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2026.11.07

【第17回】

モラハラで自分を見失った美女は、どうやって立ち直ったのか?

生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか、大人の女性たちは何を求めているのかを、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林 伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で深掘りします。

BY :

文/木村千鶴
CREDIT :

取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTI CO) 編集/岸澤美希(Web LEON)

生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在、恋愛も結婚もしなくたっていいこの時代に、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか。大人の女性たちは何を求めているのか。


本連載「林 伸次のLove la Bossa」では、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林 伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で大人の女性の本音を深掘りします。第17回のゲストはまなみさん(36歳)です。

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一時期は男性を信じられませんでした

── ようこそいらっしゃいました、林です。よろしくお願いします。


「こんにちは! 今日はよろしくお願いします」


── ここではニックネームで会話をしていくことになっているのですが、え〜っと、そうだ、本上まなみさんに似ていると言われたことはありませんか?


「えっ、似てますか? うれしいです」


── では今日は、まなみさんと呼ばせていただきます。まなみさんにはご兄妹などはいらっしゃいますか。


「弟がいます」


── そうか、話しやすい感じがするのはそのせいかな。

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「それなら良かったです。今は全然大丈夫ですが、一時期は隣に男の子がいることすら怖ったんですよ。元々引っ込み思案な性格でしたが、子供の頃に被災したショックも、どこかその後の人間関係に影響しているのかなと思います」


── そんなことがあったんですね。お家や家族の方は大丈夫でしたか。


「家が半壊してしまって、子供ながらにショックだったんだと思います。何年かしたら何でもなくなりましたが。ですがその後、恋愛によって男性を信じられなくなっていたこともあります」


── そのお話、伺っても良いでしょうか。

「ブス」や「バカ」と貶し続けてきた元カレ

「はい、初めて彼氏ができたのが高1で、そこから4年間ほど付き合いましたが、彼は束縛が激しい人でした。


加えて『ブス』とか『バカ』とか貶してくるんです。高校卒業後は、私は美容系の専門学校に進学し、彼は大学へ。付き合いが長くなっていくうちにデートも適当に、態度もそっけなくなっていきました」

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── ええっ、こんなに美人さんなのに!? 最初にとんでもない人と付き合っちゃったんですね。それは辛いなあ。その彼は見た目がカッコよかったんですか。


「どうだろう、オラオラ系かな。言われるがままに付き合ったような部分もあります。今思い出しても、そんなにいい思い出はありません。


本来、私は意見をはっきり言える方なんですが、高校生の時には貶され続けて何も言えない人になっていました。言いなりのようになってしまっていたので、周りからも『その関係はおかしいよ』って言われていたんですけど、抜け出せなかったんです」


── そんなことを思いながら高校生活を送っていたなんて、本当に可哀想だ。それは暴力と一緒です。どうやって関係を終わらせたんですか。

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別れるきっかけになれば理由は何でも良かった

「クリスマスに浮気が発覚したんです。私にはバイトがあるといって、実際は他の女の子とクリスマスを過ごしていたそうで。そのことを教えてくれたのは当時の親友でした。『あなたの彼、私の友達とクリスマスを一緒に過ごしていたよ』って」


── ええっ、そうやって浮気が発覚することって本当にあるんだ。


「その話を聞いて私が別れようとしたら、親友からは『私があなたに伝えたことがバレると私の立場が悪くなるから、事実を言わないで別れてほしい』と言われました。なんだかモヤモヤしましたが、彼女の顔を立てて、『もう冷めたから』とだけ伝えて別れました」


── なんだかその友達の言葉も引っかかる。まなみさんのことを本当に思ってくれているのかなぁ。

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「今考えるとめちゃくちゃ自己中ですよね。そのほかも無神経なところがあって、その彼女とは付き合いはなくなりました。


でもね、その頃の私は、とにかく彼と離れるきっかけが欲しかったんです。自分から離れられない気がしていたので、理由は浮気でもなんでも良かった」


── そうか、初めて付き合った人ですから、男性がどういう風に考えているのか、どう別れたらいいのかなんてわからないですよね。「これってもしかして私が悪いの?」なんて思っちゃうこともありそうだし、言い出しにくそう。


「うん、言い出せなかった。高校生なのに『恋愛楽しい!!』って感じじゃなかったし、『なんで私はこんなに虐げられているんだろう』って思っていました。今だったらおかしいって分かるのに、当時は分からなかった。


今、DVをされている人も『男性ってこういうものなんだ』って思い込んで、負のループから抜け出せなくなっているケースがあると思います。一種の洗脳に近いですよね」

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── そうか、洗脳されたような状態になって「別れたい」と言い出せなくなってしまう。今苦しい恋愛をしている人は、一度立ち止まって周囲の人に相談してみてほしいですね。その経験は、先の恋愛には影響しませんでしたか。

借りができてしまう気がして、男性には頼れませんでした

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「そこからは稼ぎたい一心で仕事に熱中しました。私はあまり経済的に豊かな環境で育っていないので、とにかく稼ぎたいという気持ちが強かったです。


医療系の道に進んで、営業成績もかなり良かったので、その頃に自信を取り戻せました。ただ、恋愛については、あの強烈な元カレの影響があってか、その頃に出会ったほとんどの男性が印象に残っていません」

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── え〜っ。まなみさんみたいに綺麗な女性って、きっとモテていろんな男性に出会っているはずです。でも印象に残っていないって、どうしてなんだろう。


「男性への不信感もありましたが、強がりがすごかったんです。例えば『車で迎えに行こうか』と言われても、借りができてしまう気がして頼れなかったんですね。要は、可愛げがないと言いますか。そんな私の対応が続くと、最初は『好き好き!』ってアタックしてきた相手も、次第に冷めていって」


── 何でそうなったか、ご自身で説明はつきますか。


「相手を信頼するのが怖かったんだと思います。向こうが私のことを本当に好きなのか、本音を言っているのかも分からないし、自分の本音もわからない。そんな感じで付き合ったり付き合わなかったりみたいな感じが多かったから」


── その頃に出会った人にときめきは感じなかったですか。

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「どうせ分かり合える人っていないんだろうなと思い込んでいたのかな。モラハラの彼で男性が嫌になったのもあるし、両親を見ていても上下関係があるように思えたのが嫌だったんです」


── お父さんは偉そうな感じの人なんですか。


「めちゃめちゃ偉そうでした(笑)。今はだいぶ変わりましたけど、自分が家庭内でも社会的にも強い時には威張っていた。人と人同士なのに男女で上下になるのが、私はすごく嫌だったんです。対等でありたかった」


── そうか、対等でいるために頼りたくなかった。今でもそうですか。


「いえ、転機があったんですよ。27歳だったかな、友人カップルに誘われて行ったゴルフで、知り合った人がいました。その人は無愛想だし、私が嫌いなタバコも吸っているし、おまけにゴルフが下手で。まあ私も下手なんですけどね(笑)。全然好みじゃなかった。だから、もうそれきり会うこともないだろうと思っていました」


── お! なんだか面白くなってきそうな予感! 続きは後編で聞かせて下さい。


後編に続く

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bar bossa(バール ボッサ) 林 伸次(はやし・しんじ)

■ bar bossa(バール ボッサ)

ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。

住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F

営業時間/月〜土 19:00〜24:00

定休日/日・祝

TEL/03-5458-4185


● 林 伸次(はやし・しんじ)


1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(‎幻冬舎)、『恋愛は時代遅れだというけれど、それでも今日も悩みはつきない』(Pヴァイン)、最新刊は『30歳になってもお互い独身だったら結婚しようか』(三笠書房)。

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