孤高のフレンチ靴「ゴルフ」。ジェイエムウエストンが愛され続けるそのワケとは？

スーツスタイル同様、クラシックな靴の世界にもお国柄を反映した特徴があります。質実剛健な、と形容される英国靴に対し、フランスのクラシックはより優美でどこか気まぐれ。そのニュアンスを象徴するフランス靴の代表格がジェイエムウエストンです。彼らが描き出すのは対照的な要素から生まれる美しくも危ういバランス。上品さと野性味、古さと新しさ、厳格さと理想…そうした相対するものの融合こそがフレンチエレガンスの世界観であり、ジェイエムウエストンの伝統なのです。

中庭にモダンなガラスのピラミッドを要するルーブル美術館のように、異質な要素がひとつに溶け合うジェイエムウエストンの世界観は、そのラインナップにも現れています。古いミリタリーシューズに源流をもつ重厚なダービーシューズがある一方で、軽やかで流麗なワンピースシューズがある。そんななか長きに渡って無二の個性を放ち続ける定番が「ゴルフ」でしょう。伝説的なゴルファー兄弟にインスピレーションを得たこのダービーシューズは、ドレッシーさとスポーティ感の絶妙な融合により、多彩な人々の多彩なシーンを彩ってきた硬軟自在の一足。堅牢なラバーソールを装着していることから“足で稼ぐ”ジャーナリストたちにも愛された名作です。