2016.04.08

時計を工芸品として改めて考える Vol.02

細やかな細工を生み出す伝統の彫金技術

伝統工芸のなかでは、「彫金」は比較的目にすることが多い技術だ。

特にジュエリーの世界ではかなり需要が多く、専門教育も充実している。

とはいえ時計の場合は非常に繊細な仕上げを求められるため、格が高い。

Chopard[ショパール]

繊細な技法と素材で繊細な時計を作る

L.U.C XPS 35㎜ エスプリ ド フルリエ/552万円

ブリリアントカットのダイヤモンドとブルーのマザーオブパールのダイヤルをもつ、可憐なレディスウォッチ。超薄型の自社製ムーブメントを搭載しているので、ケース厚も7.1㎜しかなく、繊細な美しさがある。自動巻き、18KWGケース(35㎜)、アリゲーターストラップ。世界限定25本/ショパール(ショパール ジャパン プレス)


伝統技法を生かすムーブメントの構造:ムーブメントを隠さないマイクロローター式を採用したため職人が心を込めて彫ったフルリザンヌ彫刻がよく見える。

金属の彫刻である“彫金”は、ビュランという道具を使ってムーブメントやケースに装飾を行う技法。金属器の誕生とともに生まれた装飾技法であり、歴史も伝統もとにかく古く、時計に対しても、黎明期から使用されている。懐中時計時代はケースや風防カバーを装飾したが、腕時計の時代になるとムーブメントに彫金を行うことが増えており、スケルトンムーブメントの細いブリッジに対して精密な彫り込みを施しているモデルもある。

ここもマニュファクチュール

■左:伝統を守るため、社内で職人を育成している。■右上:ショパール マニュファクチュールが拠点を構えるフルリエに伝わる伝統技法「フルリザンヌ彫刻」。■右下:ほとんど見えない場所にも彫金する。

職人は顕微鏡を覗きながら作業するが、薄くて繊細なパーツに対して刃物を使って彫り込むため、極めて高い技術を要する。しかも一発勝負でやり直しがきかないので、どれもが一点モノの価値をもつ。彫り込む模様は自由度が高いので、時計の世界観を反映させた個性を出しやすいのもポイントだ。

 

Vacheron Constantin[ヴァシュロン・コンスタンタン ]

歴史と格式の高さを表現するための装飾

メティエ・ダール・メカニカル・グラヴェ/1035万円

伝統技法は積み上げてきた歴史の証明。このアカンサスの葉の彫金は、同社が創業当時から用いてきた伝統技法である。この彫金をムーブメントの両面に施しているだけでなく、ジュネーブ・シールまで取得済みという高品質モデルだ。手巻き、Ptケース(39㎜)、アリゲーターストラップ。ブティック限定/ヴァシュロン・コンスタンタン

薄型だから難しい:複雑な模様を、丁寧に彫り込んでいく。パーツの厚みは1㎜に満たないため繊細な技術が必要とされる。

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