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2025.09.06

【第3回】

奥手で男子が怖かった子供時代を克服できた彼の存在。別れた原因は……

生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか、大人の女性たちは何を求めているのかを、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林 伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で深掘りします。

CREDIT :

取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)

生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在、恋愛も結婚もしなくたっていいこの時代に、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか。大人の女性たちは何を求めているのか。

本連載「林 伸次のLove la Bossa」では、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林 伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で大人の女性の本音を深掘りします。第3回のゲストは小雪さん(40代)です。
大人 恋愛 美人 秘書 林 伸次 Love la Bossa
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初めての彼が私の恋愛観を育てました

── ようこそいらっしゃいました、林です。よろしくお願いします。

「よろしくお願いします」

── 今日はこれまでに経験した恋愛のことなどを聞かせていただくのですが、匿名の記事なのでここでのニックネームを決めたいんです。誰かに似ていると言われたことはありますか。

「そうですね、小雪さんに似ていると言われたことがあります」

── あ、確かに! では今日は小雪さんと呼ばせていただきますね。小雪さんは子供の頃にはどんなお子さんだったんでしょう。好きな男子とかはいましたか?

「私は奥手で、小学生の頃は男の子にいじめられたりしたので、あまり好きじゃなかったです」
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── そうでしたか。男子は好きな子に意地悪することも多いのですが、するとジャイアンみたいなオラオラ系男子が苦手だったのかな。

「そうです、今でも好きじゃない。男クサい人が怖くて苦手で、一緒にいてホッとするような、中性的な人がタイプです」

── そうやって好きなタイプって決まっていくのかもしれないですね。すると、本格的に誰かとお付き合いしたのはいつ頃でしたか。

「大学生の時、バイト仲間の友人とお付き合いしたのが最初でした」

── それはそのバイト仲間から紹介されて?

「いえ、その彼がたまにバイト先に遊びに来くるんですよ。もうね、金城 武にそっくりでカッコよくて、一目惚れしました(笑)」

── それはカッコよすぎじゃないですか!じゃあ、めちゃくちゃモテる?
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大人 恋愛 美人 秘書 林 伸次 Love la Bossa
「モテていましたが、彼も恥ずかしがり屋の奥手だし、社会人チームに入るほどスポーツに打ち込んでいたので、イケメンの威力は発揮できていなかったと思います」

── 進展させるのが難しそうなおふたりですが、小雪さんがアプローチしたんですか?

「バイト先の女友達には『あの人ちょっといいよね』みたいなことを言ってあったんです。彼女は積極的な子だったから彼が来るたびに『話してきなよ』とか言って肘で突いたりするんですよ(笑)。そのうち相手にも気づかれちゃって、食事に行く流れになり、その時に私から告白しました」
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── すごい! 思い切って言ったんですね。どんなお付き合いになりました?

「3年くらい付き合っていたんですが、彼の存在が私の基本的な恋愛観を育てたと思っています。地元が一緒で、私は実家暮らしでしたが彼は実家が持っているアパートにひとり暮らしをしていました。車を持っていたので、いつも送り迎えをしてくれて」

その行為を超えなければ大人の恋愛にはならないと思っていました

── 彼がひとり暮らしだと、お付き合いはどんどん進みそうですよね。奥手という話でしたが、その辺は大丈夫でしたか? 女性でも、子供の頃から恋愛やセックスに興味津々の人もいれば、そんなことはしたくないと嫌悪感をもつ人もいるようです。

「私の場合は、その行為をしなければ大人にはならないのだと思っていました。ここを越えなければ大人の恋愛にはならないと」

── じゃあ、しなきゃいけない使命というか、ハードルのように感じていた?
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「そう、だから興味はもちろんありましたけど、だけどそんなに楽しいものとは捉えていなかった感じ。

ただ私は彼とすごく信頼関係を結んでいたので、その3年間で彼との行為は大好きになりました。楽しいし、何をしてもつながっていく感覚というか、怖くない、失敗がないという感じだった」

── やっぱり信頼感って大きいんですね。最初が彼で本当に良かったですね。ちなみに彼は経験者でしたか?

「彼も最後までは未経験だったようでした」
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── お互いが初めて同士だと微笑ましいというか、ふたりで関係を作り上げていく感じがしていいんですよね。でもそんな素敵な彼となんで別れちゃったんですか?

「私が食品メーカーの社長室で秘書の仕事をするようになってからすれ違いが多くなってしまって。

彼は結婚したがっていたんですよ。でも私は働き出したばかりで、新しい世界を見られて刺激的だったし、仕事も楽しくもっと色んな経験や勉強がしたかった。

ただ彼にも人生設計があるわけですから、私がズルズルと先伸ばしにするのは違うと思ってお別れしたんです。彼は次にお付き合いした人と結婚していました」

── 彼は本当に真面目な人なんですね。ちなみに今、あの時結婚してたらよかったなって思います?

「いえ、あれで良かったと思っています。後悔はしていません」
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── そうですか〜。その後のお付き合いはどうでした?たぶんバーっとモテたんじゃないかと思いますけれど。

「確かに声を掛けてもらうことは多かったんですけど、次にちゃんと付き合ったのは30代に入ってからだったような気がします。

仕事が忙しかったのもありますが、相手と向き合えなかったと言いますか。20代は周囲が華やかな世界だったんですよね。そういう時に出会う人って、ちょっと派手な感じの人が多くて、相手を信用できなかったことが大きいかもしれません」
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── ちなみに、何系のお仕事の方と出会うことが多かったんですか。

「商社とかコンサルとか。いまいち相手に心を開くことができなかったので、ちゃんと付き合いをする感じじゃなかったかな。ちょっと怖いところがあると私は敏感に察知するんですよ。

ただ、その頃に出会って30代で久しぶりに再会した人とお付き合いをしました。とても優しくて素晴らしい人。色んな経験をさせてもらいました」

── なんだか素敵そうな人ですね。その彼の話は後半で聞かせてください。

後編へ続く。
bar bossa(バール ボッサ) 林 伸次(はやし・しんじ)

■ bar bossa(バール ボッサ)

ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185

● 林 伸次(はやし・しんじ)

1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(‎幻冬舎)、『恋愛は時代遅れだというけれど、それでも今日も悩みはつきない』(Pヴァイン)、最新刊は『30歳になってもお互い独身だったら結婚しようか』(三笠書房)。

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