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2023.09.07

竜星 涼が街で老婆を拾って同居!? 「人間には根本的に、誰かに認めてもらいたいという思いがある」

話題のドラマに次々と出演している人気俳優、竜星 涼さんが久しぶりの舞台『ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~』で座長を務めます。「自分とは本能的に真逆」と語る役柄に挑む真意と、竜星さんが考えるカッコいい大人像を聞きました。

CREDIT :

文/浜野雪江 写真/トヨダリョウ スタイリング/山本隆司(style³) ヘアメイク/井手賢司(UM)
編集/森本 泉(LEON.JP)

竜星涼 LEON.JP
NHKの朝ドラ「ちむどんどん」(2022)で主人公の自由奔放な兄役で注目を集め、今期連ドラで視聴率トップを独走中の「VIVANT」では警視庁の切れ者捜査官役で強い存在感を放っている俳優・竜星 涼さん。183cmの長身と華やかなルックスでパリコレのモデルも務めた経験ももつ彼が、この秋、気鋭の劇作家・演出家ノゾエ征爾さん作・演出の舞台『ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~』に主演。「自分とは本能的に真逆」と語る役柄に挑む真意を聞きました。
── これまで劇団☆新感線の作品などに出演され、今回、2年ぶりの舞台(ゲスト出演を除く)で座長を務められます。竜星さんにとって舞台の魅力はどんなところにありますか?

竜星 涼さん(以下、竜星)  まずは、舞台はインプットする場であるということです。そして、実際にお客さまを前に演じるということは、切り取られて映る映像の現場で演じる時以上に、全身を使った表現を意識しなければならないので、映像の仕事が続いているとつい忘れがちになることを改めて思い起こさせてもらえる場でもあります。

舞台上では、顔ではなく体でいかに喜怒哀楽を表現できるかが大事だと思っていて、先輩方が体と心を繋げながら表現していく様子は見ていて本当に勉強になります。僕はまだまだ勉強しながらやっているところもあるので、いろんな意味で、舞台に立ち返る時間は大切だなと感じていますね。
竜星涼 LEON.JP
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── 今回の舞台は、竜星さん演じる内向的な青年・太郎が、ある日、老女のまちこ(高橋惠子)を「拾う」ところから物語が始まります。初めて台本を読まれた時の印象はいかがでしたか?

竜星 最初は理解がなかなか追いつかない部分もありましたけれど、題材は「老い」や(それによってもたらされる)「進化」という、いずれ誰もが通る大きなテーマなんです。そこに、登場人物各々が抱えている問題が、太郎にも絡みながら展開していきます。

みんな自分の問題に対してとても真剣なんだけれど、セリフだけ聞いていると、言葉上ではすごく滑稽だったりする。やはり笑いと感動は表裏一体だなと感じたし、笑えて、でもすごく考えさせられて……というバランスが絶妙な面白い台本だなと思いました。
── 舞台上に小道具はなく、床も壁も黒板で、そこに役者さんがチョークで線や絵を描きながら空間を作っていくという仕掛けや、一度登場した役者さんは出ずっぱりで、個々の物語が並行して進むというつくりもユニークですね。

竜星 今は稽古中ですが、黒板に囲まれた空間で、みんなチョークまみれになってむせながらやっています(笑)。一度出たら出ずっぱりというのも、そんな経験今までしたことがないので、それがどういう風に作用するのか、これからじっくり体感していけるんじゃないかと思います(※取材は8月中旬)。

── シリアスなテーマをコメディ的なタッチで描いていますが、コメディについては、演じるうえでやりやすい、難しいといった思いはありますか?

竜星 僕は今回はすごく難しさを感じていますね(笑)。というのも、遊ぼうと思えば遊べる中で役者は真剣にやり、けれど見ている人は笑えてしまう、みたいなところが多分ノゾエさんの狙いだと思うんです。でも僕は、太郎の抱えてる問題が、自分の抱えてる問題とは真逆だからこそ、シリアスなところはシリアスにやりたい気持ちがあって。そこで笑いが起こるというのは、心が乱されるわけです(笑)。

さらに、出たら出っ放しという中で、いろんな人の物語が断片的にクローズアップされるので、今までシリアスだったところに、別の笑える場面がふいに挿入されて、またシリアスに戻る。
自分も一観客(傍観者)としてその笑いに乗っかりたい部分もあるけれど、太郎の気持ちをしっかりキープしておかないと、「あ、面白い!」と思うとなかなか戻れないので、ほかの役者さんが起こしている笑いに乗っかれない切なさやもどかしさもある。それは今回やっていてすごく大変だなと思うところですね。
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── 年齢も境遇も接点のない老女・まちこに対する太郎の行動や思いを、竜星さんはどのように受け止めていますか?

