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2018.04.01

ケープタウンで新型アウディA7 スポーツバックに試乗─その“新しさ”に驚いた!

世界中のクルマに影響を与えたスタイリングのアウディ「A7 スポーツバック」の新型に乗った。スポーティな走りも特徴だが、加えて最新のインフォテイメントシステムの充実ぶりは、すごいおもてなし感覚だ。

CREDIT :

文/小川フミオ

ケープタウン郊外の海岸線を走る姿は低くかまえてダイナミックだ
ケープタウン郊外の海岸線を走る姿は低くかまえてダイナミックだ

いいところを伸ばし、より洗練させる方向で新しくなった2代目

2017年秋に新型が発表されたアウディA7 スポーツバック。このモデルチェンジは難しいだろうなあと思っていた。

アウディA7 スポーツバックの真骨頂といえばファストバックスタイルの4ドアボディ。パーソナルな雰囲気の濃い4ドアクーペというコンセプトは斬新で衝撃的だった。

そのスタイリングコンセプトがいわばA7 スポーツバックそのもの。そこから離れられるのか。それがフルモデルチェンジにあたっての最大の興味だったからだ。
リアのスポイラーは格納されているときはよりボディと一体化したデザイン
リアのスポイラーは格納されているときはよりボディと一体化したデザイン
はたして2代目は、いいところを伸ばし、より洗練させる方向で新しくなった。大ヒットのモデルチェンジ策としては、大きな賭けではなく、無難な方策である。

ファストバックスタイルは継承。スタイリングだけぱっと見すれば、たいていの人がアウディA7 スポーツバックと言い当てるはずだ。

では新しさは? 洗練性だ。現代的なアップデート化といってもよい。ボディサイドはラインと面構成で陰影がよりくっきりとつくように。前後のホイールアーチまわりもふくらんで、力強い印象が増した。
全長4969mm、全幅1908mm、全高1422mmでホイールベースは2926mmもある
全長4969mm、全幅1908mm、全高1422mmでホイールベースは2926mmもある
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中身は大きく進化

いっぽう、大きな変化は中身にある。ひとつはエンジン。もうひとつはシャシー技術。さらにインフォテイメント系が大幅に刷新されたのである。今回試乗の場所に選ばれた南アフリカのケープタウンで乗ったのは、現在、ラインナップのトップに位置する3リッターV6搭載車だ。
ケープタウン郊外のワイナリー(のレストラン前)に展示されていた
ケープタウン郊外のワイナリー(のレストラン前)に展示されていた
V6は従来のスーパーチャージャーに代わり、ツインスクロールターボチャージャーを搭載。広い回転域に対応し、ターボラグを感じさせない

体験しての印象は、低回転域でのトルクがたっぷり、というもの。そして1500rpmから上での力の出方がまたよい。

回転が上がっていくときの加速感は、アクセルペダルの微妙な踏み込み量に対応していて、まことに気持ちよい。ファインチューニングがしっかり効いている。
グロスブラックとクロームを直線でまとめたダッシュボードが斬新だ
グロスブラックとクロームを直線でまとめたダッシュボードが斬新だ
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後輪操舵システムの恩恵で山道でもじつにスムーズ

シャシーにおける新しさとは、オールホイールステアリングとアウディが名づけた後輪操舵システムだ。速度域と前輪の切れ角に応じて、電気仕掛けで後輪に角度がつけられる。

低速域では前輪と反対側に切れるのでクルマのとりまわしがよくなる。いっぽう60km/h以上では前輪と同じ方向(同位相という)に切れるため、実際よりホイールベースが長くなるのと同じ効果が生まれ、安定性が増すのだ。
中央の2つのモニターのアイコンは指の操作で上下入れ換えられたりカスタマイズできる範囲が広い
中央の2つのモニターのアイコンは指の操作で上下入れ換えられたりカスタマイズできる範囲が広い
実際に小さなカーブが連続する山道での動きはじつにスムーズ。おそらくこの機構が働いているはずだ。すいすいと、という感じで、軽快にとばせる気持ちよさは特筆ものだ。

