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  • 日本の常識はイタリアの非常識!? これだけはやっちゃダメ! なイタ飯のNG行為とは?

2026.05.29

【第47回】

日本の常識はイタリアの非常識!? これだけはやっちゃダメ! なイタ飯のNG行為とは?

イタリア生まれのフード&ライフスタイルライター、マッシさん。世界が急速に繋がって、広い視野が求められるこの時代に、日本人とはちょっと違う視点で日本と世界の食に関する文化や習慣、メニューなどについて考える連載です。

BY :

文/マッシ
CREDIT :

写真/スガイ マッシミリアーノ 編集/森本 泉(Web LEON)

「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」(note)でおなじみのマッシさんが今回お話してくれるのは、日本人があまり意識していないイタリア人にとっての「食」のNG行為についてです。意外なことがNGだったりするのですよ!

massi   マッシ 思考する食欲 イタリア料理

▲ ピエモンテ州ビエッラ周辺にあるチーズ工房の見学中のマッシ。

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日本人が良かれと思ってやったことで「地雷」を踏むことも!

イタリア人が食卓を囲む時、僕たちは常に素材への敬意を求めている。スパゲッティをスプーンの上で丸めない、パスタを切らない。そんな話はもう聞き飽きたかもしれない。だけど、イタリアの食卓という深淵には、日本人が良かれと思ってやっていることが、実は僕たちを失神させるほどのショックを与える「地雷」がまだいくつも埋まっている。


LEON読者のみなさんには、単なる知識ではなく、イタリア人の「魂」を理解したうえでの振る舞いを知ってほしい。今回は、既存の記事にも載っていない、かつ日本人が陥りがちな「意外すぎるNG」を深掘りしよう。

「とりあえず、お冷」は食卓の死を意味する

日本のレストランに入れば、席に着くやいなやキンキンに冷えたお冷が出てくる。だが、イタリアのリストランテで「とりあえず水をがぶ飲みする」のは、実はあまりスマートではない。


イタリア人にとって、食事は「消化」との戦いだ。食事の冒頭に大量の冷水を流し込む行為は、胃の温度を下げ、消化を妨げる「不健康な行為」と見なされる。何より、これから始まる料理の繊細な味を、無機質な水で薄めてしまうことが許せないのだ。

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▲ おつまみでも前菜でも、いつでも幸せになれる。食べ応えのあるブルスケッタ。

もし水を頼むなら、必ず「ガス入り(Frizzante)」か「ガスなし(Naturale)」を明確に伝え、料理に合わせてワインを楽しむ準備を整える。喉が渇いているなら、食卓に着く前に潤しておく。席に着いた瞬間から、舌は料理と対話するための準備を終えていなければならない。

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「追いオリーブオイル」という傲慢

日本には「追いオリーブオイル」という言葉がある。ピッツァやパスタに、卓上のオイルをたっぷりとかける姿をよく目にするが、これは時としてシェフに対する最大の侮辱になる。


イタリア人にとってオリーブオイルはただの油ではなく、ソースの一部であり調味料そのものだ。シェフは、そのひと皿に最適な産地の、最適な搾りたてのオイルを、計算し尽くした量でかけて提供している。


そこに、内容も鮮度もわからない卓上のオイルをドバドバとかけるのは、「あなたの味付けは未完成だ」と宣言しているようなものだ。もしどうしてもオイルが欲しいなら、「この料理に合うオイルを少しいただけますか?」と聞くのが正解だ。何も言わずに「追い」をするのは、イタリア人のプライドを深く傷つける行為だと覚えておいてほしい。

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▲ イタリア人に欠かせない液体はワインの次にオリーブオイルと言っても過言ではない。

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温かい飲み物で食事を締めない

日本人は食後に温かいお茶や白湯を飲んでホッとひと息つく習慣があるが、イタリアでは「多量の温かい液体」で食事を終えるのは非常に奇妙に映る。


イタリア人が食後に飲むのは、指の先ほどの量のエスプレッソか、あるいはキンキンに冷えた「リモンチェッロ」などの食後酒だ。イタリア人にとって食後の胃袋は、消化という名の化学反応が起きている場所だ。そこに多量の水分を入れることは、消化液を薄め、プロセスを停滞させる行為だと本能的に感じている。「お腹を温めて落ち着く」という日本の感覚は、イタリアでは「胃を重くする」と解釈される。食後は「熱く、濃く、短く(エスプレッソ)」か「冷たく、強く(食後酒)」。この二択以外、僕たちの辞書には存在しない。

