欧州ではすでにカルチャーになっている"静"と"動"の老舗イベントも必見
いまもその風習は変わらず皆さんフォーマルなドレスとブラックタイに身を包んで夜会に参加する。
欧州でもっとも古く、そしてもっとも格式の高いヒストリックカーの品評会
CONCRSO DI ELEGANZA
コンコルソ デ エレガンツァ
古くは伯爵や男爵が、最近ではハリウッドスターが別邸のヴィラを構えるのも納得の場所だ。そんな湖畔で毎年行われるのが『コンコルソ・デ・エレガンツァ・ヴィラデステ』だ。
欧州の自動車品評会としてもっとも歴史が古く、言わば欧州のヒストリックカーカルチャーはここから始まったと言ってもいいかもしれない。湖に面したヴィラの芝生に並べられたそれらはまさに芸術品。
それもそのはず、市販車は圧倒的に少なく、カーデザイナーがスタディモデルとしてモーターショーなどに出品した車両が多い。つまり、デザイン優先で造られたれっきとした芸術品なのだ。

そんなクルマたちを出品するのはもちろんヨーロッパを代表する富豪たちである。きっと横のつながりもあるのだろう、マーチ卿も毎年のように足を運んでいる。
なので、初日のコンクールの日は完全なクローズドで行われる。出品者と友人、主催者側スタッフとメディアのみに限られる。つまり、そこにいるのはホンモノの紳士淑女。
着ている服はもちろん、立ち居振る舞いからして優雅さが醸し出される。

きっと来場者たちはマルペンサあたりまではプライベートジェットでやってきて、そこからフロートを持つ水上機の送迎サービスで自分のヴィラへ向かうのだろう。そしてそこからリーヴァを出し、対岸のヴィラデステに着岸。
そんなコンコルソ・デ・エレガンツァ・ヴィラデステは毎年初夏に行われる。これもまた彼らセレブリティの恒例の社交の場。賞が発表されたあとも華やかなパーティは夜更けまで続く……。
世界のクルマ好きが一堂に会する
GOOD WOOD FESTIVAL OF SPEED
グッド ウッド フェスティバル オブ スピード
世界中のジャーナリストをはじめ伝説のレーシングドライバーから現役のF1ドライバーやラリードライバーから自動車メーカーのVIPまで、とにかくクルマに関係する人の数が桁違いに集まる。

世界中からカーガイが集まる“動”イベント
毎年6月に行われるこの祭典もまたヨーロッパを中心としたセレブリティの社交場となる。主催はご存知イギリスのマーチ卿。彼の所有する広大な“庭”ですべてが行われる。
キャッチフレーズのとおり、ここではマシンが爆音とともに目の前を駆け抜ける。コースは20世紀当初流行っていたヒルクライムで、クラスごとにそこでのラップを競うというものだ。
で、そのクラスがモノ凄い。戦前からつい最近のフォーミュラまで、普段拝むことのできないものが顔を連ね、まさに走るモーターショーだ。ちなみに、今年のメインサポートはマツダだった。
日本企業はホンダ、トヨタに続くが、マツダの1991年のル・マンでのあの劇的勝利はいまも語られる……。

日本におけるヒストリック熱は年々人気が高まっている……
観光庁お墨付きのクラシックカーラリーイベント
RALLY NIPPON
ラリーニッポン
単に走るだけでなく「日本の世界遺産や文化遺産を巡る旅」がコンセプトになっていて、日本の素晴らしさを世界に発信する役割も担っているとか。

当初は、東京~京都間を走っていたが、一昨年は台湾に。そして昨年は福岡の太宰府をスタートして京都の上賀茂神社をゴールとした。神社仏閣とクラシックカーが驚くほどマッチするのは発見だった。
さて、今年は京都の東寺をスタートし、四国を一周、再び京都へ戻るというルートで実施された。ゴールは恒例の上賀茂神社。今治城、松本城の城内にまでクルマを乗り入れられる機会はそうないだろう。
城壁そびえ立つ門を次々にクラシックカーがくぐる姿は何とも絵になる光景だ。

今年は京都を出発して四国を一周。そしてまた京都に戻ってくるというルートを4日間かけて行う。今年のエントリーは73台。2016年の開催詳細はhttp://www.rallynippon.asia/まで。
そんなイベントだけに、英国の高級ブランド、ダンヒルも積極的に応援している。クルマ好きで知られるアルフレッド・ダンヒルは「自動車以外のものはすべて作る」というモットーを掲げ、ブルゾンやグローブ、ゴーグルまで一通り揃うダンヒルにはぴったりのイベントだ。
今年もダンヒルチームは海外からゲストを招き、エントリーしていた。
道を完全に閉ざしての全開走行は必見!
ALPINE CLASSICCAR RALLY
アルペン クラシックカー ラリー
ちなみに欧州ではモンテカルロクラシックカーラリーが有名。山道は完全にクローズドで行われる。

山道を全開で駆けるACCRは人気急上昇
堺 正章氏を筆頭にクラシックカーを愛する著名人もかなり出場していることでも知られる。
ただ、そんな公道のラリーとは別の流れも最近は活発になっている。今年で4年目を数えるアルペンクラシックカーラリー、通称『ACCR』だ。こちらはクローズドした林道を使いタイムアタックをする。
クラシックカーをもっとガンガン走らせたいという想いで実現した。なので、中身もかなり本格的。ACCRの大会会長はなんと世界的なラリースト新井敏弘氏。
WRCの世界チャンピオンがレギュレーション作りをつとめた。よってクルマも公道ラリーとは少々異なる。3点式以上のロールバーと4点式のシートベルト、消火器の搭載、ヘルメット、レーシングスーツの着用が義務づけられる。
その意味では前述したグッドウッドのイベントに近いが、よりラリーモンテカルロ・ヒストリックなどを連想させる。クラシックミニ、ポルシェ356、アルピーヌA110、ランチア・ストラトスなど、出場するクルマは本気のラリーカーが大半だ。
といった流れの国内クラシックカー事情。このほかにも浅間モーターフェスティバルが日本版グッドウッドを目指すなど各主催者はがんばっている。そして共通するのは、どこも欧米と同じく大人のラグジュアリーな社交場であるということ。昼はレーシングスーツ、夜はブラックタイという文化も見事に日本へ輸入されているのだ。
日本でもっとも有名なヒストリックカーラリー
LA FESTA MILLE MIGLIA
ラ・フェスタ・ミッレミリア
沿道の人の多さも魅力です。
![日本でもっとも有名なヒストリックカーラリー LA FESTA MILLE MIGLIA [ラ・フェスタ・ミッレミリア]](https://assets-www.leon.jp/image/2016/02/28062649869512/0/drivers_0209_08.jpg)
※本特集は2016年1月号で掲載した企画の抜粋です