ブランドを台無しにしたとまで言われた「タイプ00」だったけれど

▲ 2026年10月7日に発表された「ジャガー・タイプ01」。
2年前に発表された「ジャガー・タイプ00」を覚えていらっしゃいますか?
ジャガーは2021年に「EVオンリーのラグジュアリーカーブランド」に生まれ変わることを宣言。この、新しいブランドの姿を象徴するコンセプトカーとして2024年に発表されたのがタイプ00でした。
ところが、世の中のタイプ00に対する反応はビミョーでした。いや、はっきりいえば、かなり辛口でした。特に強く反発したのが古くからのジャガー・ファンで、彼らは「こんなのジャガーじゃない」とか「ジャガーというブランドを台無しにした!」とか、それはもう耳を塞ぎたくなるような罵詈雑言の嵐。私自身は「ジャガーらしいかどうか」を別にすれば、新しい自動車デザインのチャレンジとして見るべきものは多いと捉えていましたが、世間の受け止め方は大きく異なっていました。

▲ リアのグリルとテールランプが一体となった革新的なデザイン。
このタイプ00で提案されたデザイン言語をベースとして開発された量産モデルが、このほどニューヨークで発表されたタイプ01です。つまり、間もなく発売され、ほどなく路上を走り出すことになるのが、このタイプ01なのです。
これを見て、皆さんはどう思われたでしょうか? 「タイプ00とほとんど同じ」と感じた方がほとんどではないでしょうか?

▲ 無駄のないミニマルなデザインが特徴のタイプ01。街で走っていたら二度見されることは確実かと。
ジドウシャらしさを増したプロポーション
たしかにタイプ00とタイプ01の間には多くの共通点があります。ボディサイドにキャラクターラインはなく、ボディを前後に貫くショルダーラインはほぼ水平。長いボンネットも、薄いキャビンも、水平の線をたくさん積み上げたフロントマスクとリアエンドのデザインも、タイプ00をそのまま受け継いでいるように見えます。
でも、実際にタイプ00を目の当たりにしたときの私の印象は、タイプ00のときとはまるで異なっていて、「ああ、ジドウシャらしくなったなあ」というものでした。

▲ 価格は2000万円超えです……!
なぜでしょうか? タイプ00の「本当に人間が乗れるの?」というくらい薄く見えたキャビンは、タイプ01では多少厚みを増しました。しかも、Aピラーの位置が前進して、さらにキャビンそのものもやや長くされた結果、キャビンとボディの関係は一般的なジドウシャに近づいたような気がします。さらに決定的なのがショルダーラインで、タイプ00では完璧な一直線として水平に伸びきっていたものが、タイプ01では前後で緩い弧を描きながら下降しています。
こうしたプロポーションの見直しによって「ジドウシャらしさを増した」というのが私の捉え方ですが、では、ジャガー・ファンを論争の渦に巻き込んだ「ジャガーらしさ」についてはどうでしょう。

▲ 世界で最も美しいと言われていた『ジャガー・Eタイプ』
ジャガーらしさとは何か?
私が参加したワークショップの会場には、戦前のSS100ジャガー、戦後間もない時期に発売されてジャガーの名声を確立したXK120、エンゾ・フェラーリをして「世界でもっとも美しいクルマ」と言わしめたEタイプ、サルーンとして名高いXJの2ドア版であるXJクーペなどが展示されていましたが、それらに共通するデザイン言語は、私にはついに見つけられませんでした。
それでも敢えてタイプ00と歴代ジャガーの共通点を指摘するとなると「長いボンネット」「水平に長く伸びたショルダーラインが前後で軽く下降する」というあたりに落ち着きます。この辺まできて、タイプ01が格好よく見える理由がほんの少しだけ理解できるような気がします。
ここでもう1度、歴代ジャガーのデザインを振り返ってみると「進化を止めない」という共通項が浮かび上がってきます。SS100ジャガーも、XK120も、Eタイプも、それぞれの時代におけるデザイン・アイコンのような存在ですが、だからといってその場に甘んじることなく、常に時代とともに進化を続けてきた。ジャガーの歴史をそう捉えるのであれば、時代に先んじたタイプ01のデザインもまたジャガーらしいといえるのではないでしょうか。

▲ 時代の先を行くデザインのタイプ01。だって、こんなクルマ街で見かけたことありますか!?
メカニズムでも前衛的なタイプ01
デザインに関する理屈っぽい話が続いてしまいましたが、タイプ01はメカニズムの面でも前衛的です。
パワートレインはリアに2基、フロントに1基を搭載する3モーター方式。リアは左右輪を個別に駆動することでクルマの“曲がり方”を制御するトルクベクタリングが可能とされています。しかも、フロントモーターが250kW(約340ps)なのに対してリアモーターは310kW(約421ps)×2と格段にパワフルなので、後輪駆動に近いダイナミックな走りが期待できそうです。

▲ ワークショップの様子。
おかげで0-100km/h加速は3.2秒と、とてつもない速さを誇りますが、速度が低い領域では出力を絞るいっぽう、速度が上がるにつれてフルパワーを解放することにより扱い易さ、そしてジャガーに相応しい「上品な速さ」を実現したといいます。彼らはこれを「Power in Reserve(いざというときのパワー)」と表現していますが、なんともジャガーらしい、そして英国らしいセンスといえるでしょう。
サスペンションも同様で、基本的には快適性に軸足を置きつつ、必要なときにはスポーツカーさえ圧倒するようなハンドリングを披露するという考え方でセッティングされているようです。
先進的なデザインをまといながら、快適で速く、そして何よりも品のよさ、そしてセンスのよさを大切にしたジャガー・タイプ01。ラグジュアリーカー界の新しいトレンドセッターとなる期待が膨らんでいます。
なお、日本導入は2027年の見通しで、エントリーグレードである“1030”の価格は2188万円からとなる予定です。
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ジャガー公式ホームページ

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