2026.09.16
【試乗リポート】名跡を襲名した「アウディA6」。伝統と革新の最新形態、その完成度やいかに⁉
アウディのプレミアムアッパーミディアムセグメントのセダン/ステーションワゴンである「A6」が6代目へとフルモデルチェンジ。2ℓのガソリン、またはディーゼルの内燃機関モデルながら、その実は新世代のアウディを感じさせてくれる仕上がりだった。
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写真/アウディジャパン 編集/森本 泉(LEON)
「A7」になるはずだったけれど……

1968年にデビューした上級セダン、アウディ100の系譜を受け継ぐのがA6。100から数えて9代目、A6としては6代目モデルへとフルモデルチェンジした。
2023年、アウディは電動化戦略にともない車名をEVは偶数、ICE(内燃機関車)は奇数にする法則を打ち出した。したがって日本でも先にEVの「A6 e-tron」が登場している。ところが2025年にその車名の法則が見直されることになる。従来どおり数字は車格をあらわしたものとし、EVには「e-tron」が付属する。ICEのA6はA7となる予定だったが、晴れて長い歴史を重ねてきた名跡「A6」を襲名することができたというわけだ。
メルセデス・ベンツも当初はEVに関しては「メルセデスEQ」というサブブランドを前面に打ち出して展開していく予定だったが、EVとICEのプラットフォームの共有化などもあり、従来どおりの車名を使用し、EVの場合には「with EQ Technology」を付加する法則へと転換している。自動車各社が手探りで進行中の電動化戦略の難しさのあらわれといえるものだろう。

▲ ボディタイプはアバント(ステーションワゴン 写真左)とセダンの2種類の設定。
A6のプラットフォームはA5と共通の新世代ICE用の「PPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション)」で全長は先代+50mmで5mジャストに。ホイールベースは2925mmと立派なサイズで後席もかなり広くなっている。ワイドなシングルフレームグリルによってひとめでアウディのICEモデルであるとわかる。
ボディタイプはセダンとアバント(ステーションワゴン)の2種類。ルーフラインが後方へと低くのびたクーペのような流麗なスタイリングでA6史上最高のCd値0.23(セダン)を達成している。アウディの象徴であるブリスターフェンダーも継承されており、特にリアフェンダーは実車を見ると迫力のあるものだ。
そしてアウディが得意とするライティング技術も最新世代のもので、フロントは最新のマイクロLED技術を採用したデジタルマトリクスLEDヘッドライトに、リアのデジタルOLEDはレイアウトも新しくなり、また独創的なシグネチャーをドライバーの好みに応じて選択できるようになっている。

▲ 助手席用スクリーンも標準装備となったインテリア。試乗車にはオプションのBang&Olufsen 3Dプレミアムサウンドシステム(16スピーカー)&フロントヘッドレストスピーカーが備わっていた。
インテリアは、メーター類を表示する11.9インチのバーチャルコックピットと中央の14.5インチのMMIタッチディスプレイに加え、助手席用の10.9インチのMMIパッセンジャーディスプレイを全車に標準装備。左右のドアとインパネをつなぐソフトラップデザインによって、広がりのある空間を演出している。
快適性とホールド性をバランスさせたシートにはシートベンチレーションやマッサージ機能もオプションで装備。そして天井全体に広がるスマートパノラマガラスルーフが開放感を演出。透明度を変更できる技術を採用しており、電圧操作で瞬時に透明や不透明にとセダンでは6セグメント、アバントでは9セグメントに分割して切り替えが可能。もちろん猛暑での熱対策も行われており、特に後席ではこれからの秋や冬の季節には自然光が感じられて気持ちがいい。

▲ オプションのS lineパッケージを選ぶと、適度なサポート性のあるレザーのスポーツシートになる。
パワートレインは、150kW(204PS)を発揮する2ℓ直4ディーゼルターボ(TDI) と200kW(272PS)を発揮する2ℓ直4ガソリンターボ(TFSI)の2種類の設定で、ともに7速Sトロニックにquattro(四輪駆動)を組み合わせている。quattroは電子制御AWDクラッチを使用するもので、高速道路などで4WDが不要であると判断した際にはプロペラシャフトを切り離し前輪駆動で燃費の向上をはかり、オフロードや坂道、スリップしやすい状況では自動で4WDへと切り替わる。これらはシステムによって予測的に制御されるもので、ドライバーが切り替わりや違和感を感じることはない。

