遂にフェラーリがマニュアルを復活させました

「スポーツカーに乗るなら、やっぱりマニュアルでしょ!」という昔ながらのオヤジさんは少なくないですよね。
なかでも、フェラーリのマニュアル・ギアボックスは格別。なにしろ、ギアボックスのシフトゲートがシルバーに光っていて、そこからシンプルな形状のシフトレバーがまっすぐに伸びているわけですよ。その、てっぺんにある球体のシフトノブを優しく握って、シフトゲートに従ってコクッ、コクッと操作するあのメカニカルな感触といったら、もう天にも昇るような心地よさでしたね。

▲12チリンドリのマニュアル版、フェラーリ・ドーディチ(=12)チリンドリ・マヌアーレ。

▲オートマなのにマニュアル操作。これ、オートマ限定の人は乗れるのかな?ダメなのかな?
でも、冷静になって考えたら、たとえばゴルフ帰りの長い渋滞路を、シフトレバーとクラッチペダルを操作しながらウチまで帰ると思ったら、かなりテンションが下がります。それに、いまどきの800psオーバーのフェラーリを本当にマニュアルで扱いきれるかと言われれば不安も残りますし、最後には「そもそも、いまのフェラーリにマニュアルはないし……」という答えに行き着くわけです。
ところが、またまたフェラーリさんがやってくれました。なんと、シフトレバーとクラッチペダルを備えた最新モデル、その名もフェラーリ・ドーディチ(=12)チリンドリ・マヌアーレというモデルを発売することになったのです。

▲プリっとしたリアのラインがなんともセクシー。
いやー、これには私も驚きました。実は「フェラーリが12チリンドリのマニュアル版を作っている」というウワサは、ここのところチラホラ囁かれていたんです。でも、そのためにわざわざ専用のマニュアル・ギアボックスを作るとは考えられなかったし、そもそも0-100km/h加速を2.9秒で走り抜けちゃうウルトラハイパフォーマンスをマニュアル操作で引き出せるとも思えなかったからです。でも、ここでフェラーリは誰も思いつかなかったアイデアを考え出してくれました。

▲ゴールドのホイールが艶を与えてくれます。
オリジナルの12チリンドリに搭載されているギアボックスは8段変速のデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)と呼ばれるタイプ。これはF1マシンに搭載されているものと基本的に同じ型式で、どんな高性能でも引き出してしまうほど素早いギアチェンジが可能ないっぽう、従来のオートマチック並みの滑らかでイージーな走りもできるところに最大の特徴があります。
ただし、DCTのなかには、ちゃんとクラッチがあるし、変速の仕組みだって昔ながらのマニュアルトランスミッションにそっくり。これまでのDCTは、そういったメカニズムをコンピューターで緻密に制御することで、「まるでオートマチックみたいな」ラクチンでスムーズな走りを実現していたのです。

▲新型のフェラーリなのに、クラッチペダルとギアシフトが装備されているのは、と〜っても新鮮。
ここでフェラーリの技術陣は思いつきました。「じゃあ、DCTのなかにあるクラッチと変速機構を人間の手で操作したらマニュアル・ギアボックスになるじゃん!」 そう、この発想こそが、今回発表された12チリンドリ・マヌアーレの原点だったのです。つまり、DCTをコントロールするためのスイッチを新たに用意して、そのスイッチをドライバーが操作することで、昔ながらのマニュアル・トランスミッションと変わらない楽しさを再現しようとしたのです。
しかも、ここでフェラーリらしいこだわりが存分に発揮されました。「DCTを操作するためのスイッチを『単なる電気的なスイッチ』にしないで、まるでホンモノのギアボックスやクラッチを操っているのと同じ感触が味わえるメカニズムを作ったら、メチャ楽しいんじゃない?」そして本当に、しかもメチャクチャこだわりまくった操作系を、マラネッロのエンジニアたちは作り上げたのです。

▲最新の技術を搭載したクルマなのに、操作はアナログ。というところがオヤジには嬉しいですよね。
まず、シフトレバー部分には、伝統的なデザインのシフトゲートとシフトレバーを用意。その下には、スチールのカタマリから削り出して作った頑丈な土台を用意し、そこにシフトの感触をそっくり再現するメカニズムを作り込んだのです。
ここで大切なのが、あの「コクッ、コクッ」というシフトレバーの感触を、金属のゲート、2組の偏心カム、そしてスプリングという純粋なメカニズムで再現したことにあります。たぶん、同じことは電磁アクチュエーターといって電気モーターと似た仕組みのエレクトロニクスを使ってでも実現できたと思います。ひょっとしたら、そのほうが小さくて軽くて安上がりだったかもしれません。でも、フェラーリは敢えて手間のかかる純粋なメカニズムを選びました。なぜなら、もともとメカニズムで作られた感触を再現するなら、同じようにメカニズムで作り出したほうが理想に近づけると考えたからでしょう。

▲過去最高にワインディングが楽しいフェラーリかもしれません。
クラッチペダルの作り方もまったく同じで、まずはホンモノと寸分違わない頑丈なクラッチペダルを作ったうえで、その動きを電気信号に変換するためのポジションセンサーを装備。クラッチペダルを生み込んだときの反力感はスプリングで再現していますが、このデキがまた素晴らしい。
実は最近のフェラーリは、ブレーキ・バイ・ワイヤといって、ペダルの動きをポジションセンサーで検出し、反力感はスプリングで生み出すブレーキ・システムを用いています。つまり、原理的には12チリンドリ・マヌアーレのクラッチと同じわけで、このメカニズムについてはすでに豊富な経験を有しているのです。

▲1499台の限定生産なので、即完が予想されます。
しかも、12チリンドリ・マヌアーレはマニュアルシフトせずに運転できるオートマチックモードも用意。渋滞路ではクルマにシフトを任せる楽チン・ドライブも可能。いざとなればスタンダードと同じ0-100km/h加速や最高速度を実現できるパフォーマンスも与えられています。
唯一の問題は、この12チリンドリ・マヌアーレが1499台の限定生産になるということ。したがって、例によって世界中からオーダーが殺到し、すぐに完売となることは間違いありません。ただし、12チリンドリ・マヌアーレと同じメカニズムを使ったモデルが今後登場する可能性も残されているとのこと。したがってフェラーリ・ファンの皆さんは是非、今後の発表にも注目していてください!
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