2021.02.07
【第35回】
大和撫子の国際恋愛論「外国人男性で一番相性が良かったのは……」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CATEGORIES :
- CREDIT :
取材/林伸次 写真・構成/木村千鶴
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第35回目のゲストは、経理事務の彩芽さん(32歳)です。
性の目覚めは小学5年生でした
「こんにちは。今日はよろしくお願いします」
── こちらこそ! ここではニックネームでお話を聞くことになってるんですけど、誰かに似てるって言われませんか?
「たまにですが、剛力彩芽さんに似てると言われることがあります」
── あ〜確かに、健康的な笑顔が似ています。では彩芽さんでいきましょう。今日は彩芽さんの、これまでの恋愛に関するあれこれや恋愛観、初恋とか性の目覚めなんかにまで遡って話を聞いていきますので、赤裸々にどんどん語ってくださいね(笑)。
「はい承知しました(笑)。あ、性の目覚めについては、私はっきり覚えている出来事があるんです。小学5年生の時の授業中でした」
── えっ!? 授業中……。って、どういうことですか?
「確か国語の授業だったと思うのですが、黒澤明の『羅生門』をみんなで観たことがあったんです。冒頭で女の人が侍に無理やりキスされるようなシーンがあって、それをみた時に初めて子宮が“ズキン”とするのを感じました。それは強烈に覚えています」
── へえ〜。そんな風に始まるんですね。
「でも、そのまま性欲みたいなものにつながったとか、そういうわけじゃないんです。なんか、初めての体感、みたいな」
── その体験が気になって、何か調べたりはしました?
「何も。でも、直感でこれは“いけない感情”だっていうのはわかったので、どちらかというと蓋をするようにしました。悪い女になってしまう、大和撫子でいなきゃいけないって(笑)」
── 大和撫子……(笑)。それは親の影響ですか。
「なんですかね、親じゃないと思うんですよ。私、子供の頃から周りの人に『変わってるね、外国の人みたい』って言われることが多かったんですね。それでなのか、逆に日本の女の子っぽいものに憧れがあるというか、そうでなければいけないと思っていたように思います」
── えっ、小さな頃からそんなことを?
「はい、今でもプラトニックな女性じゃないといけないって気持ちが無意識にあって」
── そうか、意識的にそうしているのではなく、自分の中にある思いなんだ。それはその後の恋愛に大きく関係しそうですが、彼氏ができたのは何歳くらいでしたか。
── えっ!? 高校生で年下って珍しいですね。同級生でも男子は子供っぽく見える年齢なのに。彼は可愛かったんですか。
「いえ、カッコいい人でした。私を先輩扱いしなかったので、恋愛対象になったのかもしれません」
── 中学を卒業したばかりの男子が高3と付き合うって凄い。初めての時はどうしたんですか。
「クリスマスイブにラブホテルに行きました。で、する流れになるじゃないですか。でも痛くて痛くて、その日はできなくて帰ったんです」
── そういう話はよく聞きます。
「そうなんですね。本当に痛すぎて、泣きじゃくって、もうしたくないから、私にはできないから別れてって言いました」
── あ~、それは深刻ですね。
「でも彼はそんなこと気にしなくて、翌日のクリスマスも行こうって(笑)」
── またそれは(笑)。さすが高1ですね〜。
「性欲旺盛ですもんね(笑)。でもね、やっぱりできなかったんです。3カ月くらいかけて30回くらいしたけどできなくて、そのうちに彼は私から気が逸れて、他の子のところに行っちゃってた」
── ひどいですね〜彼。じゃあ、しないまま別れて。それはコンプレックスになりそうですね。そういうのは誰かに相談しました?
「いえ、しなかったです。言えなくて……」
── ですよね、なかなか言えない。だけど気になりますよね。
「うん、だからといって一人で、自分でしてみるのは嫌だったし。それは大和撫子じゃないから」
── アハハ。そうか、大和撫子はしないか〜。
“自分が合意した感じ”はイヤなんです
── あ、人にされるからこそエロいんですか。
「はい、されるのが好き。歯医者さんで寝かされて処置されるとか、美容院でシャンプーされるとか、そういうのも凄く好き」
── え? えっと、これちょっと面白い方向にきたというか(笑)、なんか凄い話ですね。されるのが好き。
「そうなんです。あまりそういった機会はないですけど、例えばホテルに誘われたとして、その人のことを良いなと思っていても、まずは断ります。その上で『部屋は取ってある、もうキャンセルはできないよ』みたいにちょっと強引に誘われたい(笑)」
── 強く言われて落ちる感じが好きなんですか。
「はい、自分が合意した感じとかが嫌なんです」
── えええ〜〜! そうなんですか。なんでなんですか?
