2026.09.17
秋の夜長、バーのなかで夢を見よう「bar hotel箱根香山」滞在記
酔いどれの夜には、たいてい少しの後悔がつきもの。けれど、帰らなくていい場所なら話は別です。箱根の森に佇む「bar hotel 箱根香山」では、グラスを重ね、湯にほどけ、また一杯とおかわりが続くのが正解。さ、大人だけに許された、甘美な夜更かしへ。
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文/赤松いづみ
もし、酔いどれの夜が“正解”になる場所があるなら。
大人であれば誰でも一度や二度ある「あれ、昨日どうやって帰ったんだっけ……」という体験。楽しくて、そしてお酒が美味しくてついつい1杯2杯と進んでしまい、その後の記憶はあやふやに、てな展開でしょうが、そのエピソードにはどうしても反省が伴うもの。
では、もし酔いどれの一夜を後悔ではなく正解とする場所があるのなら──。今回ご紹介したいのが、箱根の森にひっそりと佇む「bar hotel箱根香山」。その名のとおり「バーに泊まる」ための一軒。到着するやいなや、冷えたシャンパーニュでお出迎え。生ビールもワインも、ウイスキーから数百種のカクテルまで、ひと晩中フリーフローというから驚きです(一部有料)。

▲ 到着の合図は、この一杯のシャンパーニュから。
大人の休日は昼下がりから。
チェックインは通常18時ですが、大人は時間の使い方が上手いもの。この宿では1名3000円で15時からラウンジを利用できるのです(期間限定)。まだ客室には入れませんが、入室のお楽しみは後において、旅の慌ただしさからひと息入れるのなら十分。西日に染まる景色を肴に、少し早い時間にグラスを傾ける贅沢は、時間の使い方を心得た者だけの特権です。ここから翌14時まで、実に最長23時間。箱根の秋をたっぷり。持て余すほどの時間の余裕がここにはあるのですから、ね。

▲ 陽のあるうちのエントランス。急がないのが、大人の流儀というもの。
85平米の極上空間は、二人で心地よく酔いしれるために
今回のお部屋は、シャンパーニュ文化が花開いたベル・エポックの気配をまとう85平米の「シャンパンスイート」。窓の向こうには箱根の稜線が広がり、部屋の一角には魅惑のバーキャビネットが鎮座します。寝酒も、迎え酒も、手を伸ばせばすぐそこにある幸せ。飲みすぎを戒めるだけの分別など、ここには最初から出番がないのです。

▲ 85平米のシャンパンスイート。

▲ 手の届くバーキャビネットは飲兵衛の夢。
秋の夜長は、魅惑のカクテルで深まって
日が暮れたら、いざカウンターへ。この夜は一夜限定のバーイベントを実施していました。主役は、CAMPARIのリキュールと、クラフトジンLUOが生み出す特別なカクテルたち。「Feel Shibuya in Hakone」なる一夜限りのイベントで、渋谷の会員制のカフェ&バーUninにまつわる一杯を箱根の静寂で提案するという趣向です。
路上飲みカルチャー「ワンカン」をカクテルに落とし込んだ“THE ONE CAMPARI SOUR”や、オリーブが潜む“SHIBUYA DIRTY MARTINI”、さらには闇に発光する“N.H.K.”に、ハチ公にちなんだ“Hachi-Presso Martini”などなど。その土台を支えるのが、CAMPARIと遊び心あふれるクラフトジン「LUO」。
▲ 紫蘇、ローズ、カンパリが薫る“THE ONE CAMPARI SOUR”。
▲ ピートが効いたオリーブが潜む“SHIBUYA DIRTY MARTINI”。
▲ 闇に発光する“N.H.K.”。都会のネオンを、一杯に閉じ込めて。サウナ後の定番ドリンク「オロポ」風味を感じるテイスト。
▲ 忠犬ハチ公にちなんだ“Hachi-Presso Martini”。渋谷のおみやげ「ハチ公せんべい」とのペアリングで。
▲ 舌休めには、南国気分のピニャコラーダを。

