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2026.02.18

パリ発、ブレゲ250周年の渾身作と規格外の一夜とは?【前編】

2025年、創業250周年を迎えたブレゲは一年を通じて周年モデルを発表。そしてその年末、フランス・パリにて、まさに締めくくりの“大トリ”とも言うべき渾身作を発表したのですが──メゾンの革新性を纏った時計自体の素晴らしさはもちろん、「まさか!」と思わず口にしてしまった250周年記念ディナーの模様を前後編でお届けいたします。

CREDIT :

:文・編集/石井 洋(Web LEON) 写真/ブレゲ

「エクスペリメンタル」という名が示す、メゾンの思い

創業250周年を締めくくった渾身作『エクスペリメンタル 1』と、その発表の舞台となった国立海洋博物館。

▲ 創業250周年を締めくくった渾身作『エクスペリメンタル 1』と、その発表の舞台となった国立海洋博物館。

トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、ソヌリ機構……。時計ファン垂涎の複雑機構を発明した天才時計師、アブラアン-ルイ・ブレゲ。時計史に燦然と輝く氏の功績を礎に、昨年250周年を迎えたブレゲが世界各地で周年モデルを発表したのは記憶に新しいところですが、その年末の12月、パリで開催された公式イベントにて、その締めくくりとなる“大トリ”の一本が発表されると聞き、Web LEON編集長、石井はパリへと飛び立ちました。


発表の舞台となったのは、冬のパリらしい朝焼け残る国立海洋博物館。昼間は観光客で溢れる、エッフェル塔を望むトロカデロ広場に在り、アブラアン-ルイ・ブレゲがルイ18世によってフランス王国海軍時計師に任命された歴史を思い起こさせる場所でもあります。

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▲ これまでとは一線を画すモダンなデザインに驚きましたが、実はある時計が発想の源に(後述)。初のコンスタント・フォース付きマグネティック脱進機など、革新的な機構で±1秒/日という高い精度を実現させ、72時間のパワーリザーブ、優れた耐磁性、100m防水も実現。“最高級の実用”がここにあります。『エクスペリメンタル 1』手巻き、18Kブレゲゴールドケース(43.5mm)、ラバーストラップ。10気圧防水。世界限定75本。5383万4000円/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

▲ これまでとは一線を画すモダンなデザインに驚きましたが、実はある時計が発想の源に(後述)。初のコンスタント・フォース付きマグネティック脱進機など、革新的な機構で±1秒/日という高い精度を実現させ、72時間のパワーリザーブ、優れた耐磁性、100m防水も実現。“最高級の実用”がここにあります。『エクスペリメンタル 1』手巻き、18Kブレゲゴールドケース(43.5mm)、ラバーストラップ。10気圧防水。世界限定75本。5383万4000円/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

メゾンの矜持である、ブレゲシールが刻まれて。自らに課す比類なきハードルの高さを今作でも超えてくるという素晴らしさ。

▲ メゾンの矜持である、ブレゲシールが刻まれて。自らに課す比類なきハードルの高さを今作でも超えてくるという素晴らしさ。

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ブレゲCEO、グレゴリー・キスリングがこれまでのブレゲ、これからのブレゲを語り、250周年の思いを託した一本を発表。それが『エクスペリメンタル 1』でありました。“実験的”という意味を持つ“エクスペリメンタル”をその名に冠した今作は、今後さらに研究開発部門に光を当てていく“エクスペリメンタルプログラム”の第一章でもあるそう。メゾンの遺産と未来を繋げた一本、というわけです。


『エクスペリメンタル 1』を実際に手に取ると、その革新性とメゾンのDNAをまざまざと思い知らされることとなりました。

デザインの着想源はブレゲの懐中時計「No.3448」(左)。『エクスペリメンタル 1』はそのデザインコードに寄り添いながらも、圧倒的モダンな顔立ちを提示しました。

▲ デザインの着想源はブレゲの懐中時計「No.3448」(左)。『エクスペリメンタル 1』はそのデザインコードに寄り添いながらも、圧倒的モダンな顔立ちを提示しました。

