バーゼルを舞台に、セイコー＆グランドセイコーが見せた国産の矜持

バーゼルという完全なアウェーに、セイコーが出展したのは今から33年前でした。その実績とともに存在感も年々増しています。特に今年は、セイコーが世界に先駆けて発売したクオーツウォッチの50周年。クオーツウォッチの登場は、スイス時計業界ばかりでなく世界にも大きな影響を与え、当時の時計勢力図を塗り替えたといえるでしょう。

そうした功績を振り返る記念モデルを始め、本格スポーツウォッチブランドのプロスペックスでは新シリーズのLXラインを発表。光を意味するラテン語のルクスから命名され、陸、海、空の分野におけるハイエンドに位置します。

さらに、工業デザイナーの奥山清行氏が商品開発アドバイザーに就任し、新作に期待も高まります。ヘリテージの筆頭に挙がるダイバーズは、この数年、歴代の名作を忠実に再現した復刻モデルで話題を呼んでいます。

そして今年はいよいよ、1970年に発売された150m防水の2ndモデルが登場。先進性や品質、変わらぬ価値といった、時代を超越した存在感を世界に知らしめました。

1965年発表の国産初ダイバーズに続く150mダイバーズとして発表されたオリジナルモデルは、滑らかなオーバルのケースフォルムに4時位置のリュウズが特徴でした。当時、冒険家の植村直巳氏が北極圏1万2000kmの犬ぞり走破に使ったことから、愛好家からは植村モデルと称され親しまれています。

こちらの復刻モデルでは防水性能を150mから200mに上げ、風防はサファイアクリスタル、ストラップは強化シリコンに素材を変更と、デザインは忠実に再現しつつ、品質を向上させています。

グランドセイコーは、一昨年単独ブランドとして独立し、これまでになかったスポーツのセグメントにも幅を広げるとともに、セイコーの世界戦略を担う高級時計ブランドとしてさらに世界に進出しています。

今年は、独自開発のスプリングドライブ誕生20周年を迎え、これを記念したクロノグラフGMTを発表。1960年の初代グランドセイコーの裏蓋に刻まれた獅子の紋章をモチーフに、その力強さをケースでも表現しています。そのスタイリッシュな存在感は、日本から発信するラグジュアリースポーツとして世界に比肩します。

また、スプリングドライブの可能性をさらに拡げる手巻き式キャリバー9R02を新たに開発し、薄型ドレスウォッチに搭載しました。

こちらのキャリバーには、2つの見ドコロが。ひとつのバレルに2本のゼンマイを並列した新機構のデュアルスプリングバレルと、トルクの大きいフル巻き上げ状態から約48時間エネルギーを再利用してゼンマイを自ら巻き上げるトルクリターンシステムを融合。それによって、薄さにも関わらず、約84時間のロングパワーリザーブを実現しました。

和の美意識を感じさせるエレガントなスタイルに、世界に類を見ない技術革新を秘め、グランドセイコーの世界観をさらに追求します。

初代モデルから現在に至るまで、ブランドの象徴として刻まれている獅子の紋章から着想を得たモデル。精悍なケースはシャープな面で構成し、ラグは強靱な爪をイメージさせます。

ダイアル右半分にクロノグラフ積算カウンターを並べたレイアウトも独創的。さらに、第２時間帯を差すGMT針を設け、現代的な実用性も備えます。PGケースとも調和したダイアルとストラップのカラーなど、これまでのグランドセイコーにはなかった艶っぽさも魅力です。

機能派クロノグラフと薄型ドレスという、対極の魅力を提示したグランドセイコー。しかも前者はラグスポの魅力を纏い、後者には最先端の技術革新を注ぎます。いずれもグローバルブランドとして成長を遂げたグランドセイコーらしさといえるでしょう。