2020.11.28

話が面白い人は、質問上手!?

パーティーなど女性に声をかけたはいいが、話が盛り上がらなくて……なんて経験、オヤジさんもあるのでは? そこで、コミュニケーション戦略研究家でもある岡本純子さんに、話が面白い人の3つの条件を伝授いただきました。

CREDIT :

文/岡本純子(コミュニケーション・ストラテジスト)

記事提供/東洋経済ONLINE
日本を代表する一部上場企業の社長や企業幹部、政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わり、これまでに1000人の話し方を変えてきた岡本純子氏。

たった2時間のコーチングで、「棒読み・棒立ち」のエグゼクティブを、会場を「総立ち」にさせるほどの堂々とした話し手に変える「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれ、好評を博している。

その岡本氏が、全メソッドを初公開した『世界最高の話し方 1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』は、発売たちまち3刷が決まるなど話題を呼んでいる。コミュニケーション戦略研究家でもある岡本氏が「日本人もすぐできる『知らない人』との雑談術」について解説する。
写真提供/shutterstock

日本人は「初めて会う人と話すこと」が苦手

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、リモートワークが広がり、対面での会議が減っています。私の周りでも外資系企業などを中心に、「3月以降、1回も会社に出社していない」という人も少なくありません。

「リモートでも日常業務は難なくこなせる」という声もある一方で、「新しい人間関係をつくるのは難しい」という意見も聞こえてきます。

ある調査では、「どちらが効率的か」という質問に、社内会議では約6割が「オンライン」と答えたのに対し、営業では7割が「対面」と答えました。

すでに知っているメンバー間では、オンラインでも問題ないとしても、「売り込みをかける、知らない人と距離を縮める」といった場合には、やはり対面のほうがやりやすいということでしょう。

物理的に距離のある時代だからこそ、心の距離を縮めるコミュニケーションが大切なわけですが、知らない人と実際にまったく会うことなく、関係性を築くのは容易ではありません。

そもそも、日本人は対面であっても、見知らぬ人と話をすることに抵抗を感じる人がとても多く、JTBの調査では「初めて会う人と話すこと」は「複数の人の前で話すこと」に続き、苦手意識が強いという結果でした。

新聞記者やPRコンサルタントとしての「経験知」と、アメリカやイギリスで学んだグローバルスタンダードの「話し方のノウハウ」を体系化してきた私ですが、「知らない人と話す」ということで、つい最近、「こんな経験」をしました。

愛知県豊橋市での講演会を前に、「どこかで前泊しよう」と思い立ち、ずっと行ってみたかった伊勢神宮を経由し、「鳥羽に宿泊、そこからフェリーで渥美半島に渡り、北上して豊橋入りする」というプチ壮大な計画を立てました。「ぐるり伊勢湾周遊の旅」です。
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東海道新幹線に乗り、名古屋を経由して、近鉄特急に乗って、伊勢市の駅を降りたとき、「すみません」と声をかけられました。目をやると、名古屋までの新幹線で隣に座っていた男性です。

驚いていると、「すごい偶然ですね~」「せっかくなので一緒に回りませんか」とお誘いを受けました。気ままな一人旅が大好きなので躊躇したのですが、男性の勇気に気圧されて、「いいですよ~」と返事をしてしまいました。

メインクライアントである中高年男性の生態やコミュ力について研究をしている「自称おじさん研究家」として、「『プライドをかなぐり捨てて、まったく知らない人に話しかけることのできる人』の秘密を知りたかった」という動機もありました。

雑談は「相手と話したい」強い気持ちから始まる

50代の男性は私同様、出張を利用して、お伊勢参りをしようと思い立ったとのこと。出身地や子どもの話など共通点も多く、お互いのこれからの生き方などを歩きながら、とことん語り合いました。

話を聞くと、サーフィンやサイクリングなど多趣味で、誰とでも気軽に話すので、友人も多いそうで、人との垣根が低いのが印象的でした。出会いは人生を豊かにする、まさに「旅は道連れ、世は情け」というわけです。

こうした「偶然の会話」は海外ではよくあることですが、日本では珍しく、とくに中高年の男性の場合は、知らない女性に声をかけるなど、相当ハードルが高いはず。そもそも、「変な意図があると思われないか」「相手に迷惑がかかるのではないか」と考えてしまうでしょう。

もちろん、大前提として「一緒の新幹線に乗り合わせた」という偶然があってのことですが、あとで「なぜ、断られるかもしれないのに声をかけたのですか?」と尋ねたところ、「『迷惑がられるかな』と思うより、『話したい』という気持ちが勝ったから」という答えが返ってきました。

