大人の男に似合う、タフな腕時計の選び方

ダイバーズ、パイロットウォッチ、レーシングクロノグラフ……。男なら誰しもこういう特殊機能を持つ時計に惹かれるはずです。中でも手に入れるなら、本物のストーリーをもつモデルを選ぶのが正解。つまり、そのオリジンが、困難なミッションや極限の領域に挑んだ男たちを支えた時計です。

それらを身に付けることは、その歴史と世界観を共有すること。とりたてウンチクを語らずとも付けてるだけで本人が誇らしい気持ちになり、結果、長年の愛着にもつながると思うんですよ。

それに、そういうストーリー性のあるモデルはやっぱりオーラが違う。普段の何でもない装いにサラリとつけるだけでピリッとスタイルが引き締まり、あなたの佇まいを男前に仕上げてくれるんです。

もちろん合わせを少しこだわれば、さらに男前度アップ。それでは、レーシングクロノグラフの傑作、「タグ・ホイヤー」のカレラで実証してみましょう。

「タグ・ホイヤー」はよくレーシングクロノグラフの名門と評されますが、 1963年誕生の初代ホイヤー カレラこそ、名声を決定的にした記念碑的モデルです。

世界で最も苛酷な自動車レースとして知られた「カレラ・パンアメリカーナ」に敬意を表して制作されたこのクロノグラフは、当時のプロレーサーの間で大評判に。その高い精度や、当時としては極めてモダンなデザインは、一般の時計ファンを虜にし、やがてブランドを代表するコレクションへと成長していったのです。

ここで付けているのは、タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 スポーツクロノグラフ。タキメーター
が刻まれたベゼルや３つ目インダイヤルといったカレラの完成されたスタイルはそのままに、トレンドのグリーンダイヤルとしたことでぐっと新鮮かつ洒脱な雰囲気を獲得しています。

ちなみに、搭載するのは最新の自社製ムーブメント、キャリバー ホイヤー02。コラムホイールや垂直クラッチを装備する高級クロノグラフならではの構造で、パワーリザーブは約80時間とスタミナもたっぷり。それをシースルーバックから眺めることができるのも愛着を高めるポイントと言えましょう。

こういうクラシックな機能美をもつ時計は、どんなスタイルも男らしく格上げします。逆に言うと、あまり本格的なミリタリーやワークテイストでまとめてしまうと、男クサくなりすぎるきらいも。どこかに抜けや軽さ、清潔感が感じられるコーデを心がけましょう。

ここではカレラのグリーンフェイスに合わせたオリーブ色のコートを着用していますが、リネン混素材&風にたなびく仕立てのため、実に軽やか。またボトムスを白パン、靴をレザースリッポンとして上品さをプラスしたのもポイント。

そして細かいところですが、インナーのシャンブレーシャツの袖をまくってニュアンスをつけているところも、男前時計をノンシャランにこなすコツですよ。

パイロットウォッチの名門といえば必ずその名が挙がる「ＩＷＣ」。中でも1940年代の軍用観測時計をルーツにもつビッグ・パイロット・ウォッチは、高精度を実現するために懐中時計用の巨大なムーブメントを積んでいたことで有名です。

それを継承して同コレクションは、伝統的に大きなフェイスをアイデンティティとしてきました。しかし、ご覧の新作ではディテールはそのままに43mmのプロポーションにサイズダウン。日付とパワーリザーブ表示を廃したことでダイヤルはシンプルに研ぎ澄まされ、一方でダイヤモンドのような特大リューズはひときわ存在感を発揮しています。

自社製ムーブメントCal.82100をシースルーバックで視認できるところや、簡単にストラップ交換できる独自システムを新搭載しているところも魅力。男前なパイロットウォッチが欲しいなら、間違いない一本です。

「パネライ」が1936年にイタリア海軍の特殊潜水部隊の要請で試作したモデルにルーツをもつラジオミール。
そもそもは同名の自発光塗料をインデックスに塗布したことからその名が付けられたこのダイバーズウォッチは、「パネライ」最初の時計の系譜を受け継ぐコレクションです。

特徴的なリュウズプロテクターを装備したルミノールも魅力ですが、ブランドの原点的なモデルが欲しいならここから探すといいでしょう。クッションケースにワイヤーラグをつけたクラシカルなデザインは、幅広いファッションにすんなりなじむのもメリットです。

中でもこちらは８日間パワーリザーブの手巻きムーブメントを搭載し、機械的にもオリジナルに近いモデル。ラジオミールコレクションの中で最もベーシックなデザインでもあり、長く付き合っていくにはうってつけなのです。