どうせ彼女と温泉に行くなら、一緒にお湯につかりたい！ というわけで、旅ライターの長谷川あやさんが「デートで温泉に行ったのでいつだったっけ？」と戸惑いつつも、客室露天風呂付の温泉をピックアップしてくれました。お湯の良さにもこだわりつつ、きっと素敵な時間を過ごせること間違いなしの温泉宿ですぞ。
■ 界 ポロト（北海道）
ポロト湖に浮かぶような湯宿でモール温泉に抱かれる
▲ 「界 ポロト」は、北海道・白老町(しらおいちょう)に位置。アイヌ文化の発信拠点「ウポポイ」に隣接している。
星野リゾートが手がける温泉旅館ブランド「界」。その19番目の施設で、2022年1月にオープンしたのが、「界 ポロト」です。同施設のコンセプトは「ポロト湖の懐にひたる、とんがり湯小屋の宿」。アイヌ民族の暮らすチセ（アイヌ民族の家）から着想を得て設計されていて、42室すべてがポロト湖ビューなんです（と軽く書いていますが、このビュー、圧倒されます。ぜひご覧いただきたい！）。
▲ ポロト湖を見渡すテラスと露天風呂が付いた特別室(定員2名)は全３室。
客室のお話も少しばかりさせていただいていいですか？ 「界 ポロト」はすべての客室がインテリアにご当地の要素を取り入れたご当地部屋「□の間（しかくのま）」。チセの中心にあった炉をイメージした、四角い天然石のテーブルが置かれていたり、壁紙やクッションカバーにアイヌ文様が施されていたりと、白老の自然とともに、アイヌ文化が体感できます。
▲ 特別室のベッドルーム。室内には、アイヌ民族の生活から着想を得たアート作品や、アイヌ文様を施した壁紙やクッションも。部屋のなかでも白老ならではのひと時が過ごせます。
PAGE 2
なかでも特筆したいのは、温泉の泉質が世界的にもめずらしいモール温泉だということ。天然植物由来の腐植質の有機物を含有し、化粧品にも配合されている成分を含むモール温泉は、女性垂涎の「美肌の湯」。また、「界 ポロト」の泉質は弱アルカリ性のため、古い角質を落とし、肌の新陳代謝を高める働きもあるのだとか。独特な油臭、クセになります！
▲ 真っ白なもやに包まれた、凍ったポロト湖を見下ろしながら入る露天風呂はと～ってもロマンティックでしたが、雪が解けたあとも四季折々の美しい景観を眺めることができるはず！ 可能なら季節を変えて訪れたい！
そんな大地から湧き出る茶褐色の湯は、アイヌ様式の三脚構造の丸太を組んだ湯小屋「△湯（さんかくのゆ）」や光が差し込むドーム型の屋根と円形の浴槽を持つ「〇湯（まるのゆ）」のほか、テラスと露天風呂が付いている特別室や露天風呂付き洋室で楽しむことができます。
それぞれ個性の異なる「△湯」「〇湯」もぜひ体験してほしいのですが（特に「△湯」の男性露天風呂の見晴らし、すばらしいです！）、客室の露天風呂で、ポロト湖を眼下に眺めながらの湯あみは幻想的な時間になること間違いなし、ですよ。
それぞれ個性の異なる「△湯」「〇湯」もぜひ体験してほしいのですが（特に「△湯」の男性露天風呂の見晴らし、すばらしいです！）、客室の露天風呂で、ポロト湖を眼下に眺めながらの湯あみは幻想的な時間になること間違いなし、ですよ。
▲ 食事は半個室の食事処、もしくはポロト湖に面したカウンター席で。ディナーは北海道の食材を活かした会席料理を提供。写真は、クマさんと一緒に登場した、じゃがいものすり流しにいくらと雲丹をのせた、北海道ならではの先付「馬鈴薯海宝(ばれいしょかいほう)盛り」。
■界 ポロト
住所／北海道白老郡白老町若草町1-1018-94
HP／https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiporoto/
