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2020.01.03

【第17回】

深津絵里似の美人ライター。六本木の会員制クラブ嬢になった理由とは?

美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか?「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。

CREDIT :

取材/林伸次 構成/木村千鶴

「ワイングラスの向こう側」(cakes)でおなじみ、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」(バール・ボッサ)のマスターにして作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術でさまざまな美人さんの本音を聞き出す連載です。

シーズン2のテーマは、ズバリ、今どき美女たちの“悩める”恋愛事情。美人だってときには恋に傷つくこともあるよねという推論のもと、美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。

第17回のゲストは、フリーランスでライターをされている絵里さん(30歳)です。
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男性ウケ狙いを捨てたら、モテキがやってきました

── こんにちは、林です。わ~、小柄で可愛らしいのに美人顔!なんかいいとこどりしてませんか? モテるでしょう?

「いえいえ~(笑)。でも、まあまあ」

── ここでは遠慮せず、モテ話をどんどん語ってくださいね。ちょっと深津絵里さんに似てませんか?

「あ、たまに言われます」

── じゃあここでは絵里さんって呼ばせてもらいますね! 絵里さんが自分の美人度を自覚したのって何歳くらいですか。

「自覚ですよね? 自覚は22歳ですね」

── 22歳って具体的ですが、何か理由があるんですか。

「女子大生だったんですが、その頃、六本木で夜のアルバイトを始めたんです」

── おお! 男性って、六本木で働いてる女の子が何でそこで働くのか、時給が高いからなのかとか、色々興味があるんですが。男性を代表して(笑)、詳しく聞いてもいいですか?

「はい(笑)。時給は3千円とか4千円かな。会員制の高級キャバクラでした。理由は……そうですね。たぶん自分にないキャラで、今までと全然違うことをしてみたかったんでしょう」

── 女の子って、たまに突然そういう無茶なことする。男はそれができないんですよね~。そこであれ? 私イケてるなって思ったんですか。
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「そうですね~。体験入店の日にすぐお客さんがついて……」

── それって面接した日に、そのまんまちょっと働いていかない?って言われるの?

「そうです。その時には“私にもできるかも”くらいの気持ちでしたが、続けてくうちに自分にしっくりくるスタイルが見つかって、成績もグッと上がったんですよ」

── スタイルというのは……?

「髪型やメイクを変えたりとか」

── 男性ウケするように?

「いえ、男性ウケを捨てたんです。あ~、捨てたというか、今まで自分が“これがウケるんだ”と思ってたものを、自分に似合う方に変えていったら、急激に売れるようになったんです」

── なるほど! 一般的にモテると言われている格好をするより、自分に合ったスタイルにしたらモテるようになったんですね。

「そう。それでだんだん自信がついてきて、私、意外といけるかもって(笑)」

── そういう風に自信がつくんですね。これは女子勉強になるぞ~! その頃、彼氏はいなかったんですか。

大好きだった大学の先生。彼とは精神的に気持ちよかったです

「えっと、実は、その直前まで大学の先生と付き合っていたんです……」

── え~っ! どうしてここで先生ってワード出てくるの?(笑) きっかけはどういうこと? なんの先生?

「私がしていた研究について相談に乗ってもらっていた先生です。ある時、たまたま他の人がドタキャンしたためにふたりで食事に行くことになって、そこから……」

── あの、先生とそういうことって、あっていいんですか(笑)?

「ダメです。うちの大学はそういうことも凄く厳しかったので、バレたら大変」

── どうやって付き合うようになったんですか? 彼が口説いてきた?

「いえ、ごく自然に。初めは性的な事は何もせず、一晩中語り明かしました。その日はお互いに自分の何十年を一気に語って……」
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── あ~、あるある!!

「ありますよね、そういうことって。なんか飛び越えちゃう。これまでの時間を」

── ええ、ソウルメイトみたいにわかり合えるときってありますよね。じゃあそれで自然と恋人になっちゃったんだ。で、彼とのセックスってどうなんですか。

「彼とは精神的に気持ちよかったです」

── 愛し愛されるってこういうこと、みたいな?

「はい、肉体的な気持ちよさより、精神的なつながりの喜びが大きかったですね」

── そっか。学校では付き合ってないふりですよね。

「はい。あの、彼、離婚調停中ではあったけど既婚者だったんです。結局奥さんにバレて別れました」

── あちゃ~。じゃあお別れして、その時って失意のどん底ですよね。それで、その後に会員制クラブ?

「はい、そういうことです(笑)」

夜の世界はフィクション。本気で口説かれるのは面倒くさい

── 仕事柄色んなお誘いされたと思うんですけど、どうしてましたか。

「同伴やそれにつながるデートはしますが、プライベートなお誘いは全部お断りしてました」

── へぇ、そうなんだ! 向こうは最初から同伴するからって言うんですか。

「言わない時もあって、そういう場合には色々調整して、店に連れて行きます(笑)」

── アハハ! 同伴ってそんなに大事なんだ。

「はい。お店のプラスにもなるし。あ、うちの店は順位性じゃなくって、同伴のポイントが全員にバックされるシステムだったんです。だから全員で一致団結、みたいな」

── へえ!おもしろい! じゃあお客さんとは普通のデートはしなかったんですね。でも向こうは本気で口説いてきませんか。

「口説いてきますけど、全部面倒くさい(笑)。夜の世界はフィクションなんです。なので私はプレゼントも断っていました。何もいらないから、そのぶんお店に会いに来てって」

── あ~そうなんだ! でもその年頃でたくさんお金稼いだら、やめられないですよね。

「私は留学にお金を使いたかったので」

── あ、そのお金は留学に使ったんですね! それはいい。水商売をしているとタクシーとか使うのが当たり前になっちゃって、金銭感覚がおかしくなるって聞きますから。

「お店が良かったんです。店にいるほとんどの女の子に目的があったので。起業したいとか、独立したいとか」
── わ~! 六本木にそんないいお店あるんだ。偶然そこにいけてよかったですね。

後編に続く

■ BAR BOSSA(バール ボッサ)

ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間 / 月~土 19:00~24:00
定休日 / 日・祝
問い合わせ/☎ 03-5458-4185

● 林 伸次(はやし・しんじ)

1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。初の小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)も話題。

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