取材・文/菅 礼子(本誌)
クリエイティブディレクターのオスカル・メツァヴァト氏が見せるアートとファッション、さらには社会的な支援活動としてのサステナビリティーが融合した新しいファッションは色あせることを知らず、さらに進化しています。

ファッションとアートこそコミュニケーションの手段

GINZA SIXの新店オープンを期に、さらなる日本市場拡大に意欲を見せる「オスクレン」ですが、ラテン発ならではの鮮やかな色遣いに加え、氏が表現するファッションは日本でも特異な存在です。「オスクレン」をブラジルを代表するブランドに押し上げながらも、自身はペインター、写真家などとしても多くの功績を残しています。

「ファッションもアートも区別はしていないんです。だいたい私の実体験をもとに形にしています。ファッションもアートもコミュニケーション手段です。アマゾンに行った際、『アイオアスカ』という先住民族の儀式を見たことが人生に衝撃を与える体験でした。そこでの体験は写真としてアート作品となり、そこにいた先住民のかたたちの協力を得て、“ピラルク”のコレクションを作ることにしました」
”ピラルク”とはアマゾンに生息する大魚で、その革を使ったバッグやスニーカーなどのレザーコレクションが新たなアイコンとして発表されています。
「昔からゴージャスで煌びやかなものが”上質”なファッションとされていますが、「オスクレン」が考える”上質”、とは真逆のアプローチです。人間の体系的な暮らしのビジョンをファッションとして捉えています。だから、ゴミになっていたピラルクスキンはソフトで強度のあるレザーグッズに生まれ変わりました。それこそ、真のラグジュアリーなのです」
”ピラルク”以外にも、森を守り、美しい水を守るなど、地球のためにできるサステナビリティーの一環としてさまざまな素材が“e-fabrics”としてオスクレンから発表されています。ケミカルな原料を一切使わずリサイクルで紡がれる糸は、ハイテクノロジーによってモダンな服に姿を変えます。
「サステナイビリティーとテクノロジーの融合が21世紀の私たちが考えるラグジュアリーです」




オスクレン流“サステナビリティー”という概念はさまざまな分野で力を発揮しています。
また、アマチュアサーフィン大会のスポンサードを務めるなど、オスカル氏の活動はファッションデザイン、アート活動、地域活性のサポートと、止まることを知りません。



