• TOP
  • CARS
  • ポルシェ911GT2RSとターボSエクスクルーシブシリーズ登場! 最強か極上か?!イギリスからリポート

2017.07.08

ポルシェ911GT2RSとターボSエクスクルーシブシリーズ登場! 最強か極上か?!イギリスからリポート

取材・文/小川フミオ
null

そのクルマ、野獣につき

男にしか理解しにくいモノがあることを認めよう。まあ、そこが女性たちに魅力的に見えることもあるのだが。好例が、ポルシェが2017年6月の最後の日に発表した2台のスペシャルな911だ。
 
1台は911GT2RS。ひとことでいうと、究極の911だ。911のスポーツ性を最大限まで拡張したモデルである。700馬力という高出力と、あえての後輪駆動。それだけ聞いても、クルマに詳しい読者なら“ありえない!”と声をあげるのでは?
 
ワールドプレミア、つまり世界で初めてこのクルマがお目見えしたのは英国のグッドウッド。ロンドンからクルマだと2時間ぐらいのドライブになるウエストサセックス州にあるサーキットが舞台である。
null
700馬力を誇る後輪駆動の911GT2RS
「最も速く最もパワフルな公道走行可能な911」。ポルシェではプレスリリースでこのクルマをそう定義した。車両重量は燃料満タンでも(わずか)1470キロ。そこに従来のGT2RSを80馬力も上回る3.8リッター6気筒ツインターボエンジンが搭載されているのだ。
 
お披露目に立ち会ったのは、元F1ドライバーのマーク・ウェバー氏と、彼と同様、ポルシェのブランドアンバサダーを務めるドイツ人のワルター・レアル氏。こちらは元世界ラリー選手権の優勝経験者で、20年以上にわたりポルシェの開発チームのチーフテスターを務めてきたひとだ。
null
「(911GT2RSは)日常生活でも使えますよ」と言うレアル氏
「すごいクルマが出来ました。リアルビースト(手なずけられていない野獣)です。でもエアコンもついていて日常的に乗ることも出来るんですよ」
 
ウェバー氏がそう言うと、「700馬力の後輪駆動の手綱を握れるのはプロ中のプロであるあなたたちだけだろう」と報道陣から冗談とも本気ともとれる声があがった。
 
ノーマルの911はグランドツアラー的性格が強いが、GT2は対極。スポーツドライビングのために開発されたモデルだ。RSはドイツ語のRenn Sport、英語にするとレーシングスポーツになる。
null
グッドウッド・フェスティバルオブスピードでのデモランで911GT2RSの運転席にはチーフテスターのレアル氏
911GT2RSも911が持つレーシングモデルとしてのキャラクターを極限まで追究したスペシャルだ。レーシングシャシーを持つとともに、軽量化で燃料満タンでも車重は1470キロにとどまるのは前述したとおりだ。
 
しつこいようだが、あらてめてスペックをいうと最高出力は515kW(700ps)で最大トルクは750Nm。3.6リッターエンジンを搭載していた従来のGT2RSよりパワーで59kW(80ps)、トルクで50Nmも上回っている。
 
ターボチャージャーはベースになった911ターボSよりさらに大型化。より効率よくターボ効果を得るためにインタークーラーには冷却水を噴射するレースカーなみのシステムも備える。
 
トランスミッションはポルシェがレースカーで磨き上げてきた変速時間の短いツインクラッチタイプ。ポルシェの呼び名ではGT7段PDKとなる。
null
911GT2RSの内装はブラックとレッドで仕上げられている
後輪にはカーブでより鋭い回頭性をもたらす操舵システムも備わった。このリアアクスルステアは油圧システムで後輪に角度をつけるものだ。車速やステアリングホイールを切る速度に応じて前輪と同位相(おなじ方向)に後輪を向ける。
 
「スーパースポーツカーの世界でのコーナリング速度は通常の領域とは別次元にある」とするポルシェでは、リアアクスルステアに加え、ウルトラハイパフォーマンス(UHP)タイヤを装着する。
 
巨大なエアダムや、よけいな空気を吸い出し乱流を防ぐフェンダー各所に設けられたエアアウトレット、さらにそびえ立つようなリアウィングが大きく目を惹く。
null
911GT2RSは7段ツインクラッチ搭載
それらがどこまでオンナのコの興味を惹くかは未知数だけれど、少なくとも室内はかなり評価されそうだ。
 
車体の剛性を上げるためのロールケージを備え、シートもレースカーのような軽量バケットタイプ。その一方でビビッドな赤色が効果的に使われ、男性的になりがちな車内を魅力的なものとしている。
 
エアコンも装備されているので、(エンジンと排気の音はやや大きいものの)ふたりの世界を楽しむことは十分可能とみた。
PAGE 2
null
911ターボSエクスクルーシブシリーズはウルトラスムーズなスポーツカー

