2019.04.19

今どきの「日本美人」ってどんな顔?

「世界で最も美しい顔100人」に石原さとみさんや桐谷美玲さんがランクインするなど、日本の美人は今、世界でも注目を集めています。ここでは、そんな日本の美女たちの歴史を紐解き、現代の「美人」について考察。

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文/LEON.JP

毎号『LEON』の誌面に登場する美人モデルたちは皆、外国人ですが、読者にとって、よりリアルに仲良くなりたいのは日本の美人でありましょう。ここでは日本美人にスポットを当て、歴史的な美人の系譜を辿りながら、今どきの日本美人に求められる要素を考察していきます。

「黒髪」「美白」は昔から美人の象徴

かつては小野小町から、現代は石原さとみさんや桐谷美玲さんまで、日本人の「美人」の基準は時代とともに変化してきました。特に小野小町が生まれた平安時代は、美人の条件の一つに「和歌を詠むこと」が必須だったりと、決して容姿だけの問題ではなかったそうです。とはいえ、当時はどんな見た目が「美人」とされていたのかと言うと…… 

●長い黒髪
●美白な肌
●下ぶくれ
●おちょぼ口
●先が尖った小さな鼻

が、その条件だったと言われています。「下ぶくれ」と「おちょぼ口」の好みは分かれるところですが、「黒髪」と「美白」は現代にも通じる「美」の基準の一つでしょう。
小野小町。平安時代、絶世の美女と言われた女流歌人
小野小町。平安時代、絶世の美女と言われた女流歌人。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/小野小町) 
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貴族文化から大衆文化へ

さらに江戸時代になると、貴族から大衆へと文化の主体が移り、遊女や下町の看板娘など、市井の美人が多く登場しはじめます。その背景には、庶民の間に広まった「浮世絵」の流行があったと言われ、美人画と呼ばれるジャンルもその中で確立されていきました。有名なところでは、喜多川歌麿による「ビードロを吹く娘」などが挙げられるでしょう。こちらは当時評判だった町娘を描いた作品で、「一重まぶたに鼻筋の通った瓜実顔」という、当時の美人顔が描かれています。
喜多川歌麿作「ビードロを吹く娘」。瓜実顔の美人
喜多川歌麿作「ビードロを吹く娘」。瓜実顔の美人。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/喜多川歌麿

西洋文化の流入で「くっきり顔」が主流に

明治時代になると、西洋文化が入ってくるとともに「美人」の定義が大きく変化していきます。西洋の服に似合うような目鼻立ちのくっきりした顔が「美人」と考えられるようになりました。また、時を同じくして「浮世絵」から「写真」へと庶民のメディアは変化し、より写真映えする立体的な顔立ちが好まれるようになっていったのです。
伊豆下田の芸者・斎藤きちと称される写真
伊豆下田の芸者・斎藤きちと称される写真。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/斎藤きち) 
例えば、伊豆下田の人気芸者だった「齋藤きち」は、米国人総領事・ハリス氏にも付き添ったと言われる国際派の美人です。顔立ちは目鼻立ちが整い、かなりくっきりとしています。他にも、顔が命の芸者の中には、今見ても目を見張るような美人が多くいました。
萬龍(まんりゅう)。明治40年に「文芸倶楽部」が実施した全国百美人の読者投稿で1位を獲得した芸妓
萬龍(まんりゅう)。明治40年に「文芸倶楽部」が実施した全国百美人の読者投稿で1位を獲得した芸妓。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/萬龍

銀幕に映えた昭和の「美人」たち

そして時は流れ昭和になると、「写真」から「映画」へと美人を映すメディアは移っていきます。いわゆる「銀幕女優」と呼ばれる美人たちが、戦前・戦後の時代を彩りました。
原節子さん(1920年~2015年)。「永遠の処女」と呼ばれ、日本映画の黄金時代を築いた女優
原節子さん(1920年~2015年)。「永遠の処女」と呼ばれ、日本映画の黄金時代を築いた女優。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/原節子
さらに時代は進み、1970年代以降になると、庶民のメディアは「テレビ」へと変わっていきます。映画に出演する女優だけでなく、歌番組やバラエティ番組に出演する「歌手」や「アイドル」が美人の象徴となっていきました。視聴者層も大人から子供までと幅広くなり、老若男女から好かれるような、いわゆる「かわいい」顔が、美人顔と考えられていくようになったのです。
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社会現象化した「アムラー」

さて、ここまで日本の「美人」の歴史をたどってきましたが、その変遷は「浮世絵」「写真」「映画」「テレビ」というメディアの変遷とも深い関わりがあることがわかってきました。
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エキゾチックな美人顔の安室奈美恵さん。©坂本利幸
そして「テレビ」から「インターネット」へ。メディアの主役の座が移り変わっていく時期の、最初の主役が安室奈美恵さんではないでしょうか。彼女がソロアーティストとしてデビューし、「アムラー」と呼ばれるフォロワーを大量に産んで社会現象化した1995~1996年当時は、インターネットの普及期と重なっており、この時期が一つのターニングポイントだったと言えるかも知れません。

前述した日本古来の美人顔(おちょぼ口の下膨れ顔や、切れ長の目の瓜実顔など)とは大きく異なる安室さんのエキゾチックな顔立ちが、この頃から国民的な「美人」として認知されはじめたのです。

今の時代における「美人」とは?

2016年の「世界で最も美しい顔100人」で第6位に選ばれた石原さとみさん
2016年の「世界で最も美しい顔100人」で第6位に選ばれた石原さとみさん。©高梨俊浩
それでは、現代のメディアはどんな「美人」を映し出しているのでしょうか?
1990年代後半からの爆発的なインターネットの普及により、メディアが多様化する今、その答えは「多様な美人」と言えるかも知れません。

例えば、映画情報サイト「TC Candler.com」が毎年発表している「世界で最も美しい顔100人」には、2008年以降ほぼ毎年日本人の女性がランクインしています。石原さとみさんや桐谷美玲さんはすでに常連ともいえる存在。特徴的なのは、女優やタレントとして世界的な活躍をしていなくても、サイトの閲覧者からの推薦があればノミネートされるという点です。

映画やドラマなど、既存のメディアの枠を超え、世界中の候補者の顔がインターネットを通じて駆け巡り、「美人」として評価されていくのです。
インターネットの普及によって、地方アイドルから海外セレブまで簡単に見ることができるようになった今、様々な「美人」が世に溢れ、一つの基準で「美人」を定義することは、ますます難しくなっています。
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ローラさん。父親はバングラデシュ人、母親は日本人とロシア人のクォーター
ローラさん。父親はバングラデシュ人、母親は日本人とロシア人のクォーター。©廣瀬靖士
ダレノガレ明美さん。父親は日本人とブラジル人のハーフ、母親はイタリア人
ダレノガレ明美さん。父親は日本人とブラジル人のハーフ、母親はイタリア人。©廣瀬靖士
そして近年における、ローラさんやダレノガレ明美さんといったハーフ・クオータータレントの登場は、そういった意味では必然だったのかもしれません。YouTubeや海外ドラマなど、海外の美人に慣れ親しんだ我々にとって、日本と異国の特徴を併せもつ顔に心が惹かれるのは、至極自然な流れです。

今後も、国籍や人種を超えた「美人」は、多様なメディアを通して多く世に出てくることでしょう。「ダイバーシティ(人材の多様性)」という言葉が持て囃される昨今、「美人」の様相も多様になってきているのです。

インターネットの普及とともに多様な「美人」が至る所に現れる現在。言い換えれば、あなたの隣に美人がやってくるチャンスも、激増しているのかも知れませんね。

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