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2026.04.22

バンコクをもっと好きになる。「アマン ナイラート バンコク」というサンクチュアリへ

近年、旅して楽しい都市の筆頭といえばタイ・バンコク。街の熱量に比例するように、ホテルシーンも盛り上がっています。なかでも2025年、ひときわ話題をさらったホテル、「アマン ナイラート バンコク」を訪ねました。

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文・写真/山路美佐 編集/森本 泉(Web LEON)

タイといえば、1988年にアマン第一号が生まれた“故郷”。そんなアマンにとって特別な国に、東京、ニューヨークに続く、アマン第三の都市型ホテル「アマン ナイラート バンコク」 が誕生しました。

バンコクをもっと好きになる。「アマン ナイラート バンコク」というサンクチュアリへ
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アマンマジックは空港へ降りた瞬間から始まる

アマンジャンキーという言葉があるように、数あるホテルのなかでもアマンはちょっと特別な存在。私自身、アマンという響きを聞くだけで、今すぐ飛んでいきたい!という高揚感に包まれます。サンスクリット語で「平和なる」という意味の名を持つホテルに一度でも訪れたことがある人なら、きっと共感してくれるのではないでしょうか。


私がアマンマジックにかかったのは20年前、バリ島でのアマンホッピングが最初でした。空港でお出迎えにきてくれた真っ白な制服のバトラーに案内されクルマに乗った瞬間から、アマンの洗練されたホスピタリティと美意識を感じ、これから始まる旅の予感に胸を躍らせた瞬間は今でも忘れられません。

 「アマンナイラートバンコク」は、2泊以上すると空港までの送迎がサービスされる。©️AMAN

▲ 「アマンナイラートバンコク」では、2泊以上の宿泊や部屋のカテゴリーによって空港までの送迎がサービスされる。©️AMAN

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バンコクでのアマンジャーニーもまた、空港に到着した瞬間から始まります。タラップを降りた先でゲストを待っているのは空港スタッフ。混雑する入国審査を横目に“ファストトラック”で優先手続きをしてスムーズに外へ。お迎えに来ているリムジンのドライバーに促され心地よいシートに身を沈めた瞬間、ああ、アマンに来たなと感じるのです。

バンコクの中華街近辺はローカルな雰囲気も残りつつ、おしゃれで面白い店も多数誕生している今注目のエリア。

▲ バンコクの中華街近辺はローカルな雰囲気も残りつつ、おしゃれで面白い店も多数誕生している今注目のエリア。

窓の外には、タイ独特の熱と湿気を帯びた街並み。クルマの間をすり抜けるバイクのクラクションの音や屋台の賑わい。ガラス一枚の向こう側の車窓はまるで映画のワンシーンのように流れていきます。近年、ややエスカレート気味の渋滞に巻き込まれたとしても、アマンの空気が漂う車内であれば、むしろそれすら旅の醍醐味に思えてきます。

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バンコクに、100年続く緑が残っていた理由

この渋滞問題もあるため、バンコクではビジネスでもバカンスでも、宿泊するエリアがとても重要。トラムや地下鉄の駅も近く、歩ける範囲にショッピングセンターも多いプルンチットエリアは、どちらのニーズだとしてもおすすめです。高層ビル群の間をトラムが通り抜ける近未来的な風景が印象的な便利なエリアに、「アマンナイラート バンコク」は建っています。

緑地の中に建つ、アマン ナイラート バンコク。©️AMAN

▲ 緑地の中に建つ、アマン ナイラート バンコク。©️AMAN

ところがホテルに足を踏み入れた瞬間、そんな都会の喧騒はすっかり忘れてしまうのです。ホテルが建つのは、かつてのバンコクを思わせる、熱帯特有の木々が自由に枝を伸ばす緑地。ビル群がひしめく一本裏にこんなに緑豊かでピースフルな場所が残っていたのかと、思わず驚いてしまいました。


実はこのアマンが立つ敷地は、タイのさまざまなカルチャーを作ってきた名家・ナイラート家のかつての自宅が残る私有地なのです。

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1915年に建てられた、ナイラート家が住んでいた家を見下ろして。©️AMAN

