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2025.08.03

クルマはもちろん、ファッションからApple製品まで、僕が惹かれるブランドに共通するのは?

60歳台後半辺りまで。クルマに限らず、身につけるもの多くがプレミアム ブランドだったという筆者。でも今は大衆ブランドにもためらいはなく、クルマもまた、プレミアムに拘らず、コンパクトで洒落っ気のあるラテン系のブランドに惹かれてきたといいます。それらに共通するものを探ってみると……。

BY :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第263回

僕が「いいなと思うクルマ!」/その2 

イラスト 溝呂木 陽 僕が「いいなと思うクルマ
前回は「デザイン」の話をしたが、今回は「ブランド」の話をする。ブランドはデザインと多くの部分で重なり合い、加えて、歴史ともまた深く重なり合っている。

さらには、製品、あるいは商品の立ち位置 / ポジションを無言で物語るものでもある。

特に、長い時と共に歩み、弛まぬ進化を続けてきた、いわゆる「プレミアム ブランド」は、多くの人の心を惹きつけて放さない。

僕がプレミアム ブランドにもっとも拘りが強かったのは、30歳台後半辺りから60歳台後半辺りまで。クルマに限らず、身につけるもの多くがプレミアム ブランドだった。
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当然出費は嵩んだが、プレミアム ブランドを持つことへの拘りと喜びは大きかった。

ところが、60歳代半ば以降の僕は、デザインへの拘りこそ依然強いものの、プレミアム ブランドへの拘りはさほど強くはなくなった。

というのも、情報量が膨大になり、伝達速度も加速する一方の「IT時代」に入ってからは、新しいものへの認知度、理解度、馴染み度等が急速に高まったからだろう。

だから今は、例えば、ユニクロ、H&M 、ZARAといった、いわゆるファストファッションと呼ばれる大衆系ブランドに手を出すことにも、なんのためらいもなくなった。

いや、むしろ積極的になっているといった方がいいかもしれない。理由は簡単。デザインにしても、色味にしても、素材にしても、斬新な魅力を感じさせるものが少なくないからだ。しかも価格は安い。

靴にしても、かつては、イタリアの老舗ブランド、タニノクリスチー(すでに廃業しているが今も人気は高い)のエレガンスと品質にに入れ込み、ミラノに行く度に買っていた。
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だが今は、アメリカ生まれのコールハーンを愛用。新しいデザインが豊富なこと、「ゼログラウンド」と呼ばれる、革新的技術を取り入れた疲れない履き心地にハマっている。

ハマっているブランドといえば、多くの人たちも同じだろうが、Apple製品。

iPhoneは初代から最新のものまで、7台が手元に置いてある。iPhoneは、使ったものには愛着が出て、手放せなくなるためだ。

iPadも新旧合わせて5台ある。いろいろな使い分けと同時に、いろいろなケースやホルダー、スタンド等と組み合わせることで、部屋のアクセサリーとしても楽しんでいる。

PCはMac27と最新のMac24の2台を仕事机に並べて使っているが、画面の大きさと、画質の違いに合わせて、よりマッチする使い分けをしている。

音楽や映画を楽しむにはMac27が多く、スピーカーも外付けを組み合わせている。PCそのもののブランド感はやはりMac27が上だし、画面の大きさや画質の優しさも、エンタテインメントを楽しむにはより向いている。
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原稿は新しいMac24で書くが、音楽を聴きながら書くことも多い。

Mac27の画面中央にアルバムのジャケットをいっぱいに映しだし、時々眺めながら聴く。今はALICIA KEYSのVHI STORYTELLERRSを聴きながら、この原稿を書いている。

テーブルライトは、大好きなイタリアンデザインのアルテミデを長く使い続けている。

いざという時のフラッシュライトは、ポルシェ デザインのものがお気に入り、、だが、これらはほんの一例に過ぎない。

僕の仕事部屋は、僕の好きなデザインとブランド(「プレミアム の肩書き」の付かないブランドにも、好きなものはいっぱいある)で埋まっている。

といったことで、小さなものにまで、デザインとブランドへの拘りは強いのだが、これは僕にとってはとても楽しいことであり、ハッピーなことでもある。

話は横道に逸れてしまったが、クルマとブランドの話に戻そう。
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クルマのブランドと言えば、まず触れなければならないのはメルセデス ベンツ。これに異論を挟む人は少ないだろう。

