2019.07.09

台湾の深山清流の渓谷にオープンした「星のやグーグァン」の全貌

星野リゾートの最上級ブランドである「星のや」。その海外第２弾「星のやグーグァン」が2019年6月30日に台湾の山深い渓谷にある谷關（グーグァン）温泉にオープン。いち早くその全貌をお届けします。

CREDIT :: 文／小野アムスデン道子

「現代を休む日」をブランドコンセプトにした星野リゾートの最上級ブランドである「星のや」。その海外第２弾「星のやグーグァン」が2019年6月30日に台湾の山深い渓谷にある谷關（グーグァン）温泉にオープンしました。どんな安らぎを提供してくれる宿なのか、いち早くその全貌をお届けします。

台北から高速鉄道で１時間の台中から車で約90分。周囲を７つの山に囲まれた緑深い渓谷に流れる清流の水ははっとするほどの美しさです。やがて、山の中腹に「星のやグーグァン」が見えてきます。周辺の自然と融和するようでありながら、「温泉渓谷の楼閣」というコンセプト通り、谷關温泉を見下ろして立つ姿は存在感を放っています。

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朝靄に包まれた周辺は、深山幽谷の表情を見せることも。
川の美しい水色に目を奪われる。近くには台湾原住民のタイヤル族の村も。

朝靄に包まれた周辺は、深山幽谷の表情を見せることも。
川の美しい水色に目を奪われる。近くには台湾原住民のタイヤル族の村も。

台湾の桂竹の林が誘う「星のやグーグァン」の入り口。鏡面のようなエントランスのガラスにも山並が映り、ぐるりと周りを自然に囲まれた桃源郷のような感じがします。１万8千㎡という敷地で、喧噪の日常と切り離された場所はいかにも「星のや」らしいと言えます。

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桂竹に囲まれている非日常への入り口。

桂竹に囲まれている非日常への入り口。

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緑深い台湾中部の山間を流れる川「大甲渓」を思わせるウォーターガーデン。
ウォーターガーデンを歩けば森の中の川辺を散歩するよう。
近くの川のせせらぎのようにきれいなプール。プールサイドにはガゼボが並ぶ。

緑深い台湾中部の山間を流れる川「大甲渓」を思わせるウォーターガーデン。
ウォーターガーデンを歩けば森の中の川辺を散歩するよう。
近くの川のせせらぎのようにきれいなプール。プールサイドにはガゼボが並ぶ。

「星のやグーグァン」で驚かされるのは、美しい台湾中央山系の湧き水と豊かな温泉を使って、どこにいても水を感じさせるパブリック空間のスケール。川の蛇行を示すかのように水路を張り巡らしたウォーターガーデン、石積みを使った独創的なデザインの大浴場露天風呂、青い水をたたえてガゼボでまどろめるプールと、緑と水に癒されます。

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石組みの広い大浴場の露天風呂も自然の中に入っていくような作り。
廊下を歩いていても大きく開いた窓から水の流れがうかがえる。
風の間というパブリックスペースは座っているだけで癒される眺め。

石組みの広い大浴場の露天風呂も自然の中に入っていくような作り。
廊下を歩いていても大きく開いた窓から水の流れがうかがえる。
風の間というパブリックスペースは座っているだけで癒される眺め。

美肌の湯と言われる弱アルカリ性炭酸泉の温泉が豊かに湧き出す谷關温泉。「星のやグーグァン」は、木質系の内湯と石積みの露天風呂にサウナや水風呂を備えた大浴場だけでなく、全50室すべてに源泉かけ流しの半露天風呂が配されています。

ほとんどの客室はメゾネットになっていて、温泉フロアというゆったりした空間で大きな窓の向こうの山々を眺めてプライベートにゆったりと湯に浸かれます。天井の高い客室で、リビングや寝室の窓は天井までがガラスで、全面に外の景色を楽しめるのです。

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窓の外の自然が借景。開放感のある客室「水明」のリビングルーム。
５タイプの客室の中で、他の２倍という広々した温泉フロアがある「月見」。

窓の外の自然が借景。開放感のある客室「水明」のリビングルーム。
５タイプの客室の中で、他の２倍という広々した温泉フロアがある「月見」。

日本料理の技法で台湾の食材を生かした食もまた滞在の楽しみ。例えば、近くの川にいるチョウザメは白身がほくっとした味の淡水魚ですが、油で揚げて旨みを引き出し、コクのある南蛮漬けにしています。香りを移す杉板焼きや甘酸っぱさが食欲をそそる土佐酢ゼリーと工夫された調理と和の美しい器が食を引き立てます。お昼も、天ぷらや焼き魚などを盛り合わせ、この山中でと驚く和定食を用意しています。

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竹の節に隠れた八寸とお造りが展開する趣向の宝楽盛り。
上から若布、海老、蒸し鮑の土佐酢ゼリー、チョウザメの南蛮漬け、ハタの杉板焼き。

竹の節に隠れた八寸とお造りが展開する趣向の宝楽盛り。
上から若布、海老、蒸し鮑の土佐酢ゼリー、チョウザメの南蛮漬け、ハタの杉板焼き。

この大自然と温泉を満喫してもらえるように、早朝には台湾の伝統的な健康法「気功」をベースにした「気循森呼吸（きめぐりしんこきゅう）」というストレッチプログラムがあり、入浴前と入浴後の時間には温泉をより楽しめりお茶を、チェックアウト前には地元名物の五葉松を使用した松葉のかき氷を提供するそう。

敷地横には、全長1300メートルで春には桜、秋には紅葉を見ながら90分ほどの散策を楽しめる遊歩道があり、展望台からは谷關を一望することができます。
また、大甲渓にかかる吊橋をわたって谷關温泉街で地元の味を楽しんだり、足湯や温泉の歴史などを世界の温泉の入浴方法などを展示した国営の「温泉文化館」がある温泉公園に行ったりという楽しみ方も。

公衆浴場では、まだ水着と水泳帽を着て入浴する台湾にあって、日本式の入浴が楽しめ、非日常のラグジュアリーな時間を楽しめる温泉リゾート「星のやグーグァン」は、希有な存在だといえるでしょう。