TEL／0570-073-011（界予約センター）
料金／特別室3万8000円～（2名1室利用時の1名料金、1泊2食付、税サ込）
PAGE 3
■ LOQUAT（ロクワット）西伊豆
ラグジュアリーにリノベした「蔵」で、しっぽりと飲み明かす！
▲ 「LOQUAT（ロクワット） = 枇杷」という名前は、土肥の地に根付く、初夏の限られた時季だけの実る幻の果実「⽩枇杷」にちなんでいるのだそうです。
食いしん坊で、お酒も大好きな彼女と一緒の旅なら、「LOQUAT（ロクワット）西伊豆」なんていかがでしょう？ 江戸時代から土肥の名主として代々続いた、西伊豆の大地主・鈴木家300年の歴史をもつ旧邸宅をフルリノベーション。イタリアンダイニング、ジェラート＆ベーカリー、宿泊施設が一体化した、2021年春にオープンした複合施設です。
▲ 北鎌倉に本店を構える「タケル・クインディチ」が出店。新たに迎えた、アロマフレスカなどで研鑽を積んだ料理長が腕を振るいます。
母屋には、イタリアンレストランやジェラテリア & ベーカリーが入り、早くも近隣の人たちに絶大な支持を得ています。
敷地内にはさらに蔵をモダンに改装した空間が3つあります。一ノ蔵は、日中は無農薬の白枇杷の葉から抽出したオイルを使ったエステサービスを行い、夜は宿泊者のためだけのバーに変身します。なんて贅沢なことでしょう（笑）。で、二ノ蔵、三ノ蔵は1棟貸切のゲストルームになっています。
敷地内にはさらに蔵をモダンに改装した空間が3つあります。一ノ蔵は、日中は無農薬の白枇杷の葉から抽出したオイルを使ったエステサービスを行い、夜は宿泊者のためだけのバーに変身します。なんて贅沢なことでしょう（笑）。で、二ノ蔵、三ノ蔵は1棟貸切のゲストルームになっています。
▲ 二ノ蔵の露天風呂。もはやもうひとつのリビングといって差し支えない快適なテラスには、デイベッドもありました。かけ流しの温泉に浸かりながら、星空観賞なんていかがでしょ？
PAGE 4
▲ 二ノ蔵の客室。枇杷の葉エキスのトリートメントオイルや、枇杷の枝で染めたあずま袋（持ち帰り可能）など、オリジナルなアメニティにも心ときめきます！
二ノ蔵は、蔵ならではの雰囲気を存分に味わえる平屋タイプ、三ノ蔵は土蔵ならではの壁の風合いを活かしたメゾネットタイプと個性は異なりますが、いずれも約40㎡のテラスに土肥温泉かけ流しの露天風呂を備えています。ソフト面も、シモンズ製ベッドや丸八真綿の寝具、名盤レコードとプレーヤーなど、ゲストに快適な時間を過ごしてもらうためのこだわりがてんこ盛りです。
▲ メゾネットタイプの三ノ蔵の客室。「蔵に泊まる」という冒険心もぎゅんぎゅん刺激してくれますよ！
そして特筆すべきは、こちらがオールインクルーシブの宿だということ！ 伊豆産地ビールなどが入ったミニバーはもちろん、西伊豆の食材を活かした料理を提供する「タケル・クインディチ」でのディナーや朝食も、「ジェラート & ベイク サンティ」のジェラートもすべて宿泊代金に含まれているのです。
▲ 西伊豆のレモンやいちご、伝統的な製法で作られる井田塩などを使ったジェラートが食べ放題！
宿を訪れたらその日ステイする2組のゲストのためだけにオープンする「BAR 一ノ蔵」へ足を運ぶのをお忘れなく。土肥の柑橘やしいたけ（！）を使った、ここでしか飲めないオリジナルカクテルが心ゆくまで楽しめちゃいますよ！ 今宵はもう飲む以外の選択肢はありません。健闘を祈ります。
■LOQUAT（ロクワット）西伊豆
住所／静岡県伊豆市土肥365
HP／https://loquat-nishiizu.jp