▲ 1915年に建てられた、ナイラート家が住んでいた家を見下ろして。©️AMAN

一族の始祖、Lert Sreshthaputra氏——通称「ナイラート」は1872年生まれの実業家です。タイに初めて「氷」をもたらし、アイスレモネードやコーヒーを広め、バンコク初の公共バス「ホワイトバス」を走らせた、まさにタイ近代化の立役者。ペットはまさかのヒョウ。いろんなことが自由で面白い人物だったんだろうなと想像しちゃいます。

博物館内に残るナイラート氏の肖像。

▲ 博物館内に残るナイラート氏の肖像。

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さらにすご腕のビジネスパーソンが、彼の娘、レディ・ラ・ソンという女性です。26歳という若さで家業を引き継ぎ、政府機関での勤務を経てタイ初の女性公共交通大臣に就任。祖父が築いた交通事業の思想を、国家レベルで実現します。そして、ナイラート家が所有していたヒルトンホテルの運営にもその手腕を発揮。 2010年に亡くなった後は、住んでいた自宅が博物館として公開されました。所有する広大な敷地は「ナイラートパーク ヘリテージ ホーム」として現代は4代目となる女性が管理しています。


ナイラート家は代々、この場所を購入したいとさまざまな人が申し出ても、その度に断ってきたといいます。けれど創業以来、その土地の自然環境に配慮し、伝統文化を尊ぶことを理念としてリゾートを展開してきたアマンとなら、この土地に眠る家族の物語と融合し共鳴できるのではと考え、ホテルの建設に踏み切ったのだそうです。


アマンナイラートバンコクのロビー。天井が高く、開放感がある。水盤の上には、真鍮製のチャムチュリーの彫刻が。©️AMAN

▲ アマンナイラートバンコクのロビー。天井が高く、開放感がある。水盤の上には、真鍮製のチャムチュリーの彫刻が。©️AMAN

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ナイラート家の別邸に、招かれたような滞在

だから、このホテルにはナイラート家への敬意がそこかしこに散りばめられています。


例えば、ロビーにそびえる12メートルの真鍮製ツリー彫刻は、パーク内に実在するチャムチュリーから着想を得たもの。6,000枚の手製金箔が金から黒へとグラデーションを描くアートは、シックなフロアに静かな躍動感をもたらしています。チェックイン前に通るアトリウムの漆喰パネルに刻まれた曲線は、実はナイラートの祖母の「指紋」(!?)を拡大したものです。

公園側のプレミアムスイート。天井から床まで大きな窓が切られており、開放抜群。

▲ 公園側のプレミアムスイート。天井から床まで大きな窓が切られており、開放的。

52室ある客室は、すべてスイートルーム仕様。なんと一番小さな部屋でも94㎡とバンコク最大級の広さ。大きく開かれた窓からは公園の緑が借景となっていて、街中とは思えないのんびりした風景に和みます。部屋にはいわゆる開閉式のドアがなく、屏風のような可動式ライトパネルでバスルーム、ベッドルーム、リビングルームがゆるやかにつながっているため開放感抜群。


さらにアルコールを含むミニバーは宿泊フィーにインクルーシブですから、余計なことを考えずに好きなようにくつろぐことができます。部屋で滞在すればするほど高まる心地よさ。まるでナイラート家が、ゲストのために用意した別邸に招かれたような感覚に包まれました。

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エントランスすぐのドレッシングスペース。この広さ、わかるだろうか。両側はそれぞれクローゼットになっていて、カップルで訪れても喧嘩をすることなく占領できる。

▲ エントランスすぐのドレッシングスペース。この広さ、わかるだろうか。両側はそれぞれクローゼットになっていて、カップルで訪れても喧嘩をすることなく占領できる。

卵のシェルのようなユニークなバスタブ。扉を開け放ってお風呂に浸かれば外の緑を眺めながら入浴ができる。黒い扉の向こう側がシャワールーム。瞑想できそうな暗さのレインシャワーで熱帯のリゾートらしさを感じる。

▲ 卵のシェルのようなユニークなバスタブ。扉を開け放ってお風呂に浸かれば外の緑を眺めながら入浴ができる。黒い扉の向こう側がシャワールーム。瞑想できそうな暗さのレインシャワーで熱帯のリゾートらしさを感じる。