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まず驚かされたのは、そのデザイン。18Kブレゲゴールドとマリン・ブルーの華やかなコントラスト、何よりサファイアクリスタルの文字盤から覗くムーブメントと、その奥行き、配列が実にモダンな印象で、いい意味でこれまでのイメージを裏切られ……。時表示は6時位置に、12時位置のトゥールビヨン上で秒を表示しますが、分表示は大きくオフセットされ、トゥールビヨンの上を通過するようなデザインに。それぞれの表示がスーパールミノバで視認性が確保されている点、初のインターチェンジャブル仕様など“最高級の実用”といったところにも、並々ならぬ本気度を感じ取ることができました。実にモダンなデザイン──今作は確かにそうであるのですが、その着想源がブレゲの懐中時計「No.3448」と知り、そして実際に並び合わせて両者を見た時、時空を超えた感覚を覚えたことを吐露します。


そして、『エクスペリメンタル 1』のハイライトはここから始まります。天才時計師アブラアン-ルイ・ブレゲは多くの発明をしましたが、実は特許を獲得したのはコンスタント・フォース(定量機構)とトゥールビヨンのふたつのみ。今作は、なんとその意義深いふたつの複雑機構を組み合わせた一本であり、メゾンの節目に相応しい渾身作であると言い切れる理由でもあります。ちなみにその他の数多の発明は、比類なき先進性のため時代の要請を受けなかったことで特許の必要がなかった、という逸話も付記します。

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『エクスペリメンタル 1』の特徴を“トゥールビヨンとコンスタント・フォースの組み合わせ”と書くのは実に容易いのですが、その実現難易度はまさに発明の域。今回搭載された7万2000振動/時というトゥールビヨン(トゥールビヨン史上最高振動数)は、外部からの衝撃にも素早く振動を安定させることができるというメリットがありますが、その分、エネルギー消費が大きく、振動の一定性を担保するのが難しくなり……。その課題を解決すべく開発されたのが、ブレゲの未来を示す発明、「マグネティック脱進機」でした。

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磁石の反発力を利用した、革新的な「マグネティック脱進機」。いわゆるトルク落ちに影響を受けず、安定した振動数を担保します。

▲ 磁石の反発力を利用した、革新的な「マグネティック脱進機」。いわゆるトルク落ちに影響を受けず、安定した振動数を担保します。

マグネティック脱進機を搭載したコンスタント・フォース機構とトゥールビヨンを組み込んだ新開発のキャリバー7250。磁力を用いながらも、耐磁性のあるパーツを採用し、600ガウスの耐磁性を確保。ポリッシュ仕上げ、ヘアライン仕上げを使い分けた美しい心臓部がこちらです。

▲ マグネティック脱進機を搭載したコンスタント・フォース機構とトゥールビヨンを組み込んだ新開発のキャリバー7250。磁力を用いながらも、耐磁性のあるパーツを採用し、600ガウスの耐磁性を確保。ポリッシュ仕上げ、ヘアライン仕上げを使い分けた美しい心臓部がこちらです。

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そもそも脱進機はゼンマイのほどける力を制御する時計の精度を保つための機構ですが、現在の主流であるスイスレバー脱進機は、構造上、どうしても摩擦と摩耗が生じます。それは伝導効率の面、長期的な精度維持を鑑みた際、向上させることが難しい機構でもあって。一方、「マグネティック脱進機」は、アンクルの爪石を磁石に置き換え、磁気プレートと反発する“磁力”で振動の安定性をはかる仕組み。言わば、リニアモーターカーのようなもので、摩擦、摩耗を大幅に抑え、エネルギー伝導を飛躍的にアップさせたというわけです(さらなる深掘りはコチラもご覧ください)。


『エクスペリメンタル 1』の凄みの根本──それは、その名に関した“実験的”であるべきという姿勢を、新たな250年に向けて自らに課したメゾンの覚悟にある、と。そしてそれらを、我々の前に“最高級の実用”として提示する。アブラアン-ルイ・ブレゲが探求した品質は、現在から未来へと、着実に進化し、深化しているのでした。


【後編】では、ブレゲの250周年記念ディナーの様子をお届けします。これが正直、腰を抜かすレベルで……。こちらもお楽しみに。

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