2026.04.05
【第12回】
モラハラ彼氏・広告マン・港区の夜を牛耳る人まで!? 男性を渡り歩いてきた美女が出した答えとは
生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか、大人の女性たちは何を求めているのかを、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林 伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で深掘りします。
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取材/林 伸次 写真/トヨダリョウ 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在。恋愛も結婚もしなくたっていい中で、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか。そして、大人の女性たちは何を求めているのか。
本連載「林伸次のLove la Bossa」では、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で大人の女性の本音を深掘りします。第12回のゲストは、前回に続いて優実さん(20代)です。
前編では、大学入学後にすぐにできたモラハラ彼氏のこと、そして、自身の寂しさを埋めるように男性と付き合ってしまうことを伺いました。後編では、優実さんが「もう恋愛はしなくてもいいかな」と思うに至るまでをお話しいただきます。

電気も点かない部屋で、ふたりで閉じこもっていました
── モラハラ彼氏の後には、どんな人と付き合ったのでしょうか?
「大学のゼミで一緒の人でした。毎日一緒に制作をする中で私から好きになって、誕生日に手紙を送ったりしていたんです。『いつもありがとう』みたいなものでしたけど」
── 古風で可愛い!そのうちに付き合うことになったのですね。
「はい。会う時間がたくさん欲しかったので、大学の近くにふたりで安い部屋を借りたんです。そこで一緒に暮らすようになって。でも途中で彼がうつ病になってしまって」
── うわ、どうしてですか。
「私が他の男友達とも普通に遊びに行っちゃっていたんです。やましいことはないので彼にも言うし、彼も最初は『いいよ』って言っていました。でも、そのうちにキレて、私の電話番号を着信拒否したり、LINEもブロックしてきたり」
── えー、それは嫌ですね。
「でも、思い返すと、私の気遣いが足りなかったとも、女子高育ちで男子との距離感が掴めていなかったのだとも思います」
── それで、彼はうつ病になってしまったんですか。
「それにプラスして、朝から深夜まで活動するゼミだったので、 ゼミが忙しすぎてその影響から不眠症になり、一緒に歩いている時に突然泣き始めるみたいなことが増えていきました。
実家には帰りたくないって言うし、 ご飯も食べないし、どうにかなってしまうのではと怖くて目が離せない状態になって……。徘徊癖のある彼をひとりにするのが心配でバイトにも行けなくなって、光熱費も払えずに電気も消えて、クリスマスで使う電飾を張り巡らせた部屋にふたりでじっといるようなヤバい生活が始まってしまいました」
── その年齢では知識も経験もないし、病院に行くとか、周りに相談するとか、思いつかないですよね。
「病院も行きたくないと言われて……。私のせいでこうなっちゃったって思いもあったし、彼も優美のせいだと言ってくるしで、なかなか抜け出せなかったんですよね。ただ、私がどうしてもバイトにいかなくてはいけない日に 彼が実家に帰り、それを機にお互い実家に戻って、自然と離れました」
── 弱い男性と付き合ってしまったんだと思います。「お前のせいだ」って言われて気にしてしまうと、共依存みたいになってしまうのも理解できます。優実さんにとっては抜け出せて本当に良かったと思いますが、後の恋愛観に影響を及ぼしそうですね。大丈夫でしたか。
「その後は迷走してしまって、15歳年上の広告代理店勤務の男性や、港区のちょっと怖い人とも付き合ったこともあります」
極貧生活から一転、ホテルを泊まり歩く日々へ

── え? え? ちょっと順を追って聞いていきますね。15歳年上の広告代理店の方とはどうやって知り合ったんですか。
「私の後輩の知り合いだったんです。その人が『誰か女の子紹介して』って私の後輩に頼んで、それで私につながって」
── うわ〜。その彼、「オレ今、女子大生と付き合ってるんだ」とか言ってたんでしょうね。
「でしょうね。この年齢になってから思い返すと結構気持ち悪い(笑)。赤坂のマンションの内見に連れてかれて、『何の設備が欲しい?』とも聞かれましたよ。一緒に住む気だったのかな」
── じゃあ遊びじゃなくて本当に好きだったんですね。
「それはそうだと思います。私、だいぶ見た目が老けていたんですよ。大学生の頃から20代半ばくらいの見た目ではあったと思います。
彼と付き合ってからは日々赤坂周辺のホテルを泊まり歩く、ある意味“港区女子”みたいな日々になって。たまにインターコンチとかにも泊まらせてくれましたね(笑) 。その前までは電気もないギリギリの生活をしていたのに」
── その派手な生活がクセになって、「このまま彼といたい」って思ってしまいそうですが、どうでしたか。
「しばらくしたらやっぱり気持ち悪くなって目が覚めました。15も歳が離れているくせにすごくプライドが高かったんですよ。それで同世代からは相手にされないんだろうなぁって気づいたんです」
── えらい! 学生のうちに、ダメな男とはどういうものなのか理解できてきそう。
黒いベンツの窓ガラスが開いて「お姉ちゃんどこの店?」って

