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2023.01.28

大人なら知っておきたい!? ボマージャケットの基本とこなし方

ボマージャケットは寒い季節に男を最も格好良く魅せてくれるアイテムの筆頭。あのふさふさのムートンがとにかくリッチに見えますし、男らしさも折り紙付き。そして何よりも、冬の寒さをものともせず堂々と街を闊歩する姿に大人の余裕が滲むのですよ。

CREDIT :

文/竹内虎之介 イラスト/Isaku Goto 編集/長谷川茂雄

魅力的なボマージャケットのルーツをご存知ですか?

う〜寒い! と室内に閉じこもりがちな今日この頃。とはいえ、気分はすでに春ゆえチェックするのは春夏アイテムばかり、なんて日々を送っていませんか。

ま、それも大事なことですが、やっぱり外に出なくちゃモテません。ということで、真冬の寒さもへっちゃらなヘビーアウターのお話を。取り上げるのは重衣料の王様、ボマージャケットです。

ところでボマージャケットって正確にはどんなアウターなのでしょう? 

なんとなく襟にボアのついたアレねという方や、ムートンブルゾンとの違いがよくわからないという方も多いと思いますので、改めておさらいを。
第二次世界大戦中、愛機の前に勢揃いするアメリカ陸軍航空隊の爆撃機クルーたち
▲ 第二次世界大戦中、愛機の前に勢揃いするアメリカ陸軍航空隊の爆撃機クルーたち。寒冷地での任務を遂行する彼らは皆、B-3にA-3トラウザース、そしてムートンブーツという重装備で見えない敵たる極寒に立ち向かったのです。
ボマージャケットはその名のとおり、ボマー(爆撃機兵)が着用したことからそう呼ばれるようになったフライトジャケット。

なので、必ずしも一種類とは限りませんが、とりわけ有名なのは、第2次世界大戦時にアメリカ陸軍航空隊(現空軍)で使用されたB-3。で、これが例の分厚いムートン製なのです。

ちなみにB-3の「B」は冬季用の意味。で、開発3番目のモデルにあたります。その前にあったB-1およびB-2は完成度が低く短命に終わったためB-3が有名なんですね。

さらに付け加えると「A」から始まるトップスは夏季用を指し、その代表格はレザー製フライトジャケットの代名詞たるA-2です。
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あの名優がファッションとしての扉を開きました

ミリタリーアイテムがファッションへと転じるきっかけとして、映画が担った役割は非常に大きいものがあります。

『トップガン』のG-1、『タクシードライバー』のタンカースジャケットやM-65、そして『大脱走』でスティーブ・マックィーンが纏ったA-2と、数え上げたら枚挙にいとまがありません。

じゃ、B-3はというと、こちらもやっぱり映画がきっかけ。『大脱走』より1年前の1962年に公開された『戦う翼』で、同じくマックィーンが着用したことで人気に火が着いたと言われています。
1962年公開の映画『戦う翼』で主人公バズ・リクソン大尉に扮するスティーブ・マックィーン
▲ 1962年公開の映画『戦う翼』で主人公バズ・リクソン大尉に扮するスティーブ・マックィーン。細身にモディファイされたパンツの上に羽織った、おそらく本物のB-3が男らしい。
この『戦う翼』、映画自体は歴史に残る名作とは言い難いのですが(この映画のファンの方、スイマセン……)、B-3を着たマックィーンの格好良さだけは、はっきりと記憶に残ります。

いつものごとく彼仕様の細身にお直しされた制服の上にバサッと羽織ったB-3のなんと男らしいこと! しかも、軽快なA-2やG-1と違い、どんなに使い込んでいてもなおリッチに見えるのです。
バサッとB-3を羽織ったスティーブ・マックィーンの着こなし
▲ バサッとB-3を羽織ったスティーブ・マックィーンの着こなしは、いまの気分にもぴったりフィット。まんま真似したいバランスです。
これがムートンの威力。この男らしさとリッチさの見事な融合ぶりこそ、大人に似合うミリタリーの筆頭としてボマージャケットを強く推奨する所以です。
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代表格B-3の基本デザインとは?

いまやB-3タイプのムートンブルゾンは多くのブランドからリリースされています。そして、非常に優れたものがたくさんありますので、それらを決して否定はしません。

が、オリジンをちゃ〜んと知っていることもまた大人の嗜み。ということで、ここでは改めてB-3の基本デザインを解説していきましょう。

まずミリタリーアイテム(特に米軍モノ)ならではの特長として、B-3のデザインも基本的には「ひとつ」しかありません。これは軍に厳格な規格(ミルスペックス)があるため。

