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2026.01.26

ブレゲがまたも機械式時計を革新させた!? 磁石によって超高精度を実現

腕時計のプロたちが魅了された一本をリコメンドする本企画。今回は時計ジャーナリストの高木教雄さんが「ブレゲ」の『エクスペリメンタル 1』を選びました!

BY :

文/高木教雄
CREDIT :

編集/岸澤美希(Web LEON)

腕時計のプロたちが魅了された一本をリコメンドする本企画。今回、 時計ジャーナリストの高木教雄さんが選んだのは、「ブレゲ」のエクスペリメンタル 1です。

選者:時計ジャーナリスト 高木教雄

ブレゲ創業250周年の大トリは、磁石を味方にした前代未聞のコンスタントフォース脱進機

「エクスペリメンタル 1」手巻き、18Kブレゲゴールドケース(43.5mm)、ラバーストラップ。10気圧防水。世界限定75本。5348万円(予価)/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

▲ 「エクスペリメンタル 1」手巻き、18Kブレゲゴールドケース(43.5mm)、ラバーストラップ。10気圧防水。世界限定75本。5348万円(予価)/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

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昨年のブレゲ創業250周年の大トリを飾ったのは、初代ブレゲによる2つの発明を組み合わせた超高精度な複雑機構でした。1つはご存じ、トゥールビヨン。そしてもう1つは、日本語で「定量機構」と訳されるコンスタントフォースです。


コンスタントフォース機構は、ゼンマイからの駆動力(トルク)を一旦バネに溜め、一定周期で放出する初代ブレゲ考案の基本原理に基づきます。つまり、ゼンマイが巻き戻るにつれて生じるトルク落ち(精度に悪影響を及ぼす)を、蓄積バネを経由させることで定量化しているのです。


しかし、このエクスペリメンタル 1に備わるコンスタントフォースには、蓄積バネがありません。代わりに用いたのは、なんと磁石!

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脱進機のアンクルの爪石を強力な磁石に置き換え、さらにガンギ車を磁気プレートでサンドした構造とし、アンクルと磁気プレート間の一定の反発力でテンプを振動させることで高精度化を図っているのです。


この革新的機構を、名付けて「マグネティック脱進機」。さらに毎秒20振動というトゥールビヨン史上最高振動数も、現代のブレゲは実現してみせました。

※現在の標準的な振動数は、毎秒8振動(毎時2万8800振動)。

創業者の偉大な2つの発明を受け継ぎさらに革新させたエクスペリメンタル 1は、250周年の真打としてまさにふさわしく、機械式時計の新たな地平を開く一本です。

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「規格外の高精度を実現した、現代のブレゲの革新性に刮目せよ!」(高木)

「エクスペリメンタル 1」手巻き、18Kブレゲゴールド(43.5mm)、ラバーストラップ。5383万4000円/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

▲ 「エクスペリメンタル 1」手巻き、18Kブレゲゴールド(43.5mm)、ラバーストラップ。5383万4000円/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

ブレゲは、シリコン製脱進機とヒゲゼンマイを時計界でいち早く導入しました。磁気帯びしないシリコン製の調速脱進機を得たことで、磁石を用いて機械式時計を革新してきました。


内臓するディスク式オルゴールを磁力で調速する磁石式ガバナー、テンプの軸を強力な磁石で支えることで重力変化(姿勢差)の影響をキャンセルするマグネティック・ピポッドがそれ。これらの経験なくしては、今回のマグネティック脱進機は生まれなかったでしょう。

※2011年に機械式ソヌリ機構に搭載。磁石を用いることでガバナー(ハンマーを規則的に動かすため機構)が雑音なく動作し、ソヌリのメロディーを邪魔することがない。

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一般的なスイスレバー式脱進機は、ゼンマイの力で回転するガンギ車の歯先にアンクルの爪石が当って回転を止める・外れて再回転させるを繰り返すことで回転速度を制御しています。それと同時に爪石が外れる際にガンギ車の回転力がアンクルの動きを介してテンプに伝わり、振動を促します。


マグネティック脱進機も、強力磁石製の爪石がガンギ車の歯先に当たって回転を止めるのは同じ。


その際、ガンギ車をサンドする磁気プレート間の間で生じる磁場(磁束)は、爪石となる磁石が侵入するため乱れます。磁束は変化を嫌うので、元通りに整えるために磁石製爪石をはじき出す力が働き、その反発力でアンクル全体が動いてテンプを振動させる仕組みなのです。


つまりテンプは、爪石の磁石と磁気プレート間で働く一定の反発力だけで振動させているので、ゼンマイのトルク変化の影響を受けず、高精度が得られるというわけです。

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この大掛かりなマグネティック脱進機をキャリッジ内に収めるためにテンプがオフセット配置となり、トゥールビヨンの動きがよりダイナミックになっているのも魅力。


フルオープンのダイヤルも、革新的機構にふさわしいアバンギャルドな印象です。また、デザインには時・分・秒針を独立させた古典的なレギュレーターを採用するというミスマッチが、革新性をより際立たせています。


マグネティック脱進機でトルク変化に、トゥールビヨンで姿勢差に対応し、毎秒20振動の超ハイビートでテンプの動きを安定化させた結果、平均日差(1日の誤差)±1秒という超高精度を実現。ブレゲの革新性は、機械式時計の精度を未知の領域にまで導いてみせました。

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● 高木教雄(たかぎ・のりお)

時計ジャーナリスト。1962年生まれ。大学では機械工学を学ぶ。1990年代後半から時計を取材対象とし、時計専門誌やライフスタイルマガジンなどで執筆。スイスで開催される新作時計発表会に加え、工房取材を積極的に行う。著書に『世界一わかりやすい腕時計のしくみ』(世界文化社)など。

■ お問い合わせ 

ブレゲ ブティック銀座 03-6254-7211

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