取材直後に売却!? 読めない男・テリー伊藤さんの『ロンドンタクシー』

テリー伊藤さんといえば、今ではテレビのコメンテーターという印象ですが、もともとはテレビの裏方の名プロデューサー。昭和世代には懐かしい「天才・たけしの元気が出るテレビ」や「ねるとん紅鯨団」、そして「浅草橋ヤング洋品店」もテリーさんが手掛けたとか。そんなテリーさん、クルマを題材にしたYouTubeも大人気ですが、さて、ご自身の愛車事情はというと──。

みなさんこんにちは、カーライフエッセイストの吉田由美です。私、テリーさんと「日本カー・オブ・ザ・イヤー」や「日本ボート・オブ・ザ・イヤー」の選考委員でご一緒しているので、ふだんからちょくちょく、お目にかかります。最初にお会いしたのは、私が本を出版した際、テリーさんのラジオ番組のゲストで呼んでいただいた時なのですが、はたしてテリーさん覚えていらっしゃるでしょうか……!?

由美　最初にお会いした時のこと、テリーさん、覚えていらっしゃいますか？

テリー　もちろん覚えてるよ！ 僕がやっていたラジオ番組だよね。
 
由美　はい！ そうです（笑）。その節はお世話になりました。その後も時々、お会いしますが、こうやってお仕事するのは初めてかも。では、LEONなのでLEONらしくモテるをテーマにお話したいのですが“モテる”といっても異性にだけ、ということではないと思うのですね。ずっと第一線でお仕事をされているのも“モテ”ているからかと。テリーさんはずっとご活躍ですから。
 
テリー　ああ、そういうこともあるのか。僕はてっきり、そっちのほうかと……(笑)
 
由美　普通はそっちですよね（笑）。では、そんなテリーさんに質問です。これまでもかなりの台数のクルマを購入したと聞いていますが、過去にモテたクルマってありますか？

テリー　時代によって違うよね。その時々によってモテるクルマは変わると思うし。ただ、オープンカーはモテないと思う（笑）。いやね、昔は良かったんだよ。20代ぐらいまでは。オープンカーで颯爽とね。屋根全開でさ（笑）。
 
若い頃にモテたのは「フォルクスワーゲン・ビートル」や「ミニ」。なぜかクルマを持っている女性にはモテたな。ビートルって、ちょっとお洒落じゃない？
サーフボード乗せても絵になるし。女のコに「クルマ買ったんだよ」というと「乗せて、乗せて」って。あの頃は、クルマを持っている人のほうが少なかったからね。

最初の「シビック」、ワンダーシビックも引きがあった。「パジェロ」あたりからかな？ SUVが人気になったのは。一般の人にも「パジェロ」は人気あったよ。

由美　そんな中でも、ご自身はどんなクルマが好きですか？

テリー　ベンチシートのクルマは好きだな。1960年代のアメ車とか、15年ぐらい前にトヨタの「プロナード」っていうクルマがあって、それとか。コラムシフトのクルマも50年代の「アメリカングラフィティ」っぽくていいね。あと、アースカラーも好きだな。昔に「セラ」っていうドアが上に開くクルマを持っていて、ボディカラーが、中のシートも黄色いやつ。スズキ「カクタス」のコンバーチブルもティファニーブルーにして乗ってたよ。
 
由美　ティファニーブルーですか!? お洒落ですね！ テリーさんのクルマ選びに共通のこと、それはファッションにも言えるかもしれませんが、何かありますか？
 
テリー　おもしろいかどうか、ということかな。知り合いの店でカスタムしてる。性能にはさほど興味がないから、楽しいクルマが好きなんだよね。ウケるクルマが好き。それは、洋服もそうなんだけどね。

由美　ちなみに今まで、何台ぐらいのクルマに乗りましたか？
 
テリー　70～80台かなぁ。記憶が曖昧で、全部は憶えてないけど（笑）。
 
由美　助手席に乗せるなら、どんな女性がいいですか？
 
テリー　今だったら誰でもいいですよ（笑）。乗ってくれるなら、ありがとうございます！っていう感じだよね（笑）でも楽しくて、おしゃべりなコがいいな。他愛もない話をずっとしてくれるような、ね。でも、モテることだけを考えてクルマは買ってないんだよね。

以前、バイクにカップルで乗っているふたりを見た時に、バイクに乗っている人ってカッコイイなって思ったの。俺たちは、クルマで会話を楽しんだり、ヨコシマな気持ちがあるけど、彼らにはそれがない。純粋に海に行って帰ってくるというのを楽しんでいるからなぁと。で、自分もね、昔、実家で商売に使っていた軽自動車で女のコを乗せた時に、そのコはお洒落をしてきてくれたのに「楽しい♬」って言ってくれて。そういうコは、可愛く見えるよね。
 
由美　なるほど、深いですね。じゃあ、お気に入りのデートコースはありますか？

テリー　自宅が世田谷だから、だいたい横浜方面。横浜の大さん橋に週末の夕方なんかに行くとロマンティック。そして、デートって、行った先に大人のヒミツ基地があるといいよね。知り合いの古着屋さんとかに行って。ふたりで話しているより、ほかの人が入ると話が膨らむし。大さん橋の近くにある店は、昭和の横浜な雰囲気で最高なの。月に2回くらいは行ってるかなぁ。

ほかに、三浦半島だったら三崎はファンタジー。お蕎麦屋さんとかいいね。佐島のさびれた店とか、逗子、小坪漁港とか。切なさがあるのがいいね。神奈川以外なら軽井沢もいいし。箱根はカーブが多いからあまり行かない。ブレーキ踏むのが面倒だからさ（笑）。女のコとおしゃべりしながら、真っ直ぐ走るほうが楽しいもん（笑）。
 
由美　では、本題です。そんなテリーさんが今日ご紹介いただくクルマは何ですか？

テリー　ロンドンタクシー！
 
由美　え!? まさかの個人買い!? 新型の電気自動車ですか？
 
テリー　いや、前に買ったからガソリンエンジン。三菱エンジンのやつ。正規のものは日産エンジンらしいんだけど、三菱エンジンっていうのがおもしろそうだったから。でも走りはお世辞にも凄く良いとは言えないな、乗り心地も酔っちゃう人もいるしね。助手席は補助イスみたいだし、ハッキリ言ってデートには適さないクルマだね。今日はわざと絶対モテないクルマを持ってきた（笑）。女のコをドライブデートに誘うことに成功しても、たぶん1回しか乗ってくれないクルマ。
 
由美　それなのに、どこに惹かれているんですか？

テリー　なんか、つい「ただいま」って言いたくなっちゃうようなクルマだから。そうそう、あとはVWバギーとホンダ「ビート」も持ってるんだけど、どれも、それが言いたくなるんだよな。
 
由美　共通点は丸目でクラシカルなデザイン、ですね。
 
テリー　うん、そうだね。クルマは知識ではなく、直感で選んでるから。色もなるべくポップな色を選ぶよ。
 
由美　ファッションも、意外なカタチやデザイン同士の組み合わせなのに、合わせてみると“テリーさんスタイル”になりますもんね。そんなテリーさんとドライブしたら、楽しいんでしょうね！
 
テリー　ずっとしゃべってるよ。若いコがいま何に興味をもっているのか、何が話題なのか勉強になるし。そしてただひたすら口説いてる（笑）。しかもそれ、若い頃からまったく変わって、ないかもなぁ……(笑)。
 
一同　LEONですね～～～(笑)。