「女性の、性に対する本質ってそこなんじゃないんですか? 少なくとも私はそう。恥じらいがあるというか、ちょっとやられてる感があるのがセクシーだと思うんです」
── いや、本当に、性にはグラデーションがあるので、皆さんそれぞれではありますが、同意する人もたくさんいると思います。
告白は「俺の女になれ」でした
「高校を卒業してからアメリカの大学に4年間留学したんですけど、そこで韓国人の彼氏ができました」
── あ、よかった〜。どうやってお付き合いすることになったんですか。
「向こうから告白してくれて」
── それは彼が付き合ってくださいって言うんですか。
「俺と付き合え的な? 俺の女になれ、みたいな感じです(笑)」
── 彩芽さんの好きな、ちょっと強引な誘い方ですね(笑)。でも告白文化ってアメリカとかにはないって聞きますけど。
「アメリカ人にはないですね。でも韓国人にはあります。ちゃんと男から言うっていうのが強いです」
── やっぱり韓国の人にはあるんだ! 告白文化って、中国人と韓国人と日本人だけって聞いたんですよね。他の国はなんか、並行していろんなデーティング期間があって、その中からいつの間にかステディな関係になるって。
「それは本当ですね。何回もお茶とかしてたら、もう付き合ってると勘違いされてるってことがあります」
── あ、そういうこともあるんですか。
「ありますよ、めっちゃ。言わなきゃわからないと思うんですけどね」
── セックスまでいってなくても?
「そう、いってなくても」
── そっちのケースもあるのか。ちょっと意外です。で、その彼と付き合って、よかったですか。
「よかったです。その人が今までの人生で一番よかった彼ですし、かつ、アメリカにいた4年間はその人と別れた後も、好きな人はいつも韓国人でした」
── へえ〜。韓国人男性はやっぱり優しいんですか。
「優しいですね。でも、ただ優しくてレディファーストというのではなく、リーダーシップを取る感じ。結局は守ってくれそうといいますか」
── それってモラハラっぽくなったりはしないんですか。
「そういう感じじゃないですね。でも束縛はちょっと強いかな」
── じゃあ基本的には優しいんですね。あの、痛くてできない問題は解決できたんですか。
「やっぱり痛くて……。それでも一緒に住むようになって、何度も失敗し、最終的にできたって感じです」
「人によりますけど、だいたい痛くて。その人の次に付き合った人だけ、唯一気持ちいいって思えた人でした」
── ちなみに、女性の3割から4割がセックスを気持ちいいって思っていないらしいです。
「うん、本当だと思います。でもそれ、完全に前戯が雑なせいだと思うんですけど。まあ多分、相手が私の気持ちいいポイントを理解してないから、そう感じちゃうのかな。私も言わないし」
── 言わないんですね。まあ〜言わないですよね。
「なんとなく示しているつもりですけど、はっきりは言わないから相手も気付かないですよね」
「こんなになって悪い女だな」って言われると興奮しちゃうんです
「趣味嗜好に合ったことをしてくれたから……言葉攻めとか。私、Sっ気が強い人が好きなんです(笑)」
── ええ〜! そういうことだったんですか(笑)。ちなみに、それってどういうことを言うんですか。
「こんなになって悪い女だな、本当はずっとしたかったんだろう的な、そういう感じのがいい」
── ワハハ! 英語で言うから恥ずかしくなくなるんでしょうか。
「そうですね! しかもふたりとも第二外国語だから(笑)」
── 本当にセックスっていろいろだ。その彼が唯一ってことはその後もあんまり?