ちなみに、このホテルにはドッグフレンドリールームがあるのですが、そこにもレディ・ラ・ソンへのオマージュが。大の犬好きだった彼女は26匹の犬を飼い、それぞれに“番号”の名前をつけて可愛がっていたそう。なかでも11番が彼女のお気に入りだったことから、ペットフレンドリールームには「Jed Nee」——タイ語で「11」という名前が付けられています。

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注文したのは、ナイラート家の紅茶タンクをモチーフにした可愛い酒器で注がれるノンアルコールマテイーニ。

▲ 注文したのは、ナイラート家の紅茶タンクをモチーフにした可愛い酒器で注がれるノンアルコールマテイーニ。

このレディ・ラ・ソンの逸話はまだまだあります。17時になると毎日庭で犬を傍にジントニックを一杯飲むのが習慣だったそう。91歳まで、自身のルーティンは崩さなかったそうですから、本当にカッコ良すぎます。そんなストーリーを追体験すべく、夕方にロビーフロアのバーでジントニックを飲んでみるのも良いかもしれません。

アマンラウンジではジャズの演奏なども行われる。©️AMAN

▲ アマンラウンジではジャズの演奏なども行われる。©️AMAN

夜は19階のアマンラウンジへぜひ足を運んでください。というのも、宿泊ゲストや会員制アマンクラブメンバーが優先で利用できるこちらは、ニューヨークとバンコクのみにある特別な場所。ナイラートパークを一望しながらジャズの音色に身を委ねる夜は、古き良きタイの優雅な時間を想起させます。注文したカクテルには、ナイラート家の家紋がスタンプされた氷が。これはナイラートがタイに初めて「氷」をもたらした人物であることへのオマージュです。

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ラウンジで楽しめるカクテルの氷にも土地の歴史を刻んで。

▲ ラウンジで楽しめるカクテルの氷にも土地の歴史を刻んで。

シガー好きなら、カウンター後ろにひっそりとある扉をお見逃しなく。隠し部屋のようなシガーバーには世界から集めたシガーがずらり。ここでは「食後に一本燻らす大人の楽しみ」が待っています。

バンコクの夜景を眺めながら、ゆったりとシガーを楽しめる知る人ぞ知る場所。

▲ バンコクの夜景を眺めながら、ゆったりとシガーを楽しめる知る人ぞ知る場所。

トリニダッドほか最高級のシガー銘柄がいくつも揃う。

▲ トリニダッドほか最高級のシガー銘柄がいくつも揃う。

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都会の空の下で王様のようにくつろぐ

部屋でくつろぐのもいいけれど、こちらのホテルの“ベストリラックスプレイス”はなんといってもプールです。空中庭園のように広がるこのプールは驚くほど静かで、まさに都会の知られざるサンクチュアリ。地上15mまで伸びる背の高いシンボルツリーがプールに木陰を作り、力強い太陽の光を心地よくさえぎってくれます。いや、湿度の高いバンコクの街中で、ほてった体をクールダウンするのにここほど素敵な場所はないでしょう。ときには珍しい鳥も枝に羽を休めにやってきて、可愛いさえずりを聞かせてくれます。

樹齢100年以上のソンポンツリーを切ることなく、生かして設計されたプール。

▲ 樹齢100年以上のソンポンツリーを切ることなく、生かして設計されたプール。

プールに設置されたデイベッドに体を横たえて、愛するパートナーと読書をしたり昼寝をしたり。ここは時間を忘れて思う存分リラックスして。喉が渇いたら、プールバーでシャンパンを、小腹が空けばスナックをと、あれこれ注文すれば、すぐにプールのスタッフが用意してくれるので、思い切り甘えましょう。

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人もあまり多くないので、静かにゆっくりとくつろぐことができる。©️AMAN

▲ 人もあまり多くないので、静かにゆっくりとくつろぐことができる。©️AMAN

客室階からは、ロビーを通らずとも行ける専用エレベーターで。水着の上にバスローブをはおったラフな姿で客室から行き来できるので、他人の目を気にしなくてOK。そのままスパへ直行してゆっくりとバスに浸かるのもおすすめです


