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2022.01.22

「俺は命を賭けてカッコつけてる」ラッパー AK-69の語る信念

日本のヒップホップ界を牽引する孤高のラッパーとして不動の地位を得るAK-69さん。ハードな音楽シーンにおいて連戦連勝をキープする秘策とは? 本人自らが語る「常にカッコ良くあり続ける」ための心構えは、すべての大人が持つべきエッセンスです。

CREDIT :

文/長谷川 剛 写真/福本和洋 撮影協力/ヒルトン東京お台場

マイクを握って25年、日本のヒップホップシーンを独走するAK-69さん。ファイティングスピリット溢れる独自のラップ・スタイルは、ファンのみならずトップアスリートからも広くリスペクトされており、格闘技、野球、ラグビー等の選手たちの“勝負曲”として、その楽曲が多数フィーチャーされるほど。

音楽業界の中でも特にハードな面々がしのぎを削るそのシーンにおいて、常に連戦連勝を維持する強さの秘訣を伺いました。

メッセージを伝えたいという、ブレない信念

── AK-69さんの歌からは「諦めない心」や「克服する強さ」のようなものを感じますが、その源はなんですか?

AK-69 「俺には歌しかない」っていう想いを胸に抱いて、ずっと磨き続けてきたからだと思います。俺よりもセンスのある人、歌の上手いラッパーはたくさんいますが、想いの強さだけは胸を張って言えます。

── それはどのように培われたのでしょうか。

AK-69 なんだろう? 「人に何かを伝えたい」って想いは、中学生の頃にギターで歌を作っていた時にもあったと思うけど、今のものとは種類もレベルもまったく違います。

やっぱり、19歳の時に自分の作った音楽が人に伝わっていくのを初めて感じて、人にメッセージを放てる仕事だと自覚していくうちに、人間的に成長させてもらったと思います。ファンに支えられていることを強く感じることで、行いも自然に変わったし、自らの発信に対する責任も意識するようになりました。
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自分の経験した挑戦や悔しい思いを歌っているからこそ、心に響く

── AK-69さんはこれまでさまざまなメッセージを発してきていますが、もっとも大切にしているテーマは何でしょうか。

AK-69 コアとなる部分では逆境に立ち向かう人たち、何かと戦ってる人たちに響くメッセージを意識しています。でも、特定の人への応援歌を作ろうなんてことは一切考えていません。個人的な意見ですけど、俺、浅はかな応援歌ってめっちゃ嫌いなんです(笑)。「頑張れ~」とか、そんなんで頑張れたら世話ねぇって。

俺はこれまで生きてきた中で経験した悔しい思い、困難への恐れやそれに立ち向かっていく勇気とか、自身の経験をただただ歌っているだけ。でも、僭越ながら俺の歌は、肉体的にも精神的にも挑戦を続けるアスリートたちにも支持されてる。それは、俺の歌の根底にリアルな経験があるからこそだと信じています。

誰しも、調子のいい時に頑張れるのは当たり前。皆から「こいつはダメだ」と思われている苦しい時に這い上がるのって、本当に怖いし苦しい。努力しても報われないことだって多い。俺自身が逆境に立ち向かい続けるからこそ、聞く人が共鳴してくれるんだと思います。

── AK-69さんは、昨年にはコロナ禍でも名古屋城を背にした配信ライブを、そして今年は鈴鹿サーキットをステージにした史上初の配信ライブ「THE RACE in SUZUKA CIRCUIT」を年明け早々に公開されました。AK-69さんの活動を見ていくと“逆境への挑戦”という言葉がしっくりきます。

AK-69 だとすると、すごくうれしいですね。
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歌をやっている人間として、男として、命がけでカッコつけたい

── 精神力もさることながら、そんな自分を支える体力も必要そうですね。

AK-69 まったくそのとおりです。全力のステージを理想的に続けるには、何より体力がものを言います。だから身体のメンテナンスはかなり気を付けています。特にトレーニングは、ボクシング4階級王者の井岡一翔選手やラグビー日本代表の稲垣啓太選手、RIZINバンタム級王者の堀口恭司選手らトップアスリートが所属するHALEO TOP TEAMというチームに俺もアーティストながら所属していて、彼らと同じメニューをこなしています。

