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2019.07.19

【第16回】

宮崎あおい似の美人出張マッサージ師「万が一の時は死んでもいいから窓から飛び降りて逃げようと」

美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか?「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠されたプライベートに迫ってみる連載です。

CREDIT :

構成/木村千鶴

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「ワイングラスのむこう側」(cakes)でおなじみ、奥渋谷のバー「BAR BOSSA(バール・ボッサ)」のマスターにして、作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術でさまざまな職業の美人さんのプライベート(主に恋愛関係)に迫るこの連載(これまでの美人さんはこちら)、16回目のゲストは出張マッサージ師のあおいさん(仮名)です。

出張マッサージというと、何かと性的なイメージで語られたりもしますが、本当のところどうなんでしょう? 単純にもの凄く体が疲れた時って、マッサージサロンに出かけるのもおっくうだし、呼んで来てくれたら申し分ないですよね。上手いのはもちろんのこと、さらにそのマッサージ師が美人だったら……。もちろん、僕はヨコシマな考えなんてないですけど(笑)、世間の皆さんはどうなんでしょう?

大学は1年でやめて、そこからマッサージ一本です

── こんなに可愛らしいお嬢さんがマッサージの仕事をしているんですね~。宮崎あおいさんに似ているので、今日はあおいさんでいきましょう。この仕事に就こうと思ったきっかけって何ですか。

「大学生の時のバイトです。興味のある仕事はとりあえずやってみたくて、色んなバイトを巡っていて」

── それは就活とかを視野に入れて?

「そういうのじゃないんですけど、大学生になると部活とか勉強とか頑張らなくてもいいですよね、もう。この空いた時間に何でもできるなぁと思って、牛丼屋のバイトもしたし、コンビニもしたし」

── コンビニでバイトしてたらたくさん声かけられますよね? あおいさん、かわいいし(笑)。

「ありましたねえ、あれはびっくりした(笑)」

── で、なぜマッサージに?

「リラクゼーション(マッサージ)もそんなアルバイトのひとつだったんですよ。私は飽き性で、バイトしても1日とか、長く持って2か月で辞めちゃったんですけど、リラクゼーションだけはまったく飽きなくて、ただひとつ、ず~っと続けられるのもだったんです」

── リラクゼーションってどんなことするんですか?

「最初はお客様のもみほぐしでした」

── いきなりもみほぐしを? それは何か指導が入るんですか?

「もちろん最初に指導してもらいますよ。いろんな人と会って会話できて、もみほぐして、ありがとうって言われる。何この幸せな仕事!って思いました」

── ほう、それが幸せだったんだ。

「はい、この仕事いいなって。夢がなくて、大学もとりあえずで経済学部に入ったんですけど、とりあえずなんで面白くなかったんですよね。それで大学は1回生の秋でやめて、そこからもう、マッサージ1本にしました」

── え! 大学やめちゃったんですね。それはまた思い切ったことを。親は反対したでしょう。

「それが親はとっても寛大で(笑)。やりたいことが見つかったんならどんどんやればって言ってくれて。とても感謝しています」
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オッサンの武勇伝は大好物です

── バイトの時には時給制? それとも1回いくらとか?

「えっと、基本給があって、プラス指名料ですね」

── 指名料! それはキャバクラみたいに写真とかで選ばれるんですか?(笑)

「いえ、1回目以降のお客様が指名してくれると、です。顔で選ぶとかじゃないですよ、きっと(笑)」

── でも、あおいさんが良かったな~って指名してくれる人は多かった?

「そうですね、指名でナンバーワンになったんですよ、ウフフ」

── だろうなあ~! 相手はオッサンとかもいるわけですよね? いや、オッサンばかり?

「オッサンと、オバチャンですね」

── オッサンはイヤじゃないですか?

「いや、オッサン好きですよ、私。オッサンの語る武勇伝とか嫌いって人もいますけど、私は凄く好きで」

── おっ! それはどうしてですか?

「もちろん、皆さんだいぶ盛ってお話されますけど(笑)、実際に凄い事をされてるから自信があるわけで。聞いてもらえる場ってあってもいいと思いますよ。凄いからこそ武勇伝があるんで、こちらの視野も広がります」

── え~! これ女子も読んでると思うんで。女子たち、あおいさんの話聞いとけ~(笑)!

「ワハハ!」

── そういう男性の自慢話って好きなんですか?

「はい、女子に嫌われる場合は、大概言い方の問題ですね、。あまり自信満々に言ってしまうと、何コイツって思われるんでしょうけど、ワードだけ聞けばシンプルに凄いことしてるんだなと」

── そりゃ、オッサンからすると喜んで聞いてもらえるんだから、うれしいし、どんどん指名しますよね。これ、私が聞いてあげるのがいいんだなって途中で気づきました?

「聞いてあげてるというより、私もいいこと聞けるし、プラスだし、お客さんも楽しそうに話されるし、基本的にどっちもプラスになれる関係ならいいなって思いますね」
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人の身体に触れながらおしゃべりできる時間って、至福です

── 学生の時にリラクゼーションにハマったっていうのは、施術にですか? それとも人と接する事とか含めた流れ?