竜星 僕もそうですけれど、人間には根本的に、「誰かに認めてもらいたい」とか、「誰かに必要とされたい」という思いがあるんじゃないかなと思うので。その相手が太郎にとっては唯一、たまたま出会った老女であり、次第に彼女が自分の心の支えというか、ホッとする場所になっていったんでしょうね。

でも、そこにしがみついていても、穏やかな時間は長くは続かないというのは誰の目にも明らかで。今回、太郎がチョークを使って自分が存在する場所を示す場面があるのですが、そこから外へは簡単に出られるはずなのに、なかなか出られない。はたから見ると簡単なことも、本人からすると難しいというのもこの作品のテーマのひとつかなと思います。
── 太郎がトンネルを抜け出るまでの時間は苦しいはずですが、まちこと過ごす様子は意外と楽しそうに見えます。

竜星 崩壊していくのは時間の問題でも、その崩壊するまでの時間を経験して自分で気づかないことには先へは行けないんですよね。だから、太郎がまちこさんと過ごす日々も、「幸せな時間ではあったかな、あの頃は」とか、「それがあったから今があるんだな」と思えるぐらいの輝かしい時間にしたいんです。

そのキラキラした時間があるから、太郎の中での思いの変化や、それが崩壊していく様、そして彼が次の1歩を踏み出す瞬間までの流れが、見ていてとても気持ちいいんじゃないかなと思います。
── 太郎のように精神的に追い詰められたり、思い込みが過ぎて盲目的になってしまった時、竜星さんだったら、その状況から抜け出すにはどうすればいいと思いますか?

竜星 周りがいくら「それは違うんじゃない?」と指摘しても、しがみついている本人は、わかっていてもわからないふりをしてしまったりすると思うんです。結局、気づけるかどうかは自分次第だから、自分のテリトリーの中で、気が済むまでもがいたり傷ついたりするしかないと思う。そうやって何かを得て納得しないと先に進めないですしね。

そして振り返った時に、「あの時、みんなそう言ってくれてたな」とか、「今ならわかるな、あの人の気持ち」と思うのでもいいんじゃないですか? すべてをきれいごととして済ませたくはないけれど、人生ってそういうものだと思う。
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── ご自身も、基本的にはその時々の自分の素直な気持ちに従って行動していきたいタイプですか?

竜星 僕自身は、わりと後先考えずに、その場その場でぶつかっていくみたいなところがあります。そこで傷つくことがあったり、逃げることもあったりしたけれど、それもわかった上での今がある。ぶつかって傷つくたびに、ちょっとは優しい男になれたかな……って思いますね(笑)。

── コミュニケーションが苦手で「社会とのノリが合わない」太郎を演じるうえで心がけていることは?

竜星 僕はどんな相手に対してもありのままの自分でまっすぐに接するし、自分がこうしたいと思ったら、躊躇なく自分のやりたいように動けるほう。太郎とは本能的に真逆だと思うので、彼を本能的に理解するのはけっこう難しいなぁと感じています。今までで一番苦しんだ役柄は?と聞かれたら、今やっている太郎かもしれない。

もちろん同じ人間なので、込み上げてくる感情はたぶん変わらないとは思うのですが、その発散の仕方や、周囲からの見え方はちょっと違う。たとえば僕は気持ちが溢れたらすぐ出しちゃうけれど、太郎みたいな人物は、感情を表に出さずに自分の中にしまってぐっと我慢するタイプなのかもしれないし。そんなふうに自分なりに勉強もして、腑に落としていく部分もありつつ、ずっと悩みながら稽古しているところはあります。

── 難しいことに挑戦するからこその面白さみたいなものを感じてらっしゃる?

竜星 まあそうですね。苦しい部分も多いですけれど、ノゾエさん自身もその摩擦みたいなものを楽しみ、役者に求めているのかなとも思うし。仮に、僕とはまったくタイプの違う、すんなりこの役にハマれる人が演じたら、イメージ通りの太郎になるんでしょうけど、僕みたいな人間が太郎を演じることで、「わぁ!彼にもこんな熱量があったんだ」という多面性が出せるかもしれない。

その熱量が僕の良さでもあると思うので、そのアンバランスさというか、ちぐはぐな感じが、真逆の自分が演じるからこその面白さとして出たらいいかなと思っていますね。
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── 竜星さんは30歳になられたばかりで、老いを身近に感じることはあまりないかもしれませんが、今回の作品を通して、年齢を重ねることについて改めて感じたことはありますか?

