2017.08.09

植木、風鈴、打ち水…東京ダウンタウン、夏の処し方・楽しみ方

NY帰りの写真家が下町を歩いてカルチャーショックを受けた、路地裏の庭園

文/秋山 都
連日30度以上を記録する猛暑日が続いています。我が家はエアコン27℃設定でつけっぱなしにしていますが、室外機がヒートアイランド現象を加速化しているという皮肉。東京の年平均気温は100年前から比べると2.47℃上昇しており、8月に限ってみれば、気象庁が観測を始めた1875年(明治8年)は平均24.9℃というからかなり過ごしやすそうですね。
 
それにしたって夏は暑かったことでしょう。いまのようにエアコンや冷蔵庫の無かった時代、江戸城のお殿様は富士の氷穴から氷をお取り寄せしたというけれど、庶民はどのように涼をとっていたのでしょうか。
そのヒントは当時の風俗を写した浮世絵にありました。「東都両国の夕涼み」という3枚続きの一作からは当時の涼のとり方を探すことができます。

・夕涼み 人々は温度が落ちる夕方になると縁台に座り、涼んだ
・川辺 水辺を渡ってくる風は涼しい
・花火 空に咲く大輪の花火を見て、人々は暑さを忘れた
・団扇 絵柄も涼しげな団扇や扇子を持ち歩いた
・虫聴 虫かごには松虫や鈴虫など涼しげに鳴く虫を入れ、その声を楽しむ
広重作「王子滝の川」(国立国会図書館)
広重作「王子滝の川」(国立国会図書館)
同じように「王子滝の川」では水浴びならぬ、滝浴びして水遊びに興じる人の姿が。川床を作って酒食を楽しむ人とともに現代とさほど変わりません。
広重作「東都入谷朝顔」(国立国会図書館)
広重作「東都入谷朝顔」(国立国会図書館)
そしてもうひとつの重要なヒントがこちら。入谷の朝顔を描いた一枚です。「段々に夏の夜明けや人の貌(かお)」という小林一茶の一句があるように、この時代の人々は夏、早寝早起きして時間を有効に使ったもの。その早朝を艶やかに彩る朝顔は、江戸の人々の夏の楽しみでもありました。
 
入谷の朝顔は今も名物であり、毎年7月に行われる朝顔市は早朝、というか深夜から朝顔を求める人々で賑わっています。
「日本の人はすごく植木が好きなんですね」と驚いているのは高木康行(Yasuyuki Takagi )さん。1993年から2014年までNYで過ごし、3年前に帰国したフォトグラファーです。高木さんは主に東京・下町を舞台に、日本の軒先に置かれた植木や小さな庭園を撮影。海外ではなかなか見ることのできない「路地裏の庭園」は主にフランスやアメリカのエディター、キュレーターたちから大きな注目を集めました。
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