試乗車はフルエアサスペンションを搭載していたせいもあるだろうか、屈曲路を曲がるときの車体のロール制御も適切。ステアリングホイールをすっと切って加速し次のカーブを目指す。そしてまた……という走行が楽しめる。
ステアリングホイールとステアリングコラムに運転支援システムのコントロール類がそなわる
ステアリングホイールとステアリングコラムに運転支援システムのコントロール類がそなわる
高速での安定感はアウディの独壇場という感じだ。クワトロと名づけられたおなじみの4WDシステムは、前輪駆動を基本にしたもの。走行状況などで4WD化が必要とシステムが“予測”すると、すばやく後輪へトルクを配分する。
かけ心地がよいS-line専用レザーシート
かけ心地がよいS-line専用レザーシート
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知らぬ間にクルマが燃費をかせいでくれる

A7は燃費効率のため、高速道路をクルージングしているときなどの“低負荷”走行時にエンジンをストップさせる機構を持つが、新型ではエンジンを停止させる速度域を広くしているそうだ。

再始動のために高出力の電気モーターを使用。アウディではこれをマイルドハイブリッドと呼んでいる。
リアシートは3人がけ
リアシートは3人がけ
このエンジン休止/再始動システムと、先のオールホイールステアリング、そしてエアサスペンション(どれもオプションだが)のため、48ボルトの高電圧バッテリーを搭載したのも、新型の大きな特徴といえる。

運転しているとエンジンの休止も再始動もまったくわからない。じつにスムーズに行われる。そうやってクルマが燃費をかせいでくれているのである。
複雑な面形状をもつリアコンビネーションランプは連続したライトストリップが特徴
複雑な面形状をもつリアコンビネーションランプは連続したライトストリップが特徴
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走る秘書のようなインフォテイメントシステム

インフォテイメントシステムも、A7 スポーツバックの注目点である。タブレット型端末を思わせるモニターが2つ、ダッシュボードに備わり、多くの操作をタッチで行えるのだ。

エアコンやナビゲーションや音楽や通話など、運転操作と関係ないものはほとんどすべて、このモニターで行う。物理的なスイッチはほとんどなくなってしまった。
250kWの3リッターガソリン車には「55」のグレード名がつく
250kWの3リッターガソリン車には「55」のグレード名がつく
iPadを使うようにアイコンに触れることで、温度調整やボリュウムの上げ下げや、シートヒーターのオンオフなどを行える。音声で機能を呼び出したり、操作する範囲もぐっと増えた。

おもしろいのは、縦に並べられた2つのモニターが上下で機能をカスタマイズできることだ。自分がよく使うアイコンを、手を伸ばしやすいところにドラッグ&ドロップすればよい。

特にクルマを通勤に使う人にとって、機能性がぐんと上がった新型A7スポーツバックは、とても便利だと思う。ちょっとした走る秘書のようである。
レーザースキャナー、長距離レーダー、4 基の中距離レーダー、フロントカメラ、360 度カメラ及び超音波センサーで“武装”する
レーザースキャナー、長距離レーダー、4 基の中距離レーダー、フロントカメラ、360 度カメラ及び超音波センサーで“武装”する
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新しいかたちのモビリティが始まっている

ナビゲーションは最新世代のモジュラーインフォテインメントプラットフォームを使い、走行ルートを学習し自発的に提案を行なうそうだ。

音声コマンドで何でもこなしてくれるシステムを体験していると、新しいかたちのモビリティが始まっているのだという感もひとしお。
縦に並べられた 12 のライトセグメントが特徴的なレーザーライト付き HD マトリクス LEDヘッドランプ
縦に並べられた 12 のライトセグメントが特徴的なレーザーライト付き HD マトリクス LEDヘッドランプ
まるで巨大なスマートフォンの中に座っているようでもある。新型アウディA7 スポーツバックはスタイリッシュなだけでなく、新しい時代へと向かうクルマなのだ。

彼女と乗ったときに、最新のインフォテイメントシステムを使いこなせば、驚かれること請け合いだ。エンターテイメントとしても超一流である。日本での発売は2018年夏前と日本法人のアウディジャパンではしている。

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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