だから、本物のB-3には王道デザインも変則デザインもないのです。違いがあるとすれば納入メーカーやロットの違いによる誤差のみ。

これがマニア心をくすぐるところでもあるのですが、そのへんの話しは長くなるのでまたの機会に。
毛足の長いボリューミーなムートンにダークブラウンのコーティング、両袖の補強と右身頃のパッチポケットにホースハイドなどのレザーをあしらったB-3
▲ 毛足の長いボリューミーなムートンにダークブラウンのコーティング、両袖の補強と右身頃のパッチポケットにホースハイドなどのレザーをあしらったB-3。シアリングが剥き出しになった大型の襟が、圧倒的にラグジュアリーな存在感を放ちます。
で、イラストにあるような姿がオリジンのB-3です。本体は毛足の長いシアリングムートンにラッカーコーティングが施されており、レザーストラップで固定できる大型の襟が特徴です。

両袖は肘まで強靭なレザーで補強、そして同素材のパッチポケットが右身頃だけに付いています。兵士たちはこれを同素材のボトムスであるA-3トラウザースとともに着用しました。

ホワイトB-3と呼ばれる、どこか可愛い亜種も存在

また、オリジナルのなかには通称“ホワイトB-3”と呼ばれる幻のモデルもあります。

正体はB-3の開発初期に生産されたノンコーティングモデルで、ナチュラルなシープスキンと補強レザーとのコントラストが印象的な一着です。

投入後即刻廃止になった理由は、その防水性と防汚性の低さ。それゆえ現存している古着はまさに幻なのですが、これがいま見るといろいろな意味で大人向きなのです。
過酷な環境下で戦うために開発されたミリタリーウエアとは思えないリッチさに加え、テディベアをも思わせるどこか可愛げな雰囲気が漂うホワイトB-3
▲ 過酷な環境下で戦うために開発されたミリタリーウエアとは思えないリッチさに加え、テディベアをも思わせるどこか可愛げな雰囲気が漂うホワイトB-3。ナチュラルカラーのボディとブラウンレザーのコントラストがなんともお洒落です。
まず、そのハイコントラストはひと目で際立ちます。しかも、オフ白とブラウン、そしてゴールデンフリースが織りなすグラデーションはズバリ、ラテ色。つまりはとってもリッチに見えるのですね。

さらに、ハードなラッカーコーティングが施されていない表情はどこか可愛げ。それでいて、ベースはB-3そのものですから男らしさも申し分なし。

と、モテる大人が求めるあらゆる要素が満載なのです。現在はこだわりのアメカジ系ブランドから復刻モデルも数々リリースされていますから、気になる方はぜひともチェックを。
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本格派の一着は、ラテコーデでリッチさを増幅

さて、ここまでボマージャケットの代表格たるB-3について詳しくお話ししてきましたが、実際の選びに関しては、精密に復刻されたガチのB-3を選ぶも良し、よりラグジュアリーなムートンブルゾンを選ぶも良し。

知識は知識として自分のものにしたうえで、あの手この手で遊ぶのが大人のお洒落というものです。

ただし、本格派のボマージャケットを着る際は、こなしによってリッチさを増量するのが大人のヤリクチ。

具対的には、ボトムスやインナーに白を添え、全身をラテ色でコーディネートするのが正解です。そうすることで持ち前のワイルドさが中和され、ムートン特有のゴージャスなリッチさだけが際立つ出で立ちとなるのです。
米軍におけるB-3誕生の数年前から英国軍で使用されていたアーヴィンジャケット(ウエストのベルトと袖口のジッパーが目印)も、B-3と双璧をなすボマージャケットの代名詞的存在
▲ 米軍におけるB-3誕生の数年前から英国軍で使用されていたアーヴィンジャケット(ウエストのベルトと袖口のジッパーが目印)も、B-3と双璧をなすボマージャケットの代名詞的存在。こうした本格派を大人が着こなす際は、パンツやインナーに白を合わせる。と、男らしくもラグジュアリーにキマるのです。

淡色ノンコーティングモデルなら大人の色気も最上級

さらに、最上級のリッチさを演出するなら、柔らか〜なムード漂うノンコーティングのモデルをどうぞ。こちらはむしろ現在のムートンブルゾンの主流ゆえ選びも自在。
ーティングをしないナチュラルなスエードの表面が、リッチで柔らかな雰囲気を醸し出すムートンブルゾン
▲ コーティングをしないナチュラルなスエードの表面が、リッチで柔らかな雰囲気を醸し出すムートンブルゾン。いま、大人が選ぶべき“ネオ”ボマージャケットの筆頭がこういう表情の一着です。ずっしりと重い本格派に対し着心地も軽やかなものが多いので、ノンストレスで最上級のラグジュアリーを堪能できます。
現在は、ハイブランドを筆頭にさまざまなブランドから、より軽く、よりラグジュアリーなモデルが多数リリースされています。

そんな豊富な選択肢のなかから淡いベージュやオフ白の一着を選び、ラテコーデやモノトーン合わせで着こなせば、エレガントささえ薫り立つリッチで温か〜な冬装備が完成しますよ。

寒い日はまだまだ続きます。ぜひともお試しあれ!

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