グルメ女子が狂喜する！ あのスターシェフの料理を楽しめる東京の美食ホテル4軒

ホテルは「大人の遊び場」であると再三申し上げてきたLEONですが、今回はさらに、ホテルが「唯一絶対のデート空間」に進化していることをお伝えする特集、まずはホテルグルメに注目です。

ほんのひと昔前まで、ホテルのダイニングといえば（ごく一部を除き）誰からも好まれる料理を楽しむ、いわば「ハズレのない食空間」でした。ホテルには、食文化や年齢、食の嗜好もさまざまなお客様が訪れ、いろいろな目的で食事をされるからです。

また、ホテルのダイニングは街のレストランがお休みの日でも頼れる、いつでも開かれている場所であったため、「ヘッドシェフがお休みでも、いつも同じクオリティのお料理をお出しできることが大事なので、あえてシェフ個人を前面に押し出していないのです」とお話しいただいたことも。

ところが。これって空耳でしたっけ？ と言いたくなるほど、近ごろは「スターシェフありき」のホテルダイニングが増え、感度の高いフーディーズやグルメ女子たちをとりこにしているのです。

そこで今回は、美食家の彼女を連れてわざわざ食べに行く価値のある、特別なホテルレストラン4軒をご紹介。しかも今どきのシェフは、料理が最旬なのはもちろん、フレンドリーだったり、トークがうまかったり、アートを語ったりするイケメン揃い。うっかり彼女のハートを奪われないようにどうぞご注意くださいませ！

2021年7月1日にオープンするや半年でミシュラン1つ星に輝き、今年3月に発表された「アジアのベストレストラン50」では日本のホテルダイニング初のランカーとして17位に飛び込むなど、この1年において東京のフードシーンの旋風となった「セザン」。

総料理長のダニエル・カルバートさんは、ロンドンの2つ星Pied a Terre、ニューヨークの3つ星Per Se、パリの3つ星Epicure at Le Bristolと錚々たるレストランでキャリアを積んできたのち、香港のカジュアルなフレンチビストロBelonのヘッドシェフに就任。わずか5年でミシュラン1つ星、「アジアのベストレストラン50」4位というアジアを代表する人気店へと成長させました。

香港では「ダニエル・ロス」とも言われたほど大きな話題になったフォーシーズンズホテル丸の内 東京への移籍。「世界でも類を見ない高品質な日本の食材を使って、自分の考えうる最高の料理を提供しています」とダニエルさん。クラシックなフレンチを踏襲しながらダニエルさんらしさを表現したメニューは、フレンチ風のしめ鯖や、おしゃれすぎるラディッシュ＆バター（居酒屋のおつまみを再構築）、香港でヒントを得た酔っ払い鶏、サプライズを仕かけたマンゴーなど、オープン1年にしてすでに数々のシグネチャーディッシュが誕生しています。美食好きな彼女をここに誘って断られたらその恋は諦めたほうがいい。そう断言したい一軒です。

2020年に牛窪健人さんが新料理長に就任して以来、何かと目が離せない「タパス モラキュラーバー」。「五感と想像力を刺激する14皿のアートギャラリー」というコンセプトと、カナダで育ってアートを専攻し、アーティストを目指した後、料理人に転向して日本に帰国したという牛窪さんのバックグラウンドを聞くだけでも、どんな世界が展開されるのか期待が高まります。

わくわくしながらメニューを眺めると、ファインダイニングらしからぬ「ドーナツ」（実はキャビアをたっぷり挟んだシャンパンに合うアミューズなのですが）の他、短編小説のタイトルみたいな「羊飼いの晩酌」やら、料理かデザートかわからない「日本みつばちの巣」やら、印象的なワードが並んでいます。おしゃべりが苦手という人も、ここに来れば最初から最後まで彼女とトークのネタが尽きないはず。

いざ料理が始まると、すべての料理がオリジナルのストーリーを持っていて、合間には液体窒素を使ったこれぞモラキュラー！ なパフォーマンスも。とにかく楽しくて、しかもおいしい2時間ちょっとのガストロノミーエンタテインメントを満喫できます。

名店をいくつも抱える美食ホテルの料理人というメリットを生かして、フーディーズにも人気の広東料理「センス」とコラボをしたりと、意欲的に活動の幅を広げている牛窪さん。アーティストとしての才能を生かしてメニューをイラスト化するなど、アートワークも楽しみのひとつです。

「アマン東京のイタリアンがすごい」と噂を聞いたのは、店名を「アルヴァ」に改名した2018年のこと。総料理長・平木正和さんの食材への愛がちょっと別次元と言うのです。平木さんは17年間もイタリアで研鑽を積んだ料理人。イタリア各地を回って、ファインダイニングのほかジビエや野菜、“マンマの味”と言われる家庭料理、各地方の郷土料理など、さまざまな料理を学んできました。

なかでもヴェネツィアの名門ホテル「ザ・バウアー」には13年間勤務し、総料理長を任されるまでになったのです。「人生の半分近くを過ごしたイタリアは大切な第二の故郷」と語る平木さんにとって、イタリア料理とは、季節の恵みを自然と共存しながらいただき、その味わいを引き出すためにシンプルに調理したもの。イタリアで得た哲学を日本での料理に落とし込もうと、農園を訪れたり、山や森に入ったり、漁船に乗ったり、アクティブに活動しています。

これまでも、キャビアを香川県のつくり手と共同開発するなど、生産の現場と深く関わってきましたが、昨年からいよいよ念願の米づくりをスタート。日本のお米とは違う、平木さんのリゾットに適したイタリア米を栽培するために、山梨県の田んぼを調達して、自ら田植えも行いました。

生産者への敬意と季節の食材への愛情をそのままお皿にのせたような平木さんの料理は、イタリアン好きな女子の心にストレートに刺さるはず。愛に満ちた夜をお過ごしください。

2013年に「ボキューズ・ドール 国際料理コンクール」で日本人初の世界3位に入賞するなど、フレンチの世界で名を馳せた「星のや東京」総料理長・浜田統之さん。2016年に開業した本格日本旅館「星のや東京」で、フレンチの技術をかけ合わせた独創的かつオーセンティックな日本料理を発表すると、その新しさと完成度の高さにフーディーズはどよめいたものでした。

ジャンルを超えた料理を生み出す浜田さんがいま究めているのが発酵食品。2020年夏からスタートした「Nipponキュイジーヌ ～発酵～」は、免疫力を高めると言われる発酵食品を、すべての料理に取り入れています。みそや醤油、漬け物、塩辛といった、どちらかといえば地味で日常的に食べ慣れた食材や調味料が、浜田さんがこれまで積み重ねてきたイタリアンやフレンチの知識や技術と融合すると、これまでなかったガストロノミーへと昇華される感動。その奥には、おいしさを楽しみながら、発酵食品を食べることで、みんなに元気になってほしいという思いが込められています。

夏メニューの注目は、シグネチャーの見た目にも美しい「石 五つの意志」や、フレンチでは定番のカキと仔牛肉の組み合わせにインスパイアされた「岩牡蠣と牛フィレ肉のグラタン」など。し・か・も。東京のホテルダイニングのほとんどが、食事利用できるのに対して、ここで食事を楽しめるのは宿泊したゲストのみ。つまり彼女と……あとはおわかりですよね？