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2026.07.26

【ニュース】3代目「アルピーヌA110」は超軽快なEVスポーツカーに!

惜しくも生産終了された「アルピーヌ」の2代目『A110』。しかし、何やらもう既に3代目の発表に向けて動き出している模様。そんな3代目A110のプラットフォームについて解説していきます!

BY :

文/大谷達也
CREDIT :

編集/加藤寛太(LEON)

3代目はEVになって登場予定!

今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで走行した3代目A110のテストカー。外観は2代目をベースに、さらにぐらまらすになっています。このまま市販されるかどうかは不明。

▲ 今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで走行した3代目A110のテストカー。外観は2代目をベースに、さらにぐらまらすになっています。このまま市販されるかどうかは不明。

フランスのアルピーヌっていうスポーツカーブランド、これまで見落としていたオヤジさんも少なくなかったんじゃないでしょうか。でも、2017年にデビューしたアルピーヌA110は、プロの目利きたちからメチャクチャ高い評価を受けてきました。


その最大の理由は、自動車業界で繰り広げられているパワー競争には目もくれず、スポーツカーの本質である軽量でバランスのいいクルマ作りに注力することで、本当の意味で操って楽しいハンドリング・マシーンに仕上がっていたからです。それでいて乗り心地もいいし、フランスらしいセンスのよさも随所に発揮されていて、単なるスポーツカーマニアだけでなく、もっと幅広い層から支持されていたように思います。

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三代目になっても、コンパクトな見た目は変わらない模様。

▲ 三代目になっても、コンパクトな見た目は変わらない模様。

実は、A110は1963年に初代がデビュー。アルピーヌというブランドを世界中に広める役割を果たし、1977年までなんと14年間も続けられた名車中の名車。その後、親会社であるルノーの助けを借りて再デビューを果たしたのが、2017年に誕生した“2代目”A110だったわけです。40年間も空白の期間があったことを除けば、同じモデル名を長年使い続けるという意味でポルシェ911に通じるところがありますよね。


ところが、バツグンの玄人受けをした2代目も今年6月に生産が終了。その理由が、基本設計の関係で緊急ブレーキを装着できなかったことにあるというのだから、なんともやりきれません。


なお、万一の時にクルマの急停止をサポートする緊急ブレーキは5年前から徐々に義務化されていて、今年7月から継続生産の輸入車も含め、すべての新車に義務づけられることになりました。これは日本だけでなく、国際的に施行されたルールで、同じ理由からマクラーレンの750SとGTSも生産終了に追い込まれています。

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3代目A110用と思われるプラットフォームの写真。アルミの引き抜き材を車体のフレームとして用い、車体の前後にバッテリーを積んでいることがわかります。

▲ 3代目A110用と思われるプラットフォームの写真。アルミの引き抜き材を車体のフレームとして用い、車体の前後にバッテリーを積んでいることがわかります。

話を戻すと、現在、アルピーヌは“3代目A110”を開発中で、2027年にデビューすると見込まれているのですが、これがなんと、完全電動化されたEVとして誕生するというのだから驚きです。というのも、車重が重いEVは動きが鈍く、スポーツカーには不向きというのが定説だったから。つまり、これまでのA110とは似ても似つかないクルマになってしまう恐れがあったわけです。


そんな3代目に関するワークショップが今年5月にパリ郊外で開かれ、私も参加してきたのですが、その内容は「さすがアルピーヌ、よくわかっていらっしゃる」と唸らされることばかりだったので、ここでご紹介しましょう。

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バッテリーを前後に分割することで、運転席を低い位置に設定することを可能にしています。

▲ バッテリーを前後に分割することで、運転席を低い位置に設定することを可能にしています。

3代目A110にはAPP(アルピーヌ・パフォーマンス・プラットフォーム)と呼ばれるプラットフォームが用いられます。アルミの引き抜き材でフレームを作る基本構成は2代目と同じですが、APPはさらなる軽量化や高剛性化とともに、EV化に対応したレイアウトを採用しています。