クルマにほとんど興味のない人でも、「スリーポインテッドスター」のバッジを見れば、なんらかの敬意の念を抱くに違いない。

メルセデス ベンツの歴史はクルマの歴史そのものとも言えるし、その歩みが遺してきた物語を振り返るほど、クルマというものの奥行きの深さを知ることにもなる。

現役時代、メルセデス ベンツとの関係はかなり密で、多くを教えてもらい、多くを経験させてもらった。

なかでも、「人間研究=人間を知ること」が彼らのクルマ創りの核心であることに気付いた時から、敬意の念はより強く深くなった。

僕はメルセデス ベンツが好きだし尊敬もしている。だが、自分の愛車にしたのは初代SLKのみ。自動開閉式ハードトップを本格的に採用した世界初のクルマであり、同時にコンパクトだったこともあって買った。
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好きなのにSLK以外に買わなかったのは、僕の趣味嗜好、ライフスタイルに馴染まないから、、。別の言い方をすれば、メルセデス ブランドの重厚さは、僕には上手く着こなせないと思っているからだ。

今は、A、Bクラスといった、気楽に乗れるモデルもある。だが、長くメルセデスに接してきた僕の感覚/価値観には、伝統を深く受け継いだ上位モデルの持つ、重みと厚みと深みのあるブランド感しか受け入れにくい。

もし、どうしても、、といったことにでもなったら、僕は4代目のCクラス ステーションワゴンを選ぶだろう。伝統は受け継ぎながら「重すぎもせず、軽すぎもせず」、、僕でもなんとか着こなせそうに思うからだ。

同じドイツ生まれのプレミアムブランドでも、BMWとアウディは近付き易く、何台も持った。ただし、上級の大型モデルとなると、やはり気楽には受け入れられなくなる。

なので主にCセグメントモデルに乗った。僕が164cm、家内が153cmと、共に小柄なことも、サイズの大きい上級モデルを受け入れ難かった理由のひとつだったかもしれない。
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そんなことからか、僕も家内もコンパクト系を好み、結果的にドイツ車ならCクラスサイズのモデルに、そして、イタリア、フランス 車ならBCクラスに多く乗ることになった。

ラテン系ブランドにはコンパクトで洒落っ気あるデザインが多く、ファッションとの組み合わせも楽しめる。ブランド感としては軽い感じだが、そこがまた好きなのだ。

ミニもコンパクトだがブランド力は高い。わが家のミニは2代目の特別仕様車で、クーパーS ハイゲート コンバーチブルとクーパー ベイズウォーターの2台を同時に持った。

とくにチョコレート色のベイズウォーター コンバーチブルのブランド感は高く、僕の感覚ではメルセデスやBMWの中級クラスと並んでも、なんの引け目も感じなかった。

VWゴルフも好きだが、僕が愛するブランドはGTIに限る。それも、初代、2代目、6代目、7代目の4世代に絞られる。

歳を重ね、仕事を「好きなものだけに絞る」という我儘をさせていただくようになってからは、所有台数は1台に減らしたが、その最初のクルマが7代目GTI パフォーマンス。
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ホットだが同時に洗練された走り味/乗り味をも味わわせてくれる。コンパクトとしてはもっとも魅力的なブランドの1台だった。

ブランドといえば、ポルシェを外すことはできない。僕もむろんポルシェ ブランドは大好きだし、もっとも敬意を抱くブランドだ。

今もほしくてしょうがない。、、が、悲しいかな、後期高齢者の僕と家内にとって、最新の911は少し大き過ぎる。かつて「最高にお気に入りだった964」サイズの911が出たら、僕はすぐ販売店に駆けつける。

ポルシェ 356も好きだ。明るいブルーグレーの356 カブリオレにH&Mのファションを組み合わて乗ったら、きっとカッコいいだろうな、、といった妄想を巡らせることも多い。

すでに触れたように、現代のブランド価値の定義は、より幅広くなっている。

プレミアムなブランドに強く惹かれる僕がいる一方で、プジョー e208なるフランス大衆ブランドのEVに強く惹かれる僕もいる。
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短期間での乗り換えがほとんどの僕としては異例の5年近くも乗っているのに、プジョー e208には未だ惚れ込んだままなのだ。

つまり、僕の感性を惹きつけ、楽しませ、ハッピーなライフスタイルを持ってきてくれるものでさえあれば、僕には「魅力あるブランドであり、価値あるブランド」なのである。

これはクルマだけではなく、すべてのものにほぼ共通して当てはまる僕のブランド観だ。

あちこち飛び回るような、散漫な記事になってしまったが、僕のブランド観に頷いてもらえたらうれしい!!
岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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