
そのクルマ、野獣につき
1台は911GT2RS。ひとことでいうと、究極の911だ。911のスポーツ性を最大限まで拡張したモデルである。700馬力という高出力と、あえての後輪駆動。それだけ聞いても、クルマに詳しい読者なら“ありえない!”と声をあげるのでは?
ワールドプレミア、つまり世界で初めてこのクルマがお目見えしたのは英国のグッドウッド。ロンドンからクルマだと2時間ぐらいのドライブになるウエストサセックス州にあるサーキットが舞台である。

お披露目に立ち会ったのは、元F1ドライバーのマーク・ウェバー氏と、彼と同様、ポルシェのブランドアンバサダーを務めるドイツ人のワルター・レアル氏。こちらは元世界ラリー選手権の優勝経験者で、20年以上にわたりポルシェの開発チームのチーフテスターを務めてきたひとだ。

ウェバー氏がそう言うと、「700馬力の後輪駆動の手綱を握れるのはプロ中のプロであるあなたたちだけだろう」と報道陣から冗談とも本気ともとれる声があがった。
ノーマルの911はグランドツアラー的性格が強いが、GT2は対極。スポーツドライビングのために開発されたモデルだ。RSはドイツ語のRenn Sport、英語にするとレーシングスポーツになる。

しつこいようだが、あらてめてスペックをいうと最高出力は515kW(700ps)で最大トルクは750Nm。3.6リッターエンジンを搭載していた従来のGT2RSよりパワーで59kW(80ps)、トルクで50Nmも上回っている。
ターボチャージャーはベースになった911ターボSよりさらに大型化。より効率よくターボ効果を得るためにインタークーラーには冷却水を噴射するレースカーなみのシステムも備える。
トランスミッションはポルシェがレースカーで磨き上げてきた変速時間の短いツインクラッチタイプ。ポルシェの呼び名ではGT7段PDKとなる。

「スーパースポーツカーの世界でのコーナリング速度は通常の領域とは別次元にある」とするポルシェでは、リアアクスルステアに加え、ウルトラハイパフォーマンス(UHP)タイヤを装着する。
巨大なエアダムや、よけいな空気を吸い出し乱流を防ぐフェンダー各所に設けられたエアアウトレット、さらにそびえ立つようなリアウィングが大きく目を惹く。

車体の剛性を上げるためのロールケージを備え、シートもレースカーのような軽量バケットタイプ。その一方でビビッドな赤色が効果的に使われ、男性的になりがちな車内を魅力的なものとしている。
エアコンも装備されているので、(エンジンと排気の音はやや大きいものの)ふたりの世界を楽しむことは十分可能とみた。

デイリーに、快適に楽しめる、弩級スポーツ
911ターボSのもつ2つの側面を同時に強化したのが特徴だ。ひとつは性能。パワーは911ターボSより27馬力アップして607ps(446kW)に。
最高速度は時速330キロといい、静止から時速100キロまでの加速に要する時間は2.9秒と速い。200キロには9.6秒しかからないというから驚きだ。
もうひとつの特徴は念入りに仕上げられた特別な内外装にある。ボディストライプは手で張ったカーボン製。入念に磨きをかけて段差はゼロ。

「この工法で塗ったホイールを使っているのはいまのところこのクルマだけです」。開発者がポルシェ本社敷地内の特設会場でそう教えてくれた。これだけでもかなりスペシャルだ。
オーナーのプライドをくすぐってくれる点は多い。ボンネットとルーフとサイドスカートは軽量かつ剛性感の高いカーボンファイバー製。

さきに紹介した911GT2RSと軽量化されたサスペンションシステムをはじめ、セラミックブレーキやアクティブサスペンションマネージメントなど共用する。
一方で差異点は、911ターボSエクスクルーシブラインは総輪駆動であるのが第一点。2250rpmから発生する750Nmもの最大トルクを、前輪も積極的に使って走行に役立てるためだ。
電子技術によりロール制御を行うポルシェダイナミックシャシーコントロールも911ターボSエクスクルーシブラインにのみ搭載される。
911GT2RSがどんなクルマだかあいにくわからないが、こちらはふだん乗りでは快適。コーナリングではこのシステムが効果的に働きスポーツドライブが出来るのだろう。

ポルシェオーナーが持つべき時計とは?
「ポルシェデザイン911GT2RSクロノグラフ」および「ポルシェデザイン911ターボSエクスクーシブラインクロノグラフ」が同時に発売されたのだ。
ポルシェデザインが高級腕時計の職人たちを引き抜いてまで自社製ムーブメントにこだわった自動巻のクロノグラフである。車体色と同じ6色が用意されている。
「スポーツウォッチですからフライバック機能(ボタンを1回押すだけ計測がゼロリセットで再スタートする)も盛り込みました」。ポルシェデザインの担当者の言葉だ。