TEL／0558-79-3170（代表）
11万5000円～（2名1室利用時の1室料金、2食付、税サ込）
＊イタリアンコースディナー、朝食、料理に合わせたワイン、ウェルカムアメニティ、伊豆フルーツジェラート（フリーフロー）、焼き立てパン各種、ミニバー、「BAR 一ノ蔵」でのカクテル、LOQUAT謹製の土産付き
PAGE 5
■扉温泉 明神館（長野）
「ありのままで」をコンセプトにした、新客室にステイ！
▲ 家族経営の宿として1931年に開業した「扉温泉 明神館」。古くから、道祖神巡りの旅の宿としても人気です。
「扉温泉 明神館」は、標高1050ｍの国定公園内に位置する温泉宿。1931年に創業し、今年、90年目の節目を迎えます。と～っても評判のいい宿なので、耳にしたことがある人も多いことでしょう。筆者は、数年前に訪れたのですが、忘れがたい宿のひとつで、死ぬまでにもう一度行かねば！ と誓いを立てています（笑）。
まず宿へのアプローチがすごいんです。松本市の中心部からは山道を車で30～40分ほど。特に最後の数キロは野趣溢れまくりです（笑）。そんな大自然に抱かれる宿でありながら料理はハイレベル。信州の発酵食をアレンジした和食、もしくは、本格的なフレンチになるのですが、どちらを選んでも後悔はしません（どちらもかなり美味しいです！）。
まず宿へのアプローチがすごいんです。松本市の中心部からは山道を車で30～40分ほど。特に最後の数キロは野趣溢れまくりです（笑）。そんな大自然に抱かれる宿でありながら料理はハイレベル。信州の発酵食をアレンジした和食、もしくは、本格的なフレンチになるのですが、どちらを選んでも後悔はしません（どちらもかなり美味しいです！）。
▲ 「然・白樺」はテラスだけで、53平米！ 住めます（笑）。
で、こちらの「扉温泉 明神館」はさらに進化を遂げておりまして。2019年には、「ありのままで」をコンセプトにした、露天風呂（もしくは半露天風呂）付きの新客室カテゴリー “然” シリーズを発表し、話題になりました
▲ かつて箱庭だった場所に露天風呂を配した「然・熊野」。湯あみをしながら自然と一体化する、そんな特別な時間が待っています！
PAGE 6
▲ 「然・白樺」の客室。ベッドは安眠間違いなしのシーリー社製。
一例を紹介すると、「然・白樺」は、107㎡の客室に、53㎡のテラスが付いた、明神館の中で一番広い客室。朝目覚めた時、目の前には扉の山々の美しい景色がより望めるように設計されています。テラスに配された露天風呂は、その約半分が寝湯。湯船に横になりながら、移り行く空を飽きるまで眺めちゃってください（くれぐれものぼせないように！）。「然・熊野（ゆや）」は、72㎡の客室に専用露天風呂のある20㎡のテラスが付いています。
▲ 2021年春に誕生した、リビングの中央に浴槽を備える「然 SPA Living」の客室。
さらに新しいトピックスも。その“然” シリーズに、2021年春、新たに4部屋が加わりました。その名も、「～然 - SPA Living～」。すごそうでしょ。露天風呂ではありませんが、リビングの中央に浴槽を配し、天から溢れるような温泉を楽しむことができるとのこと。こちらも気になります……！
どの部屋に泊まって、どんな時間を過ごそうかと心を巡らせるところからうっきうきの温泉旅行は始まっていますよ！
どの部屋に泊まって、どんな時間を過ごそうかと心を巡らせるところからうっきうきの温泉旅行は始まっていますよ！
■扉温泉明神館
住所／長野県松本市入山辺8967
HP／http://www.tobira-group.com/myojinkan/
TEL／0263-31-2301
