2026.04.04
【第11回】
「もう恋愛はしなくていいかな」寂しさを埋めるように男性を求めた美女の現在
生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか、大人の女性たちは何を求めているのかを、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林 伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で深掘りします。
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取材/林 伸次 写真/トヨダリョウ 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在。恋愛も結婚もしなくたっていい中で、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか。そして、大人の女性たちは何を求めているのか。
本連載「林伸次のLove la Bossa」では、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で大人の女性の本音を深掘りします。
第11回のゲストは優実さん(20代)です。

もう恋愛はしなくていいかなと思っています
── ようこそいらっしゃいました、林です。今日はよろしくお願いします。
「よろしくお願いします。今日は恋愛のお話をすると伺いましたが、私はもう恋愛はしなくてもいいかなと思っているんです」
── あらら。これからいろんなことが楽しくなりそうな年齢だと思うのですが、その心境になってしまった話は伺ってもいいんですか。
「はい、お話しできる範囲でよろしければ」
── もちろんです。仰りたくないことははっきり言ってくださいね。まずはここでのニックネームを決めたいと思うのですが、誰かに似ていると言われることはありませんか。
「あ、先日、河合優実さんに似ているって言ってくれた友人がいて」
── 本当だ、確かに似てる。では今日は、優実さんと呼ばせてください。毎回始めに女子校か共学か、兄妹関係などをお伺いしているんです。これってかなりその人の恋愛観に関わると思うので。
「そうなんですね。中高6年間は女子校、大学は共学でした。弟がひとりいます」
── 弟さんがいるんですね。思春期は女子の中で育ったと。初めて誰かと付き合ったのはいつ頃ですか。
「私の学校は人数が多かったんですが、真面目な学校だったので彼氏がいる子は少なかったんです。でも私は少女漫画の読みすぎで恋愛にものすごく興味があったので、中3の時に初めての彼氏ができました」
── おお〜っ(笑)。どうやってきっかけを作るんですか?
「友達の小学校の同級生が男子校に進学して、その繋がりでたまに文化祭に遊びに行ったりしていたので、そこで出会いました。ただ中高の頃は手をつないでデートするくらいでしたので、本格的に付き合い始めたのは大学生になってから。恋愛への憧れがものすごかったので、入学して2週間で彼氏ができたんです……」
── 凄い! そんなことがあるんですね。
年の離れた弟がいたので、付き合う人は頼れる年上の彼氏を選んできた

「周囲からも『どんだけ早いねん』って言われましたけどね。同じ授業を受けていた子だったんですが、たまたま共通の友達がいたのでゆるっと話し始めて、ご飯に誘われて、気づいたら付き合い始めていました……どんだけ飢えていたんだろうと、今考えると恐ろしいです(笑)」
── 相手はどんな男子でしたか?
「カッコよかったです。彼は一浪しているのでひとつ上。私、これまで同い年以上の人としか付き合ったことがないんですよ」
── 弟がいると年下を選ぶ人も多いと聞きますが、そうじゃないんですね。
「年下はまったく。私は家でお世話をする側になることが多かったので、逆に自分が頼る場所が欲しいから、彼氏は年上ばかりになった気がします。私は実家から大学に通っていたんですが、その彼はひとり暮らしだったので、転がり込む形で一緒に住みだして」
── ご両親は許してくれたんですか?
「うちは親が離婚していて母子家庭なんですが、中高時代から母親とあまり仲が良くなくて、そもそも家に寄り付いてなかったんです。大学生になりたての頃、門限は22時とか言われていましたけど、まったく守れなかったんです。徐々に母親もしょうがないって受け入れていましたが」
── そうだったんですか。彼と暮らすようになってどうでしたか。多分その彼が初体験の相手になりますよね?
「そうですね、お互い初めて同士だったので、緊張しつつもなんとかなった感じだったのかな?もう忘れちゃった(笑)」
── 彼も初めてだったんですか。カッコいい年上と聞いたので、てっきり経験済みかと思いましたが、真面目な人なのかな。
「はい、結構真面目な性格だったし、浪人中はめちゃくちゃ勉強してたみたいですね。でも覚えてしまってからは、そればかりでした(笑)」
初めての相手がどんどんモラハラっぽくなってしまい

── その彼とはどれくらい付き合ったんですか。
「1年くらい付き合いましたが、だんだんモラハラっぽくなっていってしまって別れました」
── モラハラっぽくなる男性で思い当たるのは、自分がやりたいセックスを受け入れてもらううちに上下関係ができて、それが普段の時にも持ち込まれるようになることなのですが、当てはまりますか?
「そういう部分のもあったのかな。でも彼には元々そういう気質があった気がしますよ。プライドも高いし。岩波文庫とか哲学書とかを読んでいて『お前にはわかんねぇだろ』みたいなことを言われましたから」
── なんか嫌な男ですね。いつ「これってモラハラかな?」って気付きました?
「大学の講義でデートDVやモラハラの回があって、講義内容が全部彼に当てはまったんです。その時に横にいた友達に『全部やられてるじゃん』って言われて。
直接手は出されてはいませんが、怒った時に大声を出してゴミ箱を蹴ったりとか、私の内面を批判をしてきたりしました。彼にも元々辛い過去があったので、気質としてネガティブな部分をもっていたのかなと思います」

── 大学でそういった気付きの機会を与えてくれるんですね。良いことだと思います。でも、彼に辛い過去があったとしても、それは自分自身でどうにかしないといけない部分だと思うのですが。
「私も親の離婚など悲しい経験をしているので、相手にも“影”を求めてしまうのかもしれません。心の奥底のネガティブな部分でつながりたいと思ってしまっていた。
切る時もきっぱり切れず、ダラダラと関係を続けてしまって、次の相手が見つかってから終わらせる感じで。その彼は、新しい好きな人ができて別れました」
── そうなんですね。優実さんには明るくて聡明な雰囲気しか感じないので、そのような形で男性とお付き合いしていたと聞いて、ちょっとびっくりしています。
「そもそもの自分は自由人だし、快活なタイプだと思います。ただ恋愛においては、家庭環境が影響してしまったかな。早い時期から家族のケアをする役割に回っていたこともあって、ケアされたい人に好かれる部分もあったかも」
── 快活な部分と影のある部分がギャップとなって、人を惹きつける魅力になっている気がしますね。その新しく好きになった人については後編で聞かせてください。
後編に続く

■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(幻冬舎)、『恋愛は時代遅れだというけれど、それでも今日も悩みはつきない』(Pヴァイン)、最新刊は『30歳になってもお互い独身だったら結婚しようか』(三笠書房)。














