2015.10.08
キーパーソンから2015年のゼンマイ動向が見えてきた
そして最後に、ジュネーブサロンの4人のキーパーソンたちにブランドの哲学や今年の新作などについて聞いたインタビューをご紹介。これらを読めば各ブランドの魅力がよりよく理解できまた2015年の高級時計の動向も見えてくる。ゼンマイ好きであれば必読なのですよ。
オーデマ ピゲ CAO(Chief Artistic Officer)
オクタヴィオ・ガルシア
「歴史と伝統と文化とを正しく受け継ぎ正確に美しく体現し未来を反映する」
そしてそのモデルが未来を反映していることもとても重要です。そんなことから今年は伝統的なミニッツリピーターをオーデマ ピゲの革新的デザインのモデルである「ロイヤル オーク コンセプト」で制作。
リピーターの音量と音色を科学的に解析し数値化するなど最先端技術を駆使し、さらに弦楽器製作の原理を適用することでヴァイオリンのような心地よい音を実現しているのが特徴。その音を大きく美しく響かせるためにケースをチタニウムにしているのも特筆点です。
ロジェ・デュブイ プロダクトデザインディレクター
リオネル・ファーブル
「ほかのどのブランドの時計にも似ていないオリジナリティをもつこと」
そこで今年のテーマに選んだのが「スケルトン」です。なぜならばムーブメントを精巧で精緻なスケルトン加工にすることはロジェ・デュブイのもっとも得意とする、つまりはもっとも「ロジェ・デュブイらしい」といえるものであるから。
そしてそんなスケルトン加工をケースやラグにも施した最新進化形の新コレクションが「エクスカリバー スパイダー」。まさに他の追随を許さない独自性と特別な美しさをもった、ロジェ・デュブイの新しいアイコンなのです。
IWC クリエイティブディレクター
クリスチャン・クヌープ
「ポルトギーゼのデザインコードを重視し つつニューモデルを展開」
ポルトギーゼはIWCのなかでもっとも古く、そのオリジナルのデザインを継承したのが、新コレクションの特徴。またポルトギーゼで初のアニュアルカレンダーモデルが登場したのも重要な点。
というのも、当然ですが、月・日・曜日の3つを表示したポルトギーゼはこれまでになく、だからそれをポルトギーゼのデザインコードで表現したのがこのモデルの見ドコロ。月・日・曜日のすべてをリュウズで操作できるのも長所です。
リシャール・ミル マーケティングディレクター
ティム・マーシャル
「クオリティを保つためには数に限界があることを理解する必要がある」
そしてそれらのモデルを各国に配分するのが私の仕事。生産計画も私の仕事ですが、リシャール・ミルはクオリティを最重要とするため、安易に生産数を拡大することはしません。
それとリシャール・ミルには多くのパートナーがいますよね。その人選をするのも私の仕事。各スポーツで活躍するアスリートを、1競技につきひとり選ぶのが基本。
いま現在は15人で、すべてのパートナーと顔を合わせるなど緊密な関係を築くには、この人数が限界かも。などと、いろいろな仕事が私の役目なのです。
文/福田 豊
2015年4月号より抜粋