「私、人が好きなんですね。それと人に触れながら話をすることに、かな。ふれあいって大事だと思うんですよ。恋愛的なものじゃなく、単純に背中や肩や足に触れるのは相手も心地いいと思いますし、この感じいいなって。しゃべりながら心地よさも与えられて、これいいなって」

── そうか~、みんなが喜んでくれてるのを見て、これ仕事にしようと。それで東京に来たんですか。

「いえ、まずは京都でサロンをオープンしたんです」

── え~! その若さで自分のサロンを?

「はい、23歳の時に。バイトから社員になって、独立のためにまずはお金を貯めました」

── お金が溜まるくらい指名が凄かったんですね?

「それもですが、私、節約術が凄いんですよ(笑)。光熱費はガス電気水道合わせて1万円以内で抑えて家賃は3万円で、トータル月5万円以内の生活で暮らしていて」

── 実家出て、ひとり暮らしでひと月5万円の生活してたんですか!?

「はい(笑)。フフフ」

── え~っ! こんなにかわいい女の子が。服とか買わなかったんですか?

「物欲ないんです」

── どうして独立したかったんですか? 雇われてるのは面白くない?

「自分の思うようにやりたかったんです。人から教わったことをやるのとはまた別のおもしろさがあるでしょ。やったことないことをやるのが好きなんですよ。それが型にハマったらいいし、ハマらなかったらそれでもいいし。まずはやってみたい」

── あ~、それはわかります。辞める時って、店長さんは反対しませんでした?

「独立することは事前に伝えていて、そしたら『あおいちゃんならできるよ』って。いつもエールを送ってくれるんですよ」

── 店長いい人ですね。なんか泣けます。

「めっちゃいい人です。今でもよく会います」
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エロいマッサージしてるって誤解されるのは心外ですね

── それから東京に出てきて。どうですか?

「東京ではスタイルを変えました。東京だったらサロンよりも出張マッサージの方が需要あるんじゃないかなって思って。今はお客様の自宅とか、泊まっているホテルに行って施術しています」

── 怖くないですか? 相手は男の人もいますよね?

「はい、ネットで顔出ししてやってるので、ちょっと名前が上がってくると叩かれることがあるんですね。以前『この女の子はエロいマッサージしてるよ』とかの書き込みもあって……。『どこまでやってくれるの?』なんて変な問い合わせも多かったですね」

── ですよね。

「ただただ吐息だけって電話もありましたね。これ聞いといた方がいいのかな?って思って全部聞いてみたけど、とりあえず(笑)」

── え~(笑)。

「それで電話予約をやめて、身分証事前提示と、メニュー料金の事前振り込みでネット予約という方法に変えました」

── それは犯罪とかセクハラの抑止になりそう。でもそうするとハードルが上がって予約する人は減りますよね?

「減ったんですけど、経営が出来なくなるほどは減りませんでした。顔出しの強みで、この子がやってくれるという安心感があるのかもしれません」

── あ~なるほど! 呼ぶ方だって誰が来るのかわからなければ怖いですもんね。でもまあ、ある意味アイドルにやってもらう感じもあるかな(笑)。

「それも狙いですね。“こんな若い子がやってくれるんだ~”っていう。一時期他の同業者から『若いだけで上手くないんでしょ』って言われたこともあったので、それは悔しかったですね。だから勉強もたくさんしました。今は自信をもって施術できている自覚があります」

── じゃあそれ以上変なこと言ってくる客はいない?

「言われないように意識してやってます。でも、意識的にエロさを出してない子も、周りからみたら出てるよって子もいるわけで。それって気づいてないといけないなって。女一人で行くんでね、そういうところは意識しています」

── 凄いな。でも万が一のシュミレーションはしていますか?

「とりあえず死んでもいいから窓から飛び降りて逃げようって。毎回、窓とドアの位置関係は確認してますね(笑)。でも、本当に万が一。お客様のことを信頼してますから」
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何事も私自身が楽しむことを大切にしています

── ちょっとプライベートなことを聞きますが、マッサージ師さんって相手の気持ち良さがわかるからエッチの時にうまいって、僕調べではあるんですが(笑)。いかがですか?

「どうなんでしょう(笑)。したいと思ったことはするし、その時々を楽しんでます。思いついたいたずらをするとか(笑)。決め事とかパターンとかはあまりないですね」

── あおいさんは自然体ですね。フレキシブルな方が施術もエッチも楽しいかな。

「事前にかためると私が楽しめないから。生き方として、私が楽しむことを大切にしています」

── 女の子たち、きっとそういう風に生きた方が楽しいんじゃないかな。コンプレックスってありますか?

「もちろん! コンプレックスがないなんてない人いないんじゃないですか?」

── そうかもしれませんね。自分に娘が出来たら、美人に生まれてほしいと思いますか?

「いえ、特には思わないですね。自分の好きなように生きろ、そしたら思ったような顔になる、って思います」

── うん、とってもあおいさんらしいわ。
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そんな、あおいさんをワインに例えると

パレ・ドール
ボルドーの貴腐ワインですね。食事が終わった後のデザートワインです。はちみつみたいな香りがして、甘くて、でも気品があって。あおいさんのイメージに合うかなって思いました。

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■ Bar bossa

住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
TEL/03-5458-4185
営業時間/18:00~24:00
定休日/日、祝

● 林 伸次
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷にbar bossaをオープンする。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSをオープン。選曲CD、CD ライナー執筆多数。「ワイングラスの向こう側」(cakes)で連載中。著書に『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)がある。

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