▲ 2925mmの長いホイールベースにより後席はニースペースもかなりゆとりがある。またオプションのパノラマガラスルーフを備えているととても開放感がある。
また、ガソリン、ディーゼルともに最新の48VマイルドハイブリッドシステムのMHEV plusシステムを搭載しており、低速走行時にはEV走行が可能に。発信や追い越しの際には最大18kW(24PS)の電力アシストと230Nmの追加トルクを発揮し、減速時には最大25kWの回生エネルギーが得られる。エンジンとモーターの制御も良くできており、もちろんギクシャクするようなことはない。

▲ トランクルームの容量は452ℓ。3分割可倒式の後席シートバックを倒せば長尺物の搭載も可能。
ハンドリングや乗り心地に新しいアウディを感じる
試乗車は200kWガソリン仕様のセダンで、オプションのアダプティブエアサスペンションや四輪操舵のオールホイールステアリングを装備していた。これは60km/h以下では後輪を逆位相に最大5度操舵して取り回し性を高め、60km/h以上では同位相に最大2度操舵して安定性を高めるというもの。最小回転半径は6.0mから5.4mとなる。

▲ アウディが得意とするライティングシステム。最新のマイクロLED技術を採用したデジタルマトリクスLEDヘッドライトおよびデジタルOLEDリヤライトを標準装備。8通りのライティングパターンから選択することが可能。
走り出すとマイルドハイブリッドとはいっても意外なほどEV走行することに驚いた。加速時にはトランスミッションのアウトプットシャフトに配置されたモーターがアシストしてくれるため、もっと大きな排気量のエンジンであるかのような印象をうける。高速走行時のエンジン音をはじめ風切り音、ロードノイズなどもしっかりと抑えられており、プレミアムセダンにふさわしい静粛性を備えていた。
また乗り心地も実にしなやか。サスペンション形式は前後とも5リンク式で、ドライブモードは「バランス」「ダイナミック」「コンフォート」「エフィシェンシー」「インディビジュアル」に加えて試乗車には「アシスタント」モードが用意されていた。これは走行状況やシステムが記憶したドライバーの好みにあわせて適切なモードを自動で選択してくれるというもの。
そして独自の累進的なギア比を用いたプログレッシブステアリングを採用しており、中立付近の安定感や適度なフィードバックのあるスポーティな操舵感など、最近のアウディのなかでももっとも素直で気持ちがいいハンドリングだった。
思えば冒頭で述べた車名の法則を、ユーザーの混乱を招くようなことはやめるべきだと見直しを発表したのは、2023年にアウディのCEOに就任したゲルノート・デルナー氏。ポルシェで918スパイダーやパナメーラの開発に従事したのち、VWグループ全体の製品・戦略を統括していた人物である。
デルナー氏の就任以降、F1への参戦開始、そして開発がとまっていたというスポーツカーのプロジェクトが動き出している。先日発表されたスーパーカー「ヌヴォラーリ」もまさにそれだ。アウディはいま変わろうとしている。由緒正しい「A6」の名を受け継いだ新型だが、その中身は新世代のアウディを感じさせてくれるものだった。
■ Audi A6 TFSI quattro 200kW
ボディサイズ/全長5000×全幅1875×全高1465mm
ホイールベース/2925mm
車重/1980kg
駆動方式/4WD
エンジン/2ℓ直4 DOHC ターボチャージャー
モーター/交流同期電動機
トランスミッション/7速AT
エンジン最高出力/272PS(200kW)/5000-6500rpm
エンジン最大トルク/400Nm/1600-4500rpm
モーター最高出力/24PS(18kW)
モーター最大トルク/230Nm
価格本体価格/885万円
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