小さいけれど正確にポルシェのクレストがプリントされている緻密さにも驚く。直径42ミリと大きめのサイズだが、ストラップは太めと細めの2種類用意される。
ポルシェデザインはオーストリアのツェルアムゼーに本拠を置き、そこでは911ターボSエクスクーシブラインに合わせたラゲッジシリーズをデザイン。
いっぽうスイスはゾロチュルンにポルシェデザイン・タイムピーシズAGを設立して、今回のウォッチはそこで開発している。

500台限定の911ターボSエクスクルーシブは導入未定とポルシェジャパンではしている。「ポルシェデザイン911ターボSエクスクーシブラインクロノグラフ」も限定500本である。911GT2RSクロノグラフともに価格は欧州では9950ユーロだ。
700馬力を誇る後輪駆動の911GT2RS
グッドウッド・サーキットでの記者発表会の模様
「(911GT2RSは)日常生活でも使えますよ」と言うレアル氏
グッドウッドのオーナーであるマーチ卿ことチャールズ・ゴードン=レノックス氏も発表会に姿を見せ、ポルシェのブランドアンバサダーも務めるマーク・ウェバー氏(左)と談笑
従来のターボSよりパワーアップした911ターボSエクスクルーシブシリーズ
911ターボSエクスクルーシブシリーズは607psに(911GT2RSと同様の)750Nm
911ターボSエクスクルーシブシリーズはウルトラスムーズなスポーツカー
6月29日から7月2日にかけて開催されたグッドウッド・フェスティバルオブスピードで走った911GT2RS
グッドウッド・フェスティバルオブスピードでのデモランで911GT2RSの運転席にはチーフテスターのレアル氏
グッドウッド・フェスティバルオブスピードのコースにおける1コーナーで安定したコーナリングをみせる911GT2RS
ポルシェではこれから特別仕立てのモデルに力を入れていくといいジャーナリストを招いて本社でプレゼンターションが開催された
911ターボSエクスクルーシブシリーズのエアインテークには特製のプラックがつく
レザー切削で入念に仕上げられた911ターボSエクスクルーシブシリーズのホイールは絶対に縁石でこすれない
911GT2RSの内装はブラックとレッドで仕上げられている
911GT2RSは7段ツインクラッチ搭載
911GT2RSはロールケージが入っている
911GT2RSではレブリミットは7000rpmの上、最高速は400kmまで目盛りが切ってある
700馬力を誇る後輪駆動の911GT2RS
911GT2RSのなんともかっこいいエアインテーク
911ターボSエクスクルーシブシリーズのゴールデンイエローのステッチ仕様
オーナーしか入手できないポルシェデザイン911ターボSエクスクルーシブシリーズクロノグラフはムーブメントも自社製
背面にはホイールを模した精緻なつくりのローターが(写真は911GT2RSクロノグラフ)
シート地と同じレザーで作られトランクスペースにきれいに収まるラゲッジのラインも発表された
700馬力を誇る後輪駆動の911GT2RS
グッドウッド・サーキットでの記者発表会の模様
「(911GT2RSは)日常生活でも使えますよ」と言うレアル氏
グッドウッドのオーナーであるマーチ卿ことチャールズ・ゴードン=レノックス氏も発表会に姿を見せ、ポルシェのブランドアンバサダーも務めるマーク・ウェバー氏(左)と談笑
従来のターボSよりパワーアップした911ターボSエクスクルーシブシリーズ
911ターボSエクスクルーシブシリーズは607psに(911GT2RSと同様の)750Nm
911ターボSエクスクルーシブシリーズはウルトラスムーズなスポーツカー
6月29日から7月2日にかけて開催されたグッドウッド・フェスティバルオブスピードで走った911GT2RS
グッドウッド・フェスティバルオブスピードでのデモランで911GT2RSの運転席にはチーフテスターのレアル氏
グッドウッド・フェスティバルオブスピードのコースにおける1コーナーで安定したコーナリングをみせる911GT2RS
ポルシェではこれから特別仕立てのモデルに力を入れていくといいジャーナリストを招いて本社でプレゼンターションが開催された
911ターボSエクスクルーシブシリーズのエアインテークには特製のプラックがつく
レザー切削で入念に仕上げられた911ターボSエクスクルーシブシリーズのホイールは絶対に縁石でこすれない
911GT2RSの内装はブラックとレッドで仕上げられている
911GT2RSは7段ツインクラッチ搭載
911GT2RSはロールケージが入っている
911GT2RSではレブリミットは7000rpmの上、最高速は400kmまで目盛りが切ってある
700馬力を誇る後輪駆動の911GT2RS
911GT2RSのなんともかっこいいエアインテーク
911ターボSエクスクルーシブシリーズのゴールデンイエローのステッチ仕様
オーナーしか入手できないポルシェデザイン911ターボSエクスクルーシブシリーズクロノグラフはムーブメントも自社製
背面にはホイールを模した精緻なつくりのローターが(写真は911GT2RSクロノグラフ)
シート地と同じレザーで作られトランクスペースにきれいに収まるラゲッジのラインも発表された