F1よろしく、地面に限りなく近いドライビングポジション。

▲ F1よろしく、地面に限りなく近いドライビングポジション。

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バッテリーを前後に分割することで、運転席を低い位置に設定することを可能にしています。

▲ バッテリーを前後に分割することで、運転席を低い位置に設定することを可能にしています。

EVに生まれ変わる3代目A110でなにが注目されるかといえば、その全高が低いことで、わずか1250mmほどしかないそうです。同じスポーツカー・タイプのEVとして人気のポルシェ・タイカンは全高1380mmなので、その差はおよそ130mm。ちなみに2代目A110の全高も1240〜1250mmだったので、3代目もまったく変わっていないことになります。これを実現するため、通常のEVでは床下に広く敷き詰めるバッテリーを二分割にして車体の前後に搭載。ドライバーのシートをフロア近くに置くことで、この低い全高を実現しています。


もうひとつの驚きは、そのモーターにあります。3代目A110もこれまでと同じように後輪駆動となりますが、左右の後輪を個別のモーターで駆動するデュアルモーター方式を採用。こうすると左右輪で駆動トルクに差をつけること可能で、ステアリングを切らなくてもクルマが曲がろうとするチカラを生み出すことができます。彼らはこれを「アルピーヌ・アクティブ・トルク・ベクタリング」と呼んでいて、EVの走りを一新させる効果があると位置付けています。

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いちばん上の箱状のものがバッテリーで、その下の手前側に見える部分が、左右の後輪を独立して駆動するデュアルモーター部分。

▲ いちばん上の箱状のものがバッテリーで、その下の手前側に見える部分が、左右の後輪を独立して駆動するデュアルモーター部分。

ちなみに先ごろ発表されたフェラーリ・ルーチェは左右輪を前後とも個別のモーターで駆動する4モーター方式を採用し、最高出力も1000psを超えますが、おかげで車重は2260kgに達しています。3代目A110は最高出力の点でルーチェに及ばないでしょうが、ドライビング・プレジャーを最優先して機能や性能を限定することで、2代目A110に迫る軽快なハンドリングを目指していると推測されます。


なお、3代目A110はクーペにくわえてコーンバーティブルが設定されるほか、同じAPPを用いるグランツーリズモ版(とまだ決まったわけではありませんが……)もクーペとコンバーティブルの2タイプがラインナップされる計画。


実は、アルピーヌはこれ以外にもA290とA390と呼ばれるハッチバック・タイプのEVをヨーロッパではすでに発売しています。私はこのうちA290にフランスで試乗してきましたが、剛性感の高いボディとソリッドな足回りの組み合わせにより、これまでのEVには見られなかった軽快なハンドリングを実現していることに感銘を受けました。

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アルピーヌ・デザインセンターで行われたアルピーヌ・テックデイの様子。

▲ アルピーヌ・デザインセンターで行われたアルピーヌ・テックデイの様子。

おそらく、3代目A110の車重は2代目よりも重くなっているでしょうが、それでもアルピーヌ・アクティブ・トルク・ベクタリングに代表される最新テクノロジーを活用し、2代目に匹敵するドライビング・プレジャーを実現してくれるものと期待しています。2027年の欧州デビューが楽しみで仕方ありません!!

大谷達也
電機メーカーの研究所で7年間エンジニアとして勤務した後、1990年、29歳で二玄社CAR GRAPHIC編集部に転職。以来、20年間にわたって同編集部に在籍する。同誌副編集長を務めた後、2010年にフリーランスに転身。現在、活動の中心はハイパフォーマンスカーのインプレッション記事執筆だが、電気系エンジニアとしての経歴を生かし、環境技術やハイパフォーマンスカーなどに用いられる新技術にも通暁している。ただし、技術を専門用語の羅列として説明するのではなく、日常的に用いられる言葉に置き換えてわかりやすく解説するのが得意。英語で海外のエンジニアと直接インタビューできる数少ない日本人評論家のひとり。

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