「はい。帰国してからはヘルスケア関係の会社に入社して、海外担当になったんです。その縁でスイスの支社にいたポルトガル人の彼ができましたけど、またその人が前戯がほぼない、ドラマのないセックスをする人で。痛いし、セックスが苦痛になってしまって別れました」
── やっぱりセックスが原因で冷めちゃうんですね。
「はい、恋愛自体は楽しかったんですけどね、ポルトガルにも行きましたし。性の不一致だけが原因でした」
── 付き合った彼には、「私はこういう性的嗜好だ」って言う機会が早いうちにあった方がいいですね。
「言わないとわからないですもんね。一緒にAVとかを観てみたらいいのかな。それでお互いの趣味嗜好とかを話して、それでわかるかもしれないし」
── あ〜、いいかもしれませんね。この感じがいい、私、あれやってみたいとか言って。
「そう! それ! まだしたことはないけど、そういう方が自然じゃないかなって思います」
“阿吽の呼吸”で通じ合える人と添い遂げたい
「今はそうですね。これから付き合う人や結婚する人は日本の人がいいと思ってます」
── やっぱりそうなんだ。国際結婚って凄く難しいと思うんですよ。国際恋愛や結婚についてはどう思いますか。
「恋愛についてはいいんですけど、結婚は、私には覚悟がないですね」
── 恋愛はいいんですね。
「それも、経験としていいかなってくらいです。本当に添い遂げるには、阿吽の呼吸とかで分かり合える人がいいなって思うので」
── でも韓国は同じアジア人の顔だし、感覚的にも近いですよね。
「近いんですけど、男女の距離感の考え方とかが全然違うなって思います。ただの友達だとしても、凄くイチャイチャするんですよ、彼らは」
── あ〜! してますね。
「同棲していた時にも、彼の女友達が、美味しいレシピを知ってるからって普通に家に来るんです。なんとも言えない気持ちになりますよ」
── それは戸惑うか〜。同性同士だけじゃなく、男女の友達も仲がいいんですね。
「そうなんです。日本人の女の子はそういう感覚に慣れてないので、友達としてのイチャイチャを『私のこと好きなのかな』って勘違いしてしまうこともよくあります」
── なるほど。世の中の国際恋愛している人たちはどうなんですかね、我慢してる?
「私が思うのは、たぶん、はっきりさせたい人たちがうまくいってるんじゃないですか。全部話し合ってる」
── 言い合ってますよね、よく喧嘩してるし。じゃあ国際恋愛をうまくいかせるには、喧嘩も含め、ちゃんと言い合わないといけない?
「はい、エネルギーをちゃんと使える人じゃないと難しいと思います。私は疲れちゃう。喧嘩してる時だけじゃなくて、普通の時のテンションとか、言葉の温度感とかが完全にはわからないから。どんな意味で言ってんのかなって考えちゃうんですよ」
── いちいち聞かなきゃいけないわけですよね。「それどんな意味で言ってるの?」って。それは疲れますよね。
「疲れる。恋愛には安らぎというか、そういう細かい部分で疲れないっていうのが必要なんです」
強さがあって単純な人が好きです
「単細胞な感じに惹かれます。優しそうとかはあんまり求めないです。どちらかというと強さがあって単純な人」
── あ〜、インテリで難しいこと言わない感じの人?
「そうですそうです。なんとかコンサルとかは苦手。理屈っぽそうで、意識高くて話をこねくり回しそうな人は嫌だ〜」
── わ〜、なんでそういう男性が嫌なんですか。
「前職がITで、周りにそういう人が多かったんですよね。それでこいつら全員嫌いだって思った(笑)」
── え、そういう男性が素敵、尊敬できるって思う女性はすごく多いですよね。男性にそういうの求めてない?
「求めてません。もうちょっと野性的なものを求めているというか」
── グラフとか書いて、難しいこと話して、とかは嫌なんですか。
「嫌ですね。マスターベーションでしょう、あんなの」
── え〜(笑)。女子はみんなそれが好きって思うわけじゃないんですね。
「そういうのが好きって気持ちもわかるんですけど、私は身体的に守ってくれそうな、本能的に男っぽさがある人がいいです」
── なるほど、じゃあちょっとオラオラしてもいいんだ。ルックスは気にしないですか。
「あまり。好きだったらカッコいいって思うから。むしろ見た目を気にしてない人の方がいいです。不潔じゃなければいいかな。見た目の綺麗さは女性に譲って欲しいので、男の人はあまりそこで勝負しないで欲しい」
── 徹底してるな〜。あの、ないとは思いますけど、浮気ってしたりしますか?
「浮気はまったくしないですね。食事には行きますけど」
── あのですね、食事に誘う男性は、ちょっとは期待をしているんです。そういう人に誘われたら?
「キッパリ断ります。彼氏じゃなくても好きな人がいたら断ります。好きな人に抱かれる時までに、ちゃんと自分の体をきれいにしておきたいから」
── そういう感覚か〜。
「その辺のロイヤリティは強いですね。好きな人としかしたくないし、その人に骨の髄まで抱かれたい」
── 大和撫子だ〜。いや〜勉強になりました。ありがとうございました!
【林さんから〆のひと言】
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間 / 月~土 19:00~24:00
定休日 / 日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。最新刊「なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか」(旭屋出版)は、林さんが「このお店はすごい! 」と感じた飲食店のオーナーに自らインタビュー取材。繁盛店の秘密に迫ったドラマティックなビジネス書です。