デイリーに、快適に楽しめる、弩級スポーツ

ポルシェではグッドウッド・サーキットにおいてもう1台のスペシャルな911を同時発表した。911ターボSエクスクルーシブシリーズだ。
 
911ターボSのもつ2つの側面を同時に強化したのが特徴だ。ひとつは性能。パワーは911ターボSより27馬力アップして607ps(446kW)に。
 
最高速度は時速330キロといい、静止から時速100キロまでの加速に要する時間は2.9秒と速い。200キロには9.6秒しかからないというから驚きだ。
 
もうひとつの特徴は念入りに仕上げられた特別な内外装にある。ボディストライプは手で張ったカーボン製。入念に磨きをかけて段差はゼロ。
null
レザー切削で入念に仕上げられた911ターボSエクスクルーシブシリーズのホイールは絶対に縁石でこすれない
ホイールも特筆ものだ。たとえばゴールデンイエローとよばれるタイプ(車体色にも同色あり)は、まずゴールデンイエローで塗り、上にグロスブラックを塗る。仕上げとして最後にレザーでブラック面を一部削いで下にあるゴールデンイエローを露出させるという凝りかた。
 
「この工法で塗ったホイールを使っているのはいまのところこのクルマだけです」。開発者がポルシェ本社敷地内の特設会場でそう教えてくれた。これだけでもかなりスペシャルだ。
 
オーナーのプライドをくすぐってくれる点は多い。ボンネットとルーフとサイドスカートは軽量かつ剛性感の高いカーボンファイバー製。
null
911ターボSエクスクルーシブシリーズのエアインテークには特製のプラックがつく
車体色はイメージカラーの「ゴールデンイエローメタリック」に加え、「カレラホワイトメタリック」や「ガーズレッド」など全6色。
 
さきに紹介した911GT2RSと軽量化されたサスペンションシステムをはじめ、セラミックブレーキやアクティブサスペンションマネージメントなど共用する。
 
一方で差異点は、911ターボSエクスクルーシブラインは総輪駆動であるのが第一点。2250rpmから発生する750Nmもの最大トルクを、前輪も積極的に使って走行に役立てるためだ。
 
電子技術によりロール制御を行うポルシェダイナミックシャシーコントロールも911ターボSエクスクルーシブラインにのみ搭載される。
 
911GT2RSがどんなクルマだかあいにくわからないが、こちらはふだん乗りでは快適。コーナリングではこのシステムが効果的に働きスポーツドライブが出来るのだろう。
PAGE 3
null
オーナーしか入手できないポルシェデザイン911ターボSエクスクルーシブシリーズクロノグラフはムーブメントも自社製

ポルシェオーナーが持つべき時計とは?

911GT2RSと911ターボSエクスクーシブラインには、もうひとつ、クルマに乗っていなくても、オーナーだとわかる仕掛けが用意されている。
 
「ポルシェデザイン911GT2RSクロノグラフ」および「ポルシェデザイン911ターボSエクスクーシブラインクロノグラフ」が同時に発売されたのだ。
 
ポルシェデザインが高級腕時計の職人たちを引き抜いてまで自社製ムーブメントにこだわった自動巻のクロノグラフである。車体色と同じ6色が用意されている。
 
「スポーツウォッチですからフライバック機能(ボタンを1回押すだけ計測がゼロリセットで再スタートする)も盛り込みました」。ポルシェデザインの担当者の言葉だ。
null
背面にはホイールを模した精緻なつくりのローターが(写真は911GT2RSクロノグラフ)
カーボン素材のダイヤルを使い、裏面はシースルーでホイールを模したローターが見えるようになっている。
 
小さいけれど正確にポルシェのクレストがプリントされている緻密さにも驚く。直径42ミリと大きめのサイズだが、ストラップは太めと細めの2種類用意される。
 
ポルシェデザインはオーストリアのツェルアムゼーに本拠を置き、そこでは911ターボSエクスクーシブラインに合わせたラゲッジシリーズをデザイン。
 
いっぽうスイスはゾロチュルンにポルシェデザイン・タイムピーシズAGを設立して、今回のウォッチはそこで開発している。
null
グッドウッド・フェスティバルオブスピードのコースにおける1コーナーで安定したコーナリングをみせる911GT2RS
911GT2RSは日本でも6月末にオーダー開始が告知された。日本での価格は未発表で、目安は28万5220ユーロ(1ユーロを130円として約3707万円)。
 
500台限定の911ターボSエクスクルーシブは導入未定とポルシェジャパンではしている。「ポルシェデザイン911ターボSエクスクーシブラインクロノグラフ」も限定500本である。911GT2RSクロノグラフともに価格は欧州では9950ユーロだ。

● 小川フミオ

ライフスタイルジャーナリスト。慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        ポルシェ911GT2RSとターボSエクスクルーシブシリーズ登場! 最強か極上か?!イギリスからリポート | 自動車 | LEON レオン オフィシャルWebサイト