スパといえば、こちらの「アマン・スパ&ウェルネスセンター」は特筆すべき充実ぶり。総面積1500㎡、2つのフロアにまたがるウェルネス専用スペースがあるのです。8階の「メディカル ウェルネス バイ ヘルティチュードクリニック」では、市内有数の美容クリニックと提携して、医療美容トリートメントを提供。10階にはホリスティックなアマン・スパがあり、個人のニーズに合わせてさまざまな方法で包括的なウェルネスプログラムを受けることができます。 体のメンテナンスを目的に数日滞在するビジネスパーソンも多いというのも納得です。

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サウナは三人くらいまでなら心地よく過ごせる広さ。昼と夜とでは窓の外の表情も全く違うので時間を変えて訪れてみても。

▲ サウナは三人くらいまでなら心地よく過ごせる広さ。昼と夜とでは窓の外の表情も全く違うので時間を変えて訪れてみても。

また、いつでも気軽に楽しめるビューバスならぬビューサウナは、サウナーでなくてもぜひ訪れてほしい場所。バンコクの街を眺めながらの“ととのう”のはまた格別です。しっかりと冷たいブランジプール、スチームサウナも完備されているので、時間をかけて楽しんでください。

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隣に残る、古き良きバンコクを訪ねて

時間があれば、ぜひホテルに隣接する、ナイラート家の元邸宅、ナイラートパークヘリテージホームを訪ねるのもおすすめ。1915年に建てられたチーク材の家には、かつてタイにさまざまなカルチャーをもたらした一族の記憶が今も息づいています。レディ・ラ・ソンが愛した庭、彼女が毎夕歩いた小径、ヒルトン時代のロイヤルスイートのベッド——博物館というより、誰かの暮らしの続きがそこにあるような場所を訪れれば、古き良きバンコクの風景が自然と脳裏に浮かんできます。

ナイラート家の歴史をたどるツアーへの参加は、ホテルで申し込みできるので、ぜひ相談を。

▲ ナイラート家の歴史をたどるツアーへの参加は、ホテルで申し込みできるので、ぜひ相談を。

ガーデンには、レディ・ラ・ソンのレシピのかき氷や家庭料理などが食べられるレストランも。気分を変えて、ここで彼女とランチを楽しむのもアリです。


百年の歴史と記憶に包まれた「アマンナイラートバンコク」は、バンコクのど真ん中にあるエアポケットのような場所。そこで古き良きバンコクへ連れて行かれるような滞在は、リバーサイドや、摩天楼の中のラグジュアリーホテルとは全く違う、ここだけの時間が流れていました。

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朝食も宿泊費に含まれている。タイ風オムレツやセンレック・ナーム(タイ風ラーメン)などのローカルなものから、アボカドトーストなどの洋までバラエティ豊か。ビュッフェではないが、気になったものは相談すると量を調節して運んでくれる。

▲ 朝食も宿泊費に含まれている。タイ風オムレツやセンレック・ナーム(タイ風ラーメン)などのローカルなものから、アボカドトーストなどの洋までバラエティ豊か。ビュッフェではないが、気になったものは相談すると量を調節して運んでくれる。

次の旅は、ここからそのままプーケットのアマンプリへ飛んで、アマンが見せてくれる夢の続きを見にいこう。帰りに空港まで送ってもらうクルマの中で、そんな次のバカンスの計画を練るのもいいかもしれません。

Aman Nai Lert Bangkok

住所/1 Soi Somkid, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330

HP/www.aman.com/hotels/aman-nai-lert-bangkok


日本からの問い合わせ

アマン共通日本語フリーダイヤル

TEL/0120-951-125 (月~金曜日、10時~17時)

● 山路美佐(やまじ・みさ)

食と旅ジャンルの編集者。大学卒業後は総合商社に入社。その後出版社へ転職し、婦人誌ほかで食・旅の編集を担当。グルメ検索サイト「ヒトサラ」副編集長を経て、現在はフリーの食と旅の編集者に。美味探求の旅は30カ国以上にのぼる。月の半分は国内外を飛び回り、最前線で働くシェフたちやホテル、生産者、日本の地方の魅力を取材。編集本に『広東名菜赤坂璃宮譚彦彬の味』(世界文化社刊)。Instagramでは、日々の食と旅の出合いを綴っている。

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