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2018.10.08

プロ伝授! ライカ、カールツァイスの旧レンズをデジタルで活用する方法

高解像度の精密描写が、写真のすべてではない。柔らかな描写で捉えるのに、いまオールドレンズが注目を浴びています。公私にわたってオールドレンズを活用しているフォトグラファー岡村昌宏氏に、その魅力を伺いました!

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取材・文/南陽一浩 写真/静物・安達紗希子(CROSSOVER) 協力/ACTUS

銘玉と評価は高いものの、ライカやカール・ツァイスの古いレンズといえば、銀座のライカおじさんのような限られたマニアが汲々とウンチクを求めてイジるもの、そんなイメージだった。ところがいまや、そうしたオールドレンズを最新のデジカメに組み合わせられるアダプターマウントが多数出てきたこともあり、カメラの楽しみ方の幅が広がってきたといえよう。

撮りたいモノに対してカメラやレンズを選ぶ“適在・適機材”の時代

フォトグラファー岡村昌宏氏は、ソニー製ミラーレス一眼「α7S II」に、ライカ社製の旧ズミクロンレンズを装着して使用することも。
旅やクルマ、ジュエリーや時計、化粧品といった静物、ポートレートなど、雑誌や広告の撮影で、幅広いジャンルを手がけるフォトグラファーの岡村昌宏さん。ふだんはニコンの一眼レフや「Phase one」などをメインに使っているが、被写体や依頼に応じてオールドレンズを使うこともあるという。そんなウワサを聞いて、近頃のオールドレンズの遊び方を尋ねてみた。
一眼レフに代わるであろう存在として、今年、ソニーを追随してニコンやキヤノンもフルサイズのイメージセンサーを搭載したミラーレスカメラをいよいよ発表したが、オールドレンズに関しても、世界で初めて35mmフルサイズイメージセンサーを搭載したソニーのミラーレス一眼「α7」がキーになったカメラといえる。

「いまはデジタルカメラも多様化が進んで、撮りたいモノに対してカメラやレンズを選ぶという、“適在・適機材”の時代になってきたと思います。僕は元々、サラリーマンを数年経験した後にカメラマン修行を始めたということもあり、元より好きでやっている写真、というスタンスなんですけど、趣味としても仕事としてやっていくにも楽しい状況ですよ!」(岡村さん、以下同)

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デジタルへの転換期に出会ったソニー「α7」

ライカ「M7」とソニー「α7」の
意外な互換性を発見!

今年50歳になる岡村さんは元々、ライカの「M7」と「M6 TTL」も多用してきた。
「35歳のタイミングで、50歳まで長く作品撮りに使えるカメラが欲しいと思った時、ライカしかないだろうと思い、『M7』を購入したんです。でもここ15年で、フィルムからデジタルへ急激に転換が進みましたよね。そんな時、パリ在住の知り合いのカメラマンが、ソニーの『α7』にライカのレンズを着けて使っているのを見たんですよ。はじめは興味なかったんですけど、自分でも使い始めたらすごく良かったですね」
ライカ社製「M7」(左)とソニー製「α7S II」(右)。偶然にも、筐体や重量感も似ていた。
いまではソニーの「α7 II」と「α7S II」をよくオールドレンズと組み合わせて使っている岡村さんだが、何が良かったかといえば、まず手の中でのサイズ感。角張ってゴロリとした重量感が、ライカに似ていたという。加えてソニー純正レンズだけでなく、ライカのMマウントやツァイスのレンズを装着できる変換アダプターが充実していたことだ。
TECHART TA-GA3マウントを使えば、CONTAX G-MountのツァイスレンズでAF撮影が可能に。
ソニーのEマウント用には、ライカのMマウントをはじめ、ニコン、キヤノンを含む多くの変換マウントアダプターが販売されている。
レンジファインダーのカメラ全般にいえるが、ライカの弱点は、構造上、近接撮影ができない。

「本当の話かは分かりませんが、森山大道さんは、ライカを買ったけどあまり寄れないから一日で手放したという話を聞いたことも。ところが最近のライカMマウント用変換アダプターの中には、レンズを繰り出す機能がついていて、ある程度接写もできる。本家の弱点をカバーしてくれるほど、気が利いているんです」

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旧レンズは加工なしで個性を表現できる

フレアやハレーションも旧レンズの個性

では、オールドレンズの仕上がり面における特徴を端的に言うと?

