2026.01.17
ショパール史上最も複雑な腕時計!? 時計通も垂涎な『L.U.C グランド ストライク』
腕時計のプロたちが魅了された一本をリコメンドする本企画。今回は時計ジャーナリストの篠田哲生さんが「ショパール」の『L.U.C グランド ストライク』を選びました!
BY :
- 文/篠田哲生
- CREDIT :
編集/岸澤美希(Web LEON)
腕時計のプロたちが魅了された一本をリコメンドする本企画。今回、時計ジャーナリストの篠田哲生さんが選んだのは、ショパールのL.U.C グランド ストライクです。
選者:時計ジャーナリスト 篠田哲生
ショパール マニュファクチュールの集大成たる超複雑チャイミングウォッチ

▲ 「L.U.C グランド ストライク」手巻き、18Kエシカルホワイトゴールドケース(43mm)、アリゲーターストラップ。1億2862万3000円(税込予価)/ショパール

スイスを代表するラグジュアリーウォッチとジュエリーのメゾンとして知られるショパール。2026年は、フルリエに自社ムーブメントの工房を創設して30周年を迎えます。その間、ベースキャリバーから超複雑機構、さらには革新的なチャイミングウォッチまで生み出してきました。
機械工学の粋を集め、数百という微細なパーツを誤差なく動き続ける超複雑機構は、ロマンを楽しむものだと思われがちですが、パーペチュアルカレンダーもトゥールビヨンも機能性や精度といった実用面の進化を止めることはありません。しかしいわゆる三大複雑機構の一角である「ミニッツリピーター」だけは、誕生から現在まで一貫して、数値化できないロマンを探求し続けてきました。
「ミニッツリピーター」というのは、ケースサイドのスライダーを操作することで時計内部のハンマーでゴングを叩いて音を出して現在時刻を知らせるチャイミング機構のひとつで、その価値は「どれだけ美しい音色を奏でるか」ということに尽きる。もはやこれは「楽器」であり、各ブランドは理想の音質を探求するのです。
しかしそこが難しい。音は周波数で数値化できますが、心地よいと感じる音色は千差万別なので、何をもって最高とするのかに苦心するのです。絶対音感の担当者を起用したり、専門家に科学的に解析させたり、社長の意見を絶対視したりと、色々な方法がある中、ショパールが導き出した答えが、素材の探求でした。
「もはやこれは“楽器”なのです」(篠田)

▲ 「L.U.C グランド ストライク」手巻き、18Kエシカルホワイトゴールドケース(43mm)、アリゲーターストラップ。1億2862万3000円(税込予価)/ショパール
ミニッツリピーターの音を左右する最大の要素はゴングの素材ですが、ショパールはサファイアクリスタルに注目しました。
風防にも用いられるこの素材は、以前から音質が良いことはわかっていましたが、硬すぎてゴングの形に加工できなかったのです。しかし、ショパールはその難問に挑み、サファイアクリスタルのゴングを考案。しかもサファイアクリスタルの風防とモノブロック形成させることで、理想的な澄んだ音を引き出すことを実現しました。
▲ ケースバックからは、ケースいっぱいのムーブメントを鑑賞できます。洋銀(ジャーマンシルバー)製の地板に施されたコート・ド・ジュネーブ装飾も実に美しい。
▲ ゴングと文字盤風防を一体化させたサファイアモノブロックテクノロジーは独自特許技術を取得。この1本の時計の中に計10件の独自技術特許を有しています(出願中も含む)。
▲ Cal.L.U.C 08.03-Lは、合計686のムーブメント部品で構成されるショパール マニュファクチュール史上最も複雑なもの。初期段階の試行的な研究や技術設計、実用的なプロトタイプの製作に至るまで、1万1000時間以上も費やされたのだそう(!)。
▲ リューズは、ストライクワーク作動用プッシュボタン一体型。操作のシンプルさも特徴。

▲ ケースバックからは、ケースいっぱいのムーブメントを鑑賞できます。洋銀(ジャーマンシルバー)製の地板に施されたコート・ド・ジュネーブ装飾も実に美しい。

▲ ゴングと文字盤風防を一体化させたサファイアモノブロックテクノロジーは独自特許技術を取得。この1本の時計の中に計10件の独自技術特許を有しています(出願中も含む)。

▲ Cal.L.U.C 08.03-Lは、合計686のムーブメント部品で構成されるショパール マニュファクチュール史上最も複雑なもの。初期段階の試行的な研究や技術設計、実用的なプロトタイプの製作に至るまで、1万1000時間以上も費やされたのだそう(!)。

▲ リューズは、ストライクワーク作動用プッシュボタン一体型。操作のシンプルさも特徴。
本作の製作過程では、プロトタイプを製作して手作業で削りながら音を調整し、理想の音が鳴るゴングの形を探し出したそう。しかもその際に音楽家に協力を仰いでプロフェッショナルの視点から音色を探求し、さらに音響専門家にも協力してもらったそう。
L.U.C. グランド ストライクでは、このサファイアクリスタル製ゴングを使用するだけでなく、チャイミング機構としては最高難度であるグランソヌリ(時、15分、分)も搭載。その精密な動きをダイヤル側から鑑賞できるようにしているのも素晴らしい。ここには、美しい音色を奏でる最高峰の時計を作りたいという情熱だけがあるのです。


● 篠田哲生(しのだ・てつお)
時計ジャーナリスト、ウォッチディレクター。1975年千葉県出身。LEONをはじめ、時計専門誌やWEB、新聞などで時計企画を担当。時計イベントの企画や登壇なども行う。著書に『教養としての腕時計選び』(光文社新書)など。
■ お問い合わせ
ショパール ジャパン プレス 03-5524-8922


















