大人の「ドレスウォッチ」の活用術。カジュアルこそ腕元ノーブルに！

実にバリエーション豊富な現在の時計シーン。洒落者の間では、スーツにはドレスウォッチ、アクティブな時にはクロノグラフやダイバーズに付け替えるなど、ドレスコードならぬ“ウォッチコード”がしっかり定着しつつあります。とはいえ、そのコードをあえてハズすことで、小気味よく差別化することが可能です。　

そのひとつが、カジュアルスタイルでのあえてのドレスウォッチ使い。ドレスウォッチとは、薄型ケースにレザーストラップを合わせ、文字盤もインデックスがシンプルで、2〜3針を基本とするスリムかつエレガントなタイプです。

現在では、ドレスウォッチはフォーマルなシーンやスーツに合わせるものというイメージが強いかもしれませんが、出番はそれだけに止まりません。そもそも「高級時計＝ドレスウォッチ」の歴史は長く、20世紀初期までのリッチマンは、休日もドレス時計で生活するのが一般的でした。

例えば、上質なニットアウターでゆるりと過ごす休日に、ドレスウォッチを合わせることは、ある意味トラッドなラグジュアリースタイルの定番ですし、腕元から上品な雰囲気を一気に纏えます。

ドレスなアイテムを日常品のように気軽に付けこなすという贅沢感。もちろん、正統派のドレスウォッチですからハレのシーンに活用できることは言わずもがな。つまり一本で二度美味しい、非常にお得なテクなのです。

スイス雲上ブランドの一角であるヴァシュロン･コンスタンタンの薄型モデルパトリモニーは、まさにアイコンと言える一本。1950年代スタイルに範をとったミニマルデザインは、優雅な曲線に加え静謐な美観を完成させており、シンプルスタイルをも一気に格上げさせる風格を備えています。

スリムなケースはわずかに6.79mm厚。ジュネーブ・シールを獲得した高品質ムーブメントを内蔵しており、軽やかな付け心地にして機能的にもパーフェクト。

ドレスウォッチの頂点として多くの時計愛好家が憧れるのが、パテック フィリップのカラトラバ。なかでも本作は、時計装飾の代表格であるギョシェを駆使したベゼルを備えています。

バーインデックスとドフィーヌ針を擁した極めてミニマルな構成ながら、四角錐状の《クルー・ド・パリ》装飾を緻密に刻み込んだベゼルは、光を受けて優雅な輝きを見せる仕上り。

搭載ムーブメントは、手巻き専用機として開発されたCal.30-255 PS。安定的な動力を約束するツインバレル式でありパワーリザーブも余裕の最小65時間。

“手の届くラグジュアリー”をテーマに、数多くの良質な時計を作り続けるフレデリック・コンスタント。なかでもスイスウォッチの伝統的美観を集約させたマニュファクチュールコレクションは、本格機械式時計の入門としても理想的です。

特に、6時位置にカレンダーを配した本作は、エレガントなローマンインデックスにブレゲ針を備えており、シンプルにしてしっかり個性的であるのもポイント。シースルーバックから自社製Cal.FC-710が観賞できる本格派です。

スイスを代表する歴史的なマニュファクチュールであるジャガー･ルクルトは、創業以来、ムーブメントを複雑系を含めて1300種ほど開発してきたトップクラスの実力派。こちらのマスター・ウルトラスリム・デイトも同社の基幹ムーブメントのひとつである、Cal.899を積んだ非常に完成度の高いモデルです。

自動巻きでありながら3.3mmという薄軽ムーブメントゆえに、装着感も軽快そのもの。ピンクゴールドのケースに淡いベージュ色の文字盤を持つ一本は、寛いだ装いにマッチする優しい気品を兼備します。