▲ 紫蘇、ローズ、カンパリが薫る“THE ONE CAMPARI SOUR”。

▲ ピートが効いたオリーブが潜む“SHIBUYA DIRTY MARTINI”。

▲ 闇に発光する“N.H.K.”。都会のネオンを、一杯に閉じ込めて。サウナ後の定番ドリンク「オロポ」風味を感じるテイスト。

▲ 忠犬ハチ公にちなんだ“Hachi-Presso Martini”。渋谷のおみやげ「ハチ公せんべい」とのペアリングで。

▲ 舌休めには、南国気分のピニャコラーダを。
強いお酒に少し疲れたら、ピニャコラーダなんかも飲んじゃって……。
夜の締めくくりは、二人だけのプライベートスパで“ととのって”
そしてこの宿の隠し玉が、貸切の「private spa & bar」。温泉にサウナ、水風呂を、90分まるごとふたりで独占できるのです(1万5000円)。しかもバースペースのお酒はこちらもフリーフロー。
オリジナルのサウナハットに、ととのい椅子まで完備されているのだから、湯とサウナを往復しながらもグラスは手放せません。火照った素肌に、ふたりで泡を乾杯……。ちなみに、バースペースにはお酒のほかにお水やポカリスエットなんかも。ほろ酔いスパ後に染み渡る水分の美味しさ、ぜひともお試しいただきたい。

▲ 温泉・サウナ・バーを二人で貸切る private spa & bar。
サウナ上がりに、スパイスの効いた〆の一皿を
サウナでたっぷり汗をかけば、不思議と小腹が減るもの。再びカウンターへ戻り、スパイスの効いたカレーをひと皿オーダーしてみましょう。とろりと絡むルウを白飯でかき込めば、火照った身体の芯まで満たされるはず。夜はまだまだ、寝るには早すぎますからね。

▲ 汗をかいたあとの、絶品な〆の一皿。
最後の一杯はバーテンダーに身を委ねて
「いま、いいマンゴーが入っていますよ、カレーに合うと思います」。カウンター越しのバーテンダーからの提案に、抗う理由なんてありません。旬の果実をたっぷり搾り、ヨーグルトのリキュールを使ってラッシーのごとくまろやかに仕立てた一杯は、カレーとの相性抜群。満ちたお腹と、ほどけた気分。飲み干す頃には、まぶたもすっかり重くなっているはず。あとは、極上のベッドへ倒れ込むだけでいいのです。

▲ 旬のマンゴーで作る、カレーとのペアリングな一杯。
翌朝の目覚めも、麗しき“泡”でスタート
翌朝、二日酔いの代わりにあるのは、清々しい空腹感だけ。朝食には、なんとも贅沢なシャンパーニュがフリーフローで楽しめるビュッフェが付いてきます。朝から泡を注ぐ後ろめたささえ、ここでは堂々と“正解”と呼べる。彩り豊かな前菜をシャンパーニュで流し込み、締めには香ばしい鮭の出汁茶漬け。さらりと喉を通る一椀が、昨夜の甘い余韻をゆっくりと解きほぐしてくれますよ。

▲ 朝からシャンパーニュがフリーフローの贅沢ビュッフェ。

▲ 朝ごはんのメインは、鮭の出汁茶漬けでほっこり。
チェックアウトは14時。名残惜しい時間は冷たいコーヒーとともに
昼の光が差し込むバーは、夜とはまるで別の顔を見せてくれます。山の緑を眺めつつ、冷たいコーヒーでゆっくりと一日を起こす時間。名残を惜しむように、最後の一杯まで席を立てない。極上のカクテルに溺れる一夜を、後悔なく正解と呼べるなら、「また来たい」ときっと思ってしまうはず。

▲ 去りぎわの一杯は、キリッと冷たいコーヒーで。
秋の夜長を彩る、“食べる芸術”なる特別ディナーも必見です
最後にもうひとつ。この秋、こちらの宿では「箱根×秋×芸術」と題した特別なディナーコースが用意されています。寄木細工を写した箱根山麓豚のテリーヌや、ニュートンのリンゴを模したデセールなど、名画や芸術に着想を得た“食べる芸術”に、一皿ごとのペアリングを添えるという心憎い趣向。

▲ 寄木細工を写した、箱根山麓豚のモザイクテリーヌ。

▲ ニュートンのリンゴを模した“リンゴのシブースト”。
系列の酒蔵の日本酒を凍らせた“氷降酒”など、お酒好きの探究心もくすぐるラインナップです。全6品・全7品、金・土・日・祝の1日3組限定。滞在にさらなる物語を重ねたい夜には、ぜひこちらもリザーブを。
■ bar hotel箱根香山
住所/神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷507-4
TEL/0460-82-0111
料金/「宿泊」5万8800円~(1室2名利用、フリーフロー・朝食付き)
「private spa & bar」 90分1万5000円
「秋のカクテルペアリングディナー」
・季節のスペシャルディナー全6品&ペアリング 1名4万5000円〜
・生粋かながわ牛サーロイン全7品&ペアリング 1名4万8000円〜
※〜2026年11月29日の金・土・日・祝、2階ラウンジ、1日3組限定。
(税・サービス料込、宿泊料金含む)
「チェックイン前ラウンジ利用15:00〜」1名3000円(期間限定)
チェックイン18:00、チェックアウト14:00
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