「でも私、多分危ない男が好きなんですよ……。とはいえ思い返すと、都会の遊びが楽しかっただけで、その人のことは正直好きじゃなかったと思います。
その後に付き合った人とは、夜中に一人で港区の駅前を歩いていた時に、黒いベンツが目の前にスーッと停まって窓が開いて『お姉ちゃんどこの店?』って聞かれたのが最初でした」
── マンガの世界だ。
「店ってなんだ!?と思って『大学生です。今、ラーメンを食べに行くところです』と答えてその場を去ろうとしたら、『連絡先だけ教えて』って言われて。
明らかにこの辺でお店を経営しているような感じだったし、当時は夜職に興味があったので、連絡先を教えたんです。それで後日呼び出されて会ったら『付き合わないか』というお誘いでした」
── デートも何もなしで突然!?
「どういうことかなと思っているうちにとりあえずご飯に行こうとなって、あちこち連れていってもらっているうちに気付いたら付き合うことになっていた(笑)」
── 凄い話すぎる。やさしい人だったんですか?
「はい。ただ私は彼がどんな仕事をしている人なのかよく分かっていませんでした。でも、夜の街を歩いていると、黒服を着た男たちがみんな彼に挨拶するんですね。それで、この人はこの街の“ヤベェ人”だって気付いて、2ヶ月くらいで終わりにしました」
── 何事もなく別れられましたか!?
「大丈夫です。多分他にも彼女がいたんでしょうね。どこかの外国に送られちゃうような事件もありますから、危なかったかもしれません」
── 本当に。この件はどうやって終わるんだろうとヒヤヒヤしながら聞いていたんですが、ギリギリのところで一応危険は察知するんですね(苦笑)。その後の恋愛はどうなりましたか。
結婚も考えた彼との別れ……

「4年間お付き合いした彼がいました。本当に素敵な彼で、めちゃくちゃ仲良くて多分結婚するだろうと思っていたんですけど、彼が先に社会人になって、その中でいろいろ変わっていっちゃったんです。会えない日が続く中で、私が他の人を好きになってしまい……」
── 生活スタイルが変わって心変わりしてしまったんですね。
「はい。4年経ってマンネリ気味だったんですよ。私は広告系の会社に就職したんですが、その世界が刺激的で社会人になってから飲みに行くことが増えた一方で、彼はだんだんと落ち着いた生活を求めるようになりました」
── そういうことは、これまでの出演者さんもかなりの人が言っていました。社会に出て新しい扉が開くと、途端に学生の頃の恋人が色褪せて見えてしまうって。
「ただ、彼とは壮絶に、予期せぬ形でお別れをすることになってしまったんです。他に好きな人ができたのは私なので意味がわからないと思いますが、思い返すと彼以上に素敵な人は今後出てくると思えないんです。それで、もう恋愛はしないでもいいかなと、冒頭にお話しした心境に至っているという状態で……」
── そうだったんですね。近頃、恋愛はしなくてもいいって女性の声をしばしば耳にしますが、優実さんのように壮絶な紆余曲折を経て、その意見に至っている方もいるんですね。今は恋愛のことは考えられないでしょうけれど、乗り越えた先に良い出会いがあるといいな、なんて思うんですが。
「恋愛だけがすべてではないと思いますし、今、仕事をしていて友達もいて趣味もあって、自分の時間を大切に楽しく生きられていればいいかなって思っています」
── 優実さんの幸せを願っています。
【林さんから〆のひと言】
かなりスピードを出し過ぎる恋愛を重ねてきた優実さん。危なっかしくて、聞いている間ずっとドキドキしてしまいました。そうした期間を経て、自分なりの価値観が作られていったんですね。きっと幸せな人生を!

■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(幻冬舎)、『恋愛は時代遅れだというけれど、それでも今日も悩みはつきない』(Pヴァイン)、最新刊は『30歳になってもお互い独身だったら結婚しようか』(三笠書房)。