ここに「雑談の大きなヒント」があると思いました。

これまで、1000人以上のエグゼクティブの話し方を指導してきた「話し方の家庭教師」の私から見て、雑談が上手な人には、次の3つの条件があります。

【1】「自分がどう思われるか」より、「相手への興味」が先に立つ
【2】「共通点(コモン・グラウンド)」を見つけるのがうまい
【3】とにかく「聞き上手」で「質問上手」

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「話し上手」より「聞き上手」がいいワケ

【1】「自分がどう思われるか」より、「相手への興味」が先に立つ

まず1点目ですが、「迷惑ではないか」「嫌われるのではないか」という「配慮」は、言い換えれば「自分の体面をどう保つか」という意識にほかなりません。

「自分のプライドを傷つけたくない」「恥ずかしい思いをしたくない」など、意識が「自分」に、つまり「内向き」になっていることです。

その興味・関心を「相手」に振り向け、「話してみたい」という強い気持ちを持つこと、すなわち、関心のベクトルを「自分」から「相手」へ向けることこそが、上手な雑談の第一歩となります。

まさに、「『嫌われてもいい』と思う勇気」こそが、知らない人とつながりを作る秘訣というわけです。

【2】「共通点(コモン・グラウンド)」を見つけるのがうまい

2点目の「コモン・グラウンド」。これは「共通の基盤」という意味ですが、人は「共通点のある人」ほど、親しみを感じ、信頼するものです。

「出身地が同じ」「趣味が同じ」「子どもの学校が同じ」など、「たった1つ共通項がある」だけで、人の距離はぐっと縮められるもの。

そうした共通点や旅先での出会いや仕事などでの「共通体験」をコミュニケーションのきっかけにして、垣根を乗り越えるのが関係性構築の近道になります。雑談がうまい人は、この「共通点」を見つけ、話題にするのがうまいのです。

【3】とにかく「聞き上手」で「質問上手」

3つ目の「とにかく『聞き上手』で『質問上手』」という条件を見て、「あれっ? 『話し上手』は入らないの?」と思った人もいるかもしれません。

ここに大きな「落とし穴」があります。実は、「自分は『話がうまい』と思い込む人ほど、『話し下手』になりやすい」のです。

矛盾した話に聞こえるかもしれませんが、「話に自信があり、滔々(とうとう)と話したがる人」ほど、相手からすると「一方的に畳みかけてくるだけ」で、雑談としては盛り上がらないということです。

人は雑談でも、ついつい「自分の話」をしてしまいがちです。イギリスのある調査によると、人は会話の30~40%「自分の話」をしており、SNS上では80%が「自分の話」なのだとか。

「自分のことを話すとき、それが会話でも、ソーシャルメディア上でも、人はお金や食べ物、セックスと同じような快感を覚える」。ハーバード大学の神経学者が、こんな驚きの調査を発表しています。

被験者の脳を調べたところ、「自分のこと」を話すとき、食事やセックス、お金やドラッグによって分泌される「快楽ホルモン」であるドーパミン放出と関連する箇所が活発化するのが確認されました。

「お金をもらうよりも、『自分の話』をすることを選ぶ人のほうが多かった」という実験さえあります。「あの人の話が止まらない」のには、こういう理由があるのです。

これを裏返すと、相手に「マイク」を渡し、話をさせて聞いてあげれば、相手を快楽ホルモンで包み込んであげられるということです。そんな人は無条件で好かれ、愛されます。

これはカラオケと同じです。自分が「マイク」を握ったままでは周りの人は興ざめでしょう。「マイク」を相手に渡して、「相手に気持ちよく歌ってもらう」ことができれば、結果として、雑談や会話はどんどん弾むのです。
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「剛速球を投げる」より「キャッチボール」を続けよう

相手の話を聞きながら、「次に何を話そうか」と考えていませんか。その時点で、「聞く」ことより「話す」ことに意識がいっているということで、実は「アウト」。

「剛速球」を投げて「自分の力」を見せつけようとするよりも、「受け止めやすい球」で「キャッチボールを続けるコミュニケーション」のほうがお互い気持ちのいいやりとり、雑談になるものです。

つながりにくくなる世の中ではありますが、ちょっとしたノウハウとマインドセットで、自分を閉じ込める「独房」の壁や、盛り上がらない「雑談」にも、「大きな風穴」を簡単に空けることができるのです。

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著者/岡本純子 東洋経済新報社刊 本体1400円+税
HP/str.toyokeizai.net/books/9784492046777

当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です
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