その中で最近取り入れたのは、毛細血管を活性化させるランニング。毛細血管は体内に無数にあるので、活性化させるほど酸素の供給量が高まって、スタミナも上がるしパフォーマンスが上がるんです。しかも難しいことはなくて、1キロを6分半くらいでいくつかの事を意識して走るだけ。あえて速く走らないんです。これはトレーニングのための下準備のようなものですが、効果を実感できます。

それから、本を書けるくらい食にも気を遣っています(笑)。食材や栄養素の摂取に関して、日々アップデートされるルールを設けています。だから40歳を超えた今が、一番動けています(笑)。
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── まさにアスリート並みに管理をしているのですね。

AK-69 中身も生き方も、歌をやってる人間として、そして男として、カッコ悪いのはめっちゃ嫌いなんですよ。カッコつけたがりなので、もう命賭けてでもカッコつけたい(笑)。

パフォーマンス以外にも、自分が立ち上げた会社が失速していく、なんてのは見過ごせない。業績を立て直すのは難しいけど、でも、それができたらめちゃくちゃカッコいい。そういうことこそやる意味があると思うんです。

大人になると、カッコ悪くなることに慣れたり正当化したりする人も多いけど、自分はその道を進みません。逃げずに正面から突破し続けるんです。

── それがAK-69さんの成功の理由ですか。

AK-69 そこにどんなロジックがあるか、正直なところ自分にもわかりません。でも俺が誰よりも、カッコつけることに力を使ってきたのは事実。それが言霊になって人々に響いているからずっとやれているんだろうとは思います。

表面的・ファッション的なカッコ良さには、時代を超越する力はありません。でも、人の心にズドンと刺さるものは残り続ける。もし俺が今死んだとしたら、俺の歌は残っていくと思うし、戦う人のアンセムになり続けていくと思う。それだけ俺は、自分のやっていることに命を賭けているんです。
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自分自身に恥じない生き方こそカッコいい

▲ 「ひとつの道を極める活動を続ける自分にとって、メーカーが威信をかけて作ったスーパーカーには非常に共感する部分があります。最近購入したのが、フェラーリ ローマ。英国車風とでも呼ぶべきエレガンスと現代的なラグジュアリーが組み合わされて、次世代的な完成度を感じます」(AK-69さん)
AK-69 でもね、カッコつけるのってタダじゃないですよ。それはもちろん、お金をかけて身なりを整えればいい、というわけじゃない。大してカッコよくない稼ぎ方をして高いものを身に着けたって、そういうファッション的なもので箔が付いたら世話ない。

俺はクルマも時計も好きだけど、それは自分に箔を付けるものじゃないです。カッコよさは、自分の内から出るもの。自分への自信がすべてだと思います。

やっぱり、自分のことを一番わかってるのは自分ですから。他人に対してごまかせても、「自分、あのピンチの時に逃げたな」って絶対に思いたくないっていうのが一番大きいです。

── 自分の内面にあるものが自ずと外に現れてくると。

AK-69 もちろん、俺にもプライベートでは甘いところもありますよ。でも、自分が賭けてるものに対して妥協するのはカッコいいわけがない。そうですよね。

── 最後に、そんなAK-69さんの強さの秘訣を教えて下さい。

AK-69 俺も本当は人一倍臆病だし、悩むことも多い人間です。だからこそ、そのウイークポイントをすべて潰していこうと奮い立つわけです。問題をひとつずつ考えて対策を講じ、乗り越えていく。そしてできることはすべてやり尽くす。行動も起こさずにビビッている姿が一番カッコ悪いですから。

結果として刀を抜かなかったとしても、いつでも切れる刀を用意しておいて、鞘からバーンと抜けるようにしておく。俺のやっていることは、すべてその心構えにつながっているんです。

● AK-69(エーケーシックスティナイン)

1978年、愛知県生まれ。10代の頃にHIPHOPに出会い、マイクを握る。数々の受賞を経て2016年に伝説の米国レーベル「Def Jam Recordings」と契約。NYでもライブを行い、4度の武道館公演でも満員を動員し、4月23日には5度目の日本武道館の開催を発表。本邦においてHIPHOPドリームを体現した数少ないアーティスト。
https://ak-69.jp/

【5度目の日本武道館ライブ開催】

AK-69「START IT AGAIN in BUDOKAN」

日にち/2022年4月23日(土)
時間/18:00開演予定
場所/東京都千代田区北の丸公園2-3
先行チケット受付中/https://ak-69.jp/ticket/StartItAgaininBudokan/

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