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2017.08.08

ピーク6時間待ちのかき氷「ひみつ堂」のヒミツ

東京・谷中のかき氷店はなぜこんなに人を惹きつけるのか。

CREDIT :

文/秋山 都 撮影/菅野 祐二

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◆ ひみつ堂 

1日500杯のかき氷を売り上げるスーパー人気店

今を去ること30余年前、アイスクリームのホブソンズが東京・西麻布に上陸し、日本での1号店を開けました。当時は外国からスイーツブランドが上陸したのがめずらしく、長い行列はニュースにもなったほど。最近ではドーナツ屋さんやグルメポップコーン、そしてハワイからのパンケーキ専門店などがオープンするたびに行列ができています。でもどんなに長く並んでも、およそ1時間程度でしょうか? 

では、東京の下町、谷中に、真夏のピーク時には6時間待ちとなるかき氷屋がある、と聞いたらいかがでしょう。しかもそのかき氷は一年中楽しめて、真冬でも数十分並ぶとしたら?
いま人気だというトイ・ストーリー・マニア(東京ディズニーシー)ですら90~180分待ちだというのに、6時間って・・・…。

人心をひきつけてやまないかき氷店、その名も「ひみつ堂」のヒミツ、大公開です。

「ひみつ堂」の氷のヒミツ

ではまずもっとも大切な「氷」から。祭りの屋台などを除いて、大半のかき氷店で使われているのは「純氷」。製氷工場で、一定の基準を持って飲料水を凍らせた純氷は透明で固いのが特徴。食味を損なわないため、バーのロックや、高級鮨屋のネタケースの中で温度保管のために使われています。

一方「ひみつ堂」の氷は天然氷。それも栃木県日光市の「三つ星氷室」の氷と決まっています。天然氷は冬山で2週間かけてゆっくりと固まっていきます。アイススケートリンクほどもある大きな氷池に、雪がつもらないように、ゴミが落ちないようにケアをし、またそれを切り出すのは大変な手間がかかるのだとか。

「ひみつ堂」の氷はすべてこの「三つ星氷室」の天然氷を手動で削っています。純氷よりもさらに固いため、削った後はよりふわりとした口当たり。また、水自体の味の良さと、人工的に固めていないので“不均一”な密度がより深い味わいをもたらします。
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氷は週に数度日光から搬入。店内の氷室で保管されていますが、毎日使う分だけを出し、削る数時間前から発泡スチロールの箱に入れて「やわらかく」しています。冷凍庫から出したての氷は固すぎて舌触りが悪く、機械の歯もすぐに欠けてしまいますが、「やわらかく」、つまり温度を上げた氷は食べても決して頭がキーンとならない、ふんわりとした舌ざわり。

またこの氷をすべて手動で削るのも重要なヒミツ。1949年に発売されたマシン「初雪」の改良型をパートナーに1日8時間、長いときは10時間以上もシュルシュルシュルシュル……。「機械だと味気ないでしょ? 人が丁寧に作っているものは味が違うと信じているんですよ」とオーナーの森西さんは笑いますが、確かにこの昔なつかしい光景を見るだけで郷愁を誘われ、それも味わいのひとつとなっているようです。

「ひみつ堂」の蜜のヒミツ

さて、お次は氷にかけるシロップ。そのヒミツを明らかにする前にまずはメニューを見ていただきましょう。
ひみつ堂 メニュー
すべてのメニューは平仮名で記載されている。それだけでおいしそう。
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「ひみつ堂」のメニューは実に132(ヒミツ)種類! そのシロップはここでは「蜜」と呼ばれていますが、すべて手作りで無添加。132種ものバリエーションの中から、季節に応じた旬の蜜が毎日10種ほどスタンバイされています。どれも100%果実に砂糖を加えたのみのフレッシュな蜜です。

定番の「いちごみるく」を始め、夏は西表島のピーチパインや、熊本・沖縄産のマンゴー、東北産のすいか、秋は栗や山ぶどう、冬はかぼちゃなど、その日しか食べられない蜜がラインナップ。1年に何度でも行きたくなる「ひみつ堂」のヒミツです。

ではここで、繊細にして豪快な蜜がけをコマ送りにてご紹介。
これが「いちごよりいちごっぽい!」と評判の「ひみつ堂」のいちごみるく、1,000円(税込み)であります。堂々たる風貌。
実際食べてみると、想像以上にふんわりと口溶けのよい氷に、果実味たっぷりの爽やかな蜜、濃厚な練乳の甘みが三位一体となって押し寄せてきます。店内に反響する人の話し声、シュルシュルと氷を削る音などから意識が離れて、口のなかの冷たさ、おいしさのみに集中する一瞬。たしかにこれはやみつきになります。

「ひみつ堂」の待ち時間のヒミツ

「ひみつ堂」は2011年にオープン。比較的直後から行列ができはじめ、真夏のピーク時には6時間待ちとなることもあります。そこでお店では夏季のみ整理券配布をスタート。行列が30人を超えたら時間帯が書いてある整理券が配られるので、その時間帯に再度来れば、その時間順に優先的に並ぶことができるというシステム。これにより店前に並ぶ時間は10分~最大で1時間くらいでしょうか? 熱射病で具合が悪くなることもなく、かつ待ち時間を有効に使えるスマートなヒミツです。
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ひみつ堂オーナー 森西浩二さん
最後にこの方をご紹介しなくては。オーナーの森西浩二さん。この「ひみつ堂」をオープンするまでに経験した仕事、実に20種以上! 新聞配達、宅急便ドライバー、不動産営業、ディスコ店員、地図作成調査、デザイナー、スキューバダイビング・インストラクター、飲食店の店長などに加えて、先代の市川猿之助丞の弟子を6年間務めていたこともある、ユニークな経歴の持ち主です。

毎日店の前の掃除から始まり、1日中かき氷をシュルシュル削り続ける森西さんは「生きている限りかき氷を削り続けたい」と思っているんだとか。かき氷はふんわりと軽いけれど、森西さんの覚悟が込められた1杯はやはり重くもあり、それゆえにまた食べたい、と思わせる味です。
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◆ ひみつ堂

住所/東京都台東区谷中3-11-18
お問い合わせ/☎03-3824-4132
営業時間/10時~18時ごろ(くわしくはツイッターでご確認ください)
定休日/月曜休(8月は無休、10~5月は火曜休)

●毎日のメニューや整理券配布状況はお店のツイッターでご確認ください。
URL/https://twitter.com/himitsuno132

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