お金じゃ買えない「カレー」がある。キャッシュレス化、その未来へ

毎回、旬のレストランや話題の新店をご紹介していく連載「美食のネタ帖」。「なんか面白い店ないかなぁ」「最近どこか行った？」と聞かれることが多いLEON.JP食いしん坊担当がガチでおすすめなお店やネタを紹介いたします。

その、第24回は「お金じゃ買えないカレー」の話。私この夏に中国・成都（四川省）を旅したのですが、なにが驚いたって四川料理の辛さもさることながら、キャッシュレス化の浸透ぶりです。

電車、タクシーなどの移動手段はもちろん、レストランでは卓上のQRコードを読んで注文（もう紙のメニューなんてありません）し、そのまま決済。市場の小さな露店で花椒と唐辛子をザザッとビニール袋に入れてもらった時もQRコードで支払い完了。

うわさでは路上生活者たちも空き缶の代わりにQRコードを掲げているんだとか（ほんと？）。友人に割り勘した食事代を払おうとしても「紙幣は使わないから要らない。久々に（リアルな）お金見たわぁ」とあきれられ、空港で両替した中国元紙幣はついに使う機会がなく、そのまま帰国とあいなりました。

もちろん日本でもキャッシュレス化は進んでいるわけで、先日行った六本木でふらりと入ったサラダ専門店はクレジットカードかモバイルアプリでの支払いを求められたっけ。タクシーでの電子マネー決済もスムーズになり、時代は変わっていくのだなと実感しています。

でも、今回の「美食のネタ」には驚いた。だって、カレーですよ。それも、場所は根津ですよ。東京の下町情緒を色濃く残すこの、どちらかといえばシニア層が住まう町で、キャッシュレスなカレーとはこれいかに？

湧き上がる猜疑心（いや、好奇心ですね）を押さえられず、まずはお店に向かいました。

おお、コンクリートをむき出しにしてグレイッシュな内装はおしゃれ。ここがカレー屋であるとも、また根津であるとも思えません。しかし最大の驚きはここからなのでした。

「現金でも、クレジットカードでもお支払いいただけません。アプリからご注文・お支払いください」

つまり、この「TOKYO MIX CURRY」はアプリで事前注文し、出来上がった時間に入店すれば、時間のロスなくカレーが食べられる。そんなカレーの未来形を体現したお店なのでした。

でも私、「ポケモンGO」ですらフィールドリサーチがなかなか達成できないガジェット音痴ですが、できるかな？

まずはアプリをダウンロードして……と。最初にお店を選び（現在は根津本店と紀尾井町のキッチンカーの2店舗）、次に基本となるカレーを選びます。

ベースは「きほんのトマトチキン」、「オクラ・チャナ納豆ネバ」「スパイシーフレッシュ」「たっぷり野菜」「ギャラクシー☆チキン」「ロカボなトマトチキン」「THEシンプル」の7種。

この日はスパイシーフレッシュに決定。そこから、辛さのレベル、ごはんの量、つけあわせのコールスローの量などをカスタマイズし、トッピングを選択します。おお、簡単にできた！

私は激辛（5倍）、トッピングにチャナ納豆、パクチー、チーズ、トマト青唐辛子を選びましたが、結果少し物足りなく感じたので、次回は爆辛（10倍）にして、塩麹チキンも乗せようかな。

肝心のカレーはトマトとタマネギをベースに、小麦粉を使わずに油っぽくないヘルシー系。最近南インド料理にハマっている私にはうれしいサラサラ、シャバシャバしたカレーです。ここにコールスローや、トッピングした納豆、トマトなどを全部混ぜ込み、混然一体とさせてからいただきます。

うん、混ぜるとなおおいしい。だから「TOKYO MIX CURRY」って言うんだな、きっと。

共同経営者のひとりである西山亮介さんは「キャッシュレスが本来の目的ではなく、自分好みの味を造り出すDIY的な感覚と、おいしいカレーを食すという経験を最大化できることをアプリを通じて実現したかった」と語ります。

おいしくて、ヘルシーで、高価じゃなくて、自分好みにカスタマイズできて、時間もムダにならなくて……これ以上、ファストフードに何を望む？　すでに8月には紀尾井町に2号店（というかキッチンカー）も出店し、さらなる大化けが予想される「TOKYO MIX CURRY」、チェックはお早めにどうぞ！