「パン」を食べるタイミングと「スカルペッタ」

テーブルに置かれたパン。これをお通しのように、料理が来る前にムシャムシャと食べてしまうのは、イタリアではマナー違反に近い。イタリアにあるパンの役割は二つ。一つは、料理と料理の間の「口直し」。そしてもう一つが、もっとも重要な「スカルペッタ」だ。皿に残った絶品のソースを、パンで拭って食べる行為。これは「ソースを一滴も残したくないほど美味しい」というシェフへの最高の賛辞だ。メインディッシュが来る前にパンを完食してしまうのは、この最大の喜びを放棄しているに等しい。パンは最後まで「相棒」として残しておくのが、真の美食家だ。

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「音」を立てる感謝は届かない

東アジアでは麺をすする音は感謝の印だが、イタリアでは逆だ。スパゲッティを音を立ててすするのは、周囲への不快感を与えるだけでなく、料理を台無しにする行為。感謝を伝えたいなら、音ではなく、皿を空にすること。そして本当に満足したなら、お代わりを頼むこと。それがイタリア流の「ごちそうさま」だ。

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▲ イタリアの食文化の中では「音を立てる」というマナー違反は最もNG。パスタでもスープでもポレンタでも、とにかく絶対ダメ!

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ミートボール・スパゲッティは「幻想」

海外のイタリアンレストランでよく見る「ミートボール・スパゲッティ」。実は、本場イタリアの家庭やレストランには存在しないアメリカ生まれのファンタジーだ。イタリアでこれを注文しようとするのは、日本で「カリフォルニアロール」が伝統的な寿司だと言い張るようなもの。本物を知るなら、ブカティーニなどの伝統的なパスタを選び、肉はセコンドとして別に楽しむのが粋だ。

ケチャップという名の禁忌

イタリアのパスタソースは、トマト、バジル、オリーブオイルの神聖な三位一体で成り立つ。そこにケチャップを入れるのは、文化的な冒涜だ。ケチャップはハンバーガーやフライドポテトのためのものであり、パスタにかけるものではない。イタリア人にケチャップパスタを出すのは、日本人に「砂糖をかけた刺身」を出すような衝撃だと心得よう。

アルデンテこそが「健康」の秘訣

「毎日パスタを食べて、なぜイタリア人は太らないのか?」。その答えは、徹底したアルデンテへのこだわりにある。しっかりとした歯ごたえを残すことで、澱粉の消化が緩やかになり、満腹感が持続する。柔らかすぎるパスタは、イタリア人にとって「病人の食事」か「失敗作」に過ぎない。

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▲ アルデンテもそうだけど、大好きな人とテーブルを囲みお酒を飲むだけで、健康になれる。それがイタリア人!

なぜイタリア人は、これほどまでに食のマナーにうるさいのか。それは、食べ物を単なる栄養摂取の手段と考えていないからだ。食卓は、家族や友人と愛を確かめ合い、人生を謳歌するための舞台。素材を慈しみ、作り手を敬い、自分の胃袋の状態にまで責任をもつ。その厳格なNGマナーの裏側には、一食一食を最高のものにしようとする、情熱的な食への愛が隠されている。


次にイタリア人と食卓を囲む時は、これらのルールを「縛り」ではなく「楽しむための作法」として捉えてみてほしい。読者のみなさんがパンの最後の一切れでソースを拭った時、あるいは魚料理をそのままの香りで堪能した時、隣に座るイタリア人は、あなたを真の友として認め、最高の笑顔を見せてくれるはずだ。

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● マッシ  

本名はスガイ マッシミリアーノ。1983年、イタリア・ピエモンテ州生まれ。トリノ大学院文学部日本語学科を卒業し2007年から日本在住。日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。書籍『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』(KADOKAWA)の他 、ヤマザキマリ著『貧乏ピッツァ』の書評など、雑誌の執筆・連載も多数。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で執筆中。ロングセラー「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」(note)は145万PV達成。
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