「今のレンズと違って、表面にコーティングがなされていないレンズや、コーティングがしてあっても、現在当たり前のマルチコートではないシングルコートのレンズなどでは、デジタル時代のレンズに比べて、彩度やコントラストが弱く、柔らかさを感じる写りになるレンズも多いと思います」
いわば、加工なしの状態でも際立つ個性、それがオールドレンズの特徴だ。逆光でフレアやハレーションが出やすいなど、周辺光量が十分でなくて四隅がやや暗くなるといった傾向は時にあっても、それを補って余りある魅力がオールドレンズにはあるという。
(左) 沈胴式旧ズミクロン50mm/F2、(右) ズミクロンM 50mm/F2
次の作例は、50年ほど前の旧いズミクロン50mm/F2と、15年前の同じくズミクロン50mm/F2という、ライカの時代の異なる標準レンズで女性を撮り比べてみたもの。それぞれ、どちらのレンズで撮られた写真か、お分かりになるだろうか?

A.

B.

答えは、次ページへ。

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柔らかい情感を写し出す、旧レンズの実力

【答え】

A. 旧ズミクロン B. 新ズミクロン
晴天下の半逆光で、絞り値はどちらもあえて開放値F2で撮影された。Aの旧レンズでは白っぽいハレーションが生じたものの、楕円形のボケまで含め幻想的な雰囲気。
 
Bの新のほうは、髪の毛や肌の色、服の素材感まで忠実に再現しつつも、柔らかいトーンで仕上がっている。いずれも女性ポートレートとして“アリ”な写り方だ。

仕事でもさり気なくオールドレンズを活用

さらに、もう1枚の作例をご紹介。ズミクロン50㎜/F2を着けた「α7Ⅱ」で撮影されたこちらの写真も、どことなくやさしい空気に満ちているのがお分かりいただけるのではないか。
雑誌『Pen』2018年1/1・15合併号(CCCメディアハウス刊)
ACTUS/アイラーセンより。 カメラ : Sony α7s II レンズ: Leica Summicron-M f2/50mm  写真/岡村昌宏
「スタジオでソファの撮影をした時ですが、クライアントさんから求められている雰囲気の柔らかさとか、寛ぎのある空気感は、おそらくこっちじゃない?というのがあって」

自然光で、あえてライカのレンズと『α7』の組み合わせを選んだという。
 
「クライアントさんも担当編集の方にもとても喜んでいただけたので、提案して良かったと思いました」
ある意味、最新のレンズにありがちな、解像度も十分で、色のりが良くコントラストもしっかりとしていて、等倍クローズアップして細かなところまで写っていることに満足するような楽しみ方とは真逆。
「スペックや解像度重視の人にとっては、オールドレンズの描写は“ねむい”と感じられるかもしれません。設計自体が旧いですし、いまのデジタルカメラの性能によって露わになる欠点もあります」
いまどきの精密描写で表現するのも、ふわっとした描写で捉えて、その情感を伝えるのも人それぞれだが、「写真を観る人にどう届けるかが大切。撮影の手段はどちらか一方のみではなく、写真ごとの価値観次第だと思うんです。写真表現の幅を広げてくれた意味でも、オールドレンズが気軽に楽しめるようになったのは、個人的にはとてもうれしいことですね」

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岡村さんのライフワーク・香港スナップ

オールドレンズが捉える、変わりゆく香港

岡村さんはライフワークとして、長年香港を撮り続けている。1997年7月1日の中国返還のタイミングに足を運んだことがきっかけで、以来20年以上、毎年欠かさず7月1日には香港を訪れて、定点観測的に写真撮り続けている。
 
同じ場所で同じ店を守り続けている人々もいれば、変わりゆく風景や建物、若い人たちの姿にも、その時々の想いに応じてレンズを向けるとか。最後に、ソニー「α7S II」とオールドレンズで捉えた作品をご紹介しよう。
大澳のカップル」 カメラ : Sony α7s II レンズ: Leica Summicron-M f2/50mm 
「香港島 摩天楼」 カメラ : Sony α7s II レンズ: Leica Elmarit-M f2.8/24mm
「Promenadeカップル」 カメラ : Sony α7s II レンズ: Leica Summicron-M f2/50mm 
「油麻地の市場」 カメラ : Sony α7 II レンズ: Leica Summicron-M f2/35mm 

岡村昌宏さん

大学を卒業後、政府系国際協力組織のコーディネーターの仕事を経て写真家に転身。現在は、スティル、ポートレート、クルマ、旅企画など、分野にとらわれることなく幅広く活動中。海外ロケ経験も豊富で訪れた国と地域は35ヶ国。現在は広告、雑誌等の撮影だけでなく、ムービーの撮影も手掛けている。

URL/http://www.crossover-inc.jp

写真・カメラの“現在進行形”に興味のある方は、コチラもどうぞ!

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