竜星 僕の場合はむしろ幼稚園生や小学生の頃に、「生きるってなんだろう」というのをめちゃくちゃ考えた時期があります。

でも大人になるにつれてそういうのがあまりなくなり、今度は年齢というものがより身近なものになって、何歳ぐらいまでにこうなれていたら……というふうに考えるように。そしていつの間にか想定した年齢になって、「うわ、どうしよう、ここから先」と焦ったり。みんなどこかでその恐怖と戦っているのかなと思いますけれどね。

ただ、考えるのも大事ですけれど、未来がどうなるかなんて誰も決められないし、考えたところで仕方がないんですよね。だからそんなことを考えるまでもなく、好きなことや今やりたいことに忙しく没頭するのが一番大事だと思います。
── そのうえで、この30代をどんな30代にしたいかや、今抱いている目標などはありますか?

竜星 思いのほかあっという間に30歳が来てしまったのですが、やはり役者は、誰かに求められて初めて演じることができるので、こうして人から求めてもらえるというのはすごくうれしいです。いつまでもそうやって、もっともっといろんな役や、いろんな面で求めてもらえるような(依頼する方が)“託してみたい役者”になりたいですね。

もっと言えば、今回の太郎役もそうですけれど、本来「竜星はイメージじゃないなぁ」と思うような役も、僕にやらせてみたら50点になるかもしれないけれど(笑)もしかしたら120点超えがあるかもしれない!? とかね。そういう、賭けてみたくなる役者になりたいです。

そういう意味では、20代で積んできた経験と知識を活かしながら一番パワフルに動けるのが30代だと思うので、この30代は、40代になったらできないかもしれないことを悔いのないように一生懸命やりたい。そうした積み重ねがあれば、きっといい40代になれるんじゃないかなと思います。
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── 周囲の期待値も上がる一方だと思いますが、それに対するプレッシャーは感じていますか?

竜星 そんなにありますか? 期待(笑)。あるとしたらむしろ、期待するの遅いんじゃないの? ぐらいの気持ちでいたいですね(笑)。

── 自分を鼓舞するのがとてもお上手ですが(笑)、大人の男性としてカッコいいと思うロールモデルのような人はいますか?

竜星 それはもうずっと昔から、僕が男として憧れる人間は矢沢永吉さんです。矢沢さんは僕の中でエンタテイナーとして唯一無二のスターですし、自分の信念を持ち、自分の好きなことのために頑張る姿は心底カッコいいと思う。

僕もこの仕事が好きだから役者をやっているし、やるからには自分に責任をもって、矢沢さんのようなスターを目指して頑張りたいですね。
竜星涼 LEON.JP

竜星 涼(りゅうせい・りょう)

1993年3月24日生まれ。東京都出身。スカウトをきっかけに芸能界入りし、2010年にTVドラマ『素直になれなくて』で俳優デビュー。映画、舞台など幅広く活動。主な作品として、映画『ぐらんぶる』、映画『弱虫ペダル』などに出演。近年の作品では、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』、ドラマ『スタンドUPスタート』(フジテレビ)などに出演。現在は、日曜劇場「VIVANT」(TBS系)に出演中のほか、映画『Gメン』が公開中。

竜星涼 LEON.JP

『ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~』

社会にうまく馴染めず、派遣のピエロの仕事でギリギリ生活している青年(竜星涼)。しかしそんなピエロ業も、決してうまくはいっていない。ある日、道端の老婆(高橋惠子)に手品で花束を渡すと、老婆はどこまでもついてきた。そして青年の部屋にまで上がってきた。すぐに老婆を帰そうとするも……、青年と老婆の不思議な共同生活が始まっていく。
出演は他に藤井隆、青柳翔、瀬戸さおり、芋生悠、駒木根隆介、山本圭祐、山口航太、中井千聖、柴田鷹雄、ノゾエ征爾、家納ジュンコ、山田真歩、菅原永二。
作・演出/ノゾエ征爾 東京公演2023年9月10日(日)~24日(日) 世田谷パブリックシアター。以降、京都、岡山、新潟で公演あり。
HP/COCOON PRODUCTION 2023 ガラパコスパコス | Bunkamura

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