふたりなら素晴らしい家にリフォームできると言って契約書を差し出す。生まれてくる赤ちゃんのために理想のマイホームが欲しい──ふたりは契約書にサインする。引っ越した次の日。ふたりは偶然、夢の家の残酷な秘密を知る。たちまちその秘密の虜になったふたりは次々と不思議な“光”とともに家を豪華にリフォームし、荒れ野原をリッチなお洒落タウンへと変貌させていくのだが……。その光とはいったい……?

日程/2026年6月8日(月)~7月5日(日)

劇場/世田谷パブリックシアター・シアタートラム

公式HP/『レディエント・バーミン Radiant Vermin』

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