然・熊野6万3400円～（2名1室利用時の1名料金、2食付、税サ、入湯税込）
PAGE 7
■インフィニートホテル＆スパ南紀白浜（和歌山）
太平洋に沈む夕日を眺めながら、日本三古湯に浸かる
▲ 地中海のリゾートのような雰囲気ですが、ここで由緒正しき温泉を楽しむことができるのです！
悠久の時代から温泉が湧き出ていて、『日本書紀』に、牟婁温湯（むろのいでゆ）、紀温湯（きのいでゆ）として登場する和歌山県・白浜町の白浜温泉は、道後温泉や有馬温泉とともに「日本三大古湯」のひとつに数えられます。
その白浜温泉のなかでも最古の源泉と言われる「行幸源泉」の名湯を宿すのが、「インフィニートホテル＆スパ 南紀白浜」。どこか地中海のリゾートを彷彿とさせる、スタイリッシュな日本のリゾートホテルです。
その白浜温泉のなかでも最古の源泉と言われる「行幸源泉」の名湯を宿すのが、「インフィニートホテル＆スパ 南紀白浜」。どこか地中海のリゾートを彷彿とさせる、スタイリッシュな日本のリゾートホテルです。
▲ 源泉かけ流しの露天風呂付のラナイスイート。全74室のうち７室がこのタイプです。
▲ テラス（14.4平米）も浴槽も広々！ 寛げます。
建物は海に面した高台の突端に建ち、フロント周りの窓からは、太平洋と空が織りなす大パノラマがどどんと迫ってきます。遮るもののない窓の前にはちょこんと椅子が設けられていて、わかっているな、と（笑）。天気のいい日は遠く四国まで⾒渡せることもあるそう。ちなみに館内のどこにいても絶景が楽しめると評判です！
PAGE 8
▲ 展望風呂「昴」はかなりのお洒落です。青の洞窟のような雰囲気の中、奥に見える太平洋はまるで絵画のよう……。
▲ 大浴場「空」の露天風呂。これをインフィニティと言わず何をインフィニティというのでしょうかレベルの温泉です。
館内にはさまざまな温泉が用意されていて、そのすべてが、源泉かけ流し＆オーシャンビューです。さらに、7室ある「オーシャンビュー・ラナイスイート」（56.3平米）のバルコニーには、源泉かけ流しの湯が楽しめる専用の露天風呂を設置。沈む夕日が太平洋を橙色に染める景観を眺めながらの入浴は感動のひとこと。もう言葉はいりません。ただ、口をあんぐり開けて、壮大な夕日ショーに没入してください（笑）。
▲ レストラン「ジョヴァンニ」の夏のメニューより。館内には創作和食処「凪」もある。
本場イタリアで修業したシェフが腕をふるうイタリア料理や地の食材を使う和食などレストランも充実。エステティックサロンでは、紀伊半島南端の柚子を使ったオリジナルの施術を用意しています。4月末～10月までは、屋外にある温水プールも楽しめちゃいますよ。
太平洋のパノラマを一望するリゾートで、由緒正しき名湯に抱かれる、そんな癒しの時間が待ってます！
■インフィニートホテル＆スパ南紀白浜
住所／和歌山県西牟婁郡白浜町2018
HP／https://hotel-infinito.co.jp/
TEL／0739-42-2733
オーシャンビュー・ラナイスイート5万1700円～（2名1室利用時の1名料金、2食付、税サ込）
● 長谷川あや（はせがわ・あや）
グルメや旅、エンタメなど、ライフスタイル系を中心に執筆するフリーライター。ン十年来のミュージカルおたくで、パンデミック前は、隙あらば、海外に観劇に出かけていたが、ここ2年ほどで国内旅の楽しさに気づく。最近は、積極的に愛犬と旅したり、東京のホテルでワーケーションに励んだりしている。
登録